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「尚弥、無理だったら言うんだぞ?」
中途半端にはだけていたシャツも、大樹のズボンや下着もすべて脱ぎ去った。
同性同士は潤滑剤は必須だと知っていたが、尚弥が持っているわけなく、
大樹がベッドサイドのボードから円柱状の容器を取り出してきた時は、ギョッとした。もちろん大樹が持ってきたわけではなく、どこまで律さんはお節介なのか、部屋に置いてあったのだという。
蓋を開けて、艶めかせながら大樹の右手指に落ちるソレは今から目の前の男と繋がるのだと実感して改めて緊張した。大樹にお尻を突き出すように向けると、背後で彼の気配を感じながら枕をぎゅっと抱きしめる。表情が見えなくても、彼自身も緊張していることは空気で分かった。
「ぅん……」
臀部のすぼみに冷たい感触に思わず瞼を強く瞑る。その冷感はすぐに自分の体温で溶かされ、異物感を感じながらも中へとゆっくり指が押し入ってくる。何本入っているかは分からないが入口を解され中へと入って来るものが少しだけ広がった感覚がした。
「もしかして、尚弥、少し自分でほぐしてたのか?」
「·····っ、そういうのって手間取ったりしたら萎えたりするんだろっ。失敗なんてしたくないから……」
背後からの問いに、顔を伏せる。ほぐしていないと言ったら嘘になる。何事にも事前の準備が大事だと言うように、準備足らずで失敗に終わらせるなんてプライドが許さなかった。
尚弥なりに真剣に答えたつもりだったが、この状況には似つかわしくない吹き出すような笑いが背後から零れてきた。
「何笑ってんの」
顔を振り向け、臀部側にいるであろう大樹を見遣ると天井を仰ぎながら目元を手で覆い大爆笑している。
「尚弥らしいと思ってさ、お前失敗とか嫌だもんな」
「だからって笑わなくてもいいだろ·····」
まさか笑われると思わなくて、恥ずかしさとショックで怒る気にもならない。拗ねるように枕に顔を埋めると「かわいいな·····俺の恋人は」と呟やかれる。
途端に腰を掴まれ枕を抱いたまま正面を向かされたかと思えば先程の指とは明らかに質感の違うモノが押し入ってくる感覚に思わず声を上げた。
「ちょっ·····う゛·····」
「痛かったか?」
「い、痛くないけど·····い、挿入れるなら挿入れるって言えよ·····急にビックリするだろっ」
「すまない、我慢出来なくなった。でも、こんな綺麗なお尻に可愛く煽られて萎えるどころが興奮すると思うんだが·····」
「ふざけんなっ·····変態」
頭が蒸発しておかしくなりそうな程、耳も首も熱い。辛うじて表情を隠すために抱いた枕に目元だけ出して顔を埋める。
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