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墓石の前で屈んでいる膝を抱いて小さく蹲る。 「だから名字で呼ばれるのが嫌だった。誰よりも僕に優しい笑顔を向けてくれた父が大好きだからこと許せなくて、大好きだったからこそ自分も父親と同じ性癖であることが受け入れられなかった。でも、あんたと再会してこの好きって感情が穢れのないものだって知って、僕もちゃんとあんたと一緒にいれるように変わらなきゃなって……」 朝焼けに真っすぐ前を見据えていた大樹に感化されて、その場に留まり続けてはいけないと心が動かされた。宏明のことだけじゃない、自分を生み育ててくれた母親のことも自分はちゃんと許し、以前の様にとはいかなくても修復することができるだろうか。 結果的に大樹に見守ってもらうことになったとはいえ、宏明とは自ら一人で足を運び、向き合うことが出来た。ならば、母親とも素直に話せるはず。 今まで避けてきた父のことを母と話すことが出来る時が来るのであれば…… 過去の清算とこれからの決意の為に父に会いに来た。 大樹に背を向けていることをいことに膝に顔を押し付けて、あふれる涙を拭うと背後から優しく体を包み込まれ、大きく温もりのある手で頭を撫でられた。 「お前なら大丈夫だ。だけど無理はすんなよ。あと、宏明のこと、驚いたけど、ありがとうな。俺からもお礼を言うよ」

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