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「どうしたんだ?」と尚弥の涙の理由が分からない大樹は、眉を下げて唯々憂わしげな表情で見下ろしてくる。 「ひっ…く、肉付きがいいって·····僕は女じゃないから、抱き心地なんか良くならないっ。やっぱりダメだなんて言われたら…」 いくら抱く前は求められていても現実を目の当たりにして萎えるなんてことは、よくある話で、大樹の過去の恋愛遍歴が異性のみなのだと思うほどに自信を無くしていく。 「そういう意味で言ったわけじゃ·····」 「でも、あんたは元々、女を抱いてたんだろ?」 「·····それは·····否定はしないが·····。今俺が好きなのも抱きたいのも尚弥だけだ」 繋がれた指先が解かれ、手首を掴まれるとそのまま大樹の下半身へとあてがわれる。 前回は自分がされる一方で大樹の状況など確認する余裕もなかった。ちゃんと尚弥のことを見ているのだと証明するように硬くズボンを押し上げているソコに思わず、息を呑む。 そんな尚弥の涙を親指で拭われるとその流れで頭を撫でられた。 「こんな綺麗な身体の奴が目の前にいて、興奮しない方が無理だと思うんだけど」 平べったい胸を軽く揉まれ、小さな突起を人差し指と親指で摘まれては思わず甘い息が漏れてしまった。 「んっ·····」 「ここを触って、尚弥の気持ち良さそうな顔が見たいと思う俺がお前を拒絶するとでも思うか?」 尚弥にこれ以上余計なことを喋らせる気がないのか、執念に突起を弄ばれて、首を振って応えるので精一杯だった。 「や·····ひゃ·····」 大樹の指によって膨らんで立ち上がった突起。抓って捏ねられる度に身体中の血液がドクドクと巡っているのを感じる。 熱くて、自分では考えられない程の色めいた吐息が止まらない。彼の柔らかい髪が胸元に触れたかと思えば、先端に冷たい感触がした。頭を持ち上げて目線を移すと大樹が舌先を使って舐めたり、時折乳を飲む赤ん坊のように吸い付いてきている。 「んっ·····っ」 視覚と感覚で官能的な気持ちを刺激され、尚弥の絶頂を促すように急速に迫り来るものがあった。まだちゃんと大樹のことを感じられていないのにこんな所で達したくない·····。尚弥は両手で大樹の頭を抑えて引き剥がそうと必死になるものの上手く力が入らない。 「はぁ·····はぁ··········ソレ、きもちいからっ·····いやっ·····」 「なおや、早かったもんな·····」

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