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「俺は別に構わないが·····」 突き放した体が再び腰から寄せられ、ピタリと腹部が密着する。 キスの時から感じていた大樹の汗ばんだ匂いにドキドキさせられ、尚弥自身も逸る気持ちがないと言ったら嘘になる。しかし、それなりの心の準備の時間が欲しかった。 「僕が気になるっ·····からっ·····それにっ、洗わないとっ」 「洗うって?」 知ってか知らずか、容赦なく問うてくる大樹に狼狽える。自ら口にするのは恥ずかしいが、大樹ももしかしたら同性相手は初めてかもしれない·····。お互いに初めてなのであれば、尚更大樹にも気持ちよくなってもらいたい。 「ぼ、僕が·····そのっ·····い·····挿れられる側なんだろっ·····だからっ·····準備しないと·····」 頭に湯気を昇らせながら、大樹にそう打ち明けると彼の頬がみるみるうちに緩んでは、何時もの悪巧みを含んだ笑みに変わる。 「尚弥、ちゃんと調べてくれてたんだな」 子供をあやす様に満面の笑みで頭を撫でられて、恥ずかしさが余計に増した。この様子だと彼もちゃんと分かっている。準備の意味を、男同士でするにあたって、どこを洗わなきゃならないかも。 「あんたっ知ってて·····!!」 「もちろん、その時がきたら俺が手伝うつもりでいたけど?」 「最悪·····」 撫でられ続けた頭の手を払い、大樹の両肩を押して、密着した身体を強引に引き剥がす。 一瞬だけシュンとなった大樹の表情が気になったが、自業自得だと頬を膨らまして、知らない振りをした。背中を押して部屋の浴室へと促す。 「シャワー一緒に浴びるか?」 「いいっ·····ひとりで浴びるから先にアンタが、その汗臭い身体流してきてよ」 「はいはい。照れた尚弥は、あたりがきついなー」 「うるさいっ」 苦笑を浮かべながら、浴室へと入った大樹を閉じ込めるように扉を閉めた。扉に背を向けてひと息吐く。 大丈夫·····大樹となら先に進むことも怖くない·····。

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