286 / 292

26-49

「そんな変態の為に念入りに準備してくれたお陰で先っぽは入った。ゆっくり進めるぞ?」 尚弥の反応を見ながら徐々にではあるが腰を進めてくる。今まで味わうことのなかった異物感に痛くないと言えば嘘になる。 痛みで顔も身体も強ばらせていると、大樹が優しく頭を撫でてきては、抱いていた枕を奪い取られると「抱くなら枕じゃなくて俺抱いて」と耳元で囁かれた。 大樹に言われるがままに縋るように背中に手を回す。身体に力が入っていることはお見通しのようで、痛みで少しだけ萎えてしまった、竿を再び握られて扱かれると意識がそちらへと向き、幾分かマシになった。 「尚弥痛くないか·····?もう少しだから」 「ぅん·····はぁ、はぁ」 確かに中に大樹がいる。存在がある。 あんなに嫌で仕方なかった行為を、今は好きな人とちゃんと出来ている。 それだけで嬉しい·····。 繋がっていることがこんなにも悦びに満ち溢れているものだと思わなかった。 「尚弥、全部入った」 お互いの茂みが重なり、奥の圧迫を感じながらも最後まで入ったという事実にこの上ない 幸福感と達成感があった。ゆっくりと何かを探し当てるように、中で掻き回している大樹。その時は唐突に訪れ、大樹のモノがソコを押し当てた途端に心地良さに凪いでいた欲の衝動が競り上がってくる。 「あっ·····ソコっ·····ダメっ」 「ここか?」 確かめるようにもう一度小突かれて声を出さずに居られない。 「やっ·····」 大樹はしたり顔をすると、嫌だと言っている尚弥に構わずに何度も腰を引いては、ソコを目掛けて押し挿入れてきた。 「たいきくぅん、やっ·····ダメっ·····すぐに出ちゃう」 「最後までするんだろ?俺ももうすぐだから我慢できるか?」 鈴口を親指で塞がれながら、大樹の腰は次第に速さも加わりベッドが軋むリズムよく軋む。 「ん、ん、んっ、んっ、むりっ·····」 シーツを掴み、激しく上下に揺れる身体と連動するように押し寄せてくる快感の波を必死に我慢してみるが、既に腰は弓なりになり早く解放を望んでいた。 「はぁ·····なおやっ·····いいよっ·····俺もイきそう」 「はぁ·····はぁ··········や·····あああっっ」 「あっ·····ああっ·····」 大樹に唇を塞がれ、漸く親指が離された反動で勢いよく放たれて自分だけではなく大樹の腹部にも弾けていく。その直後に中の芯が波打っては腰が中に出すようにゆっくりと揺れたことにより、大樹も一緒に達することが出来たようだった。 お互いに乱れた呼吸を整えるように交わる息。額や首に汗を滲ませながらも、微笑んでくる大樹に釣られるように尚弥も頬を緩めては、目尻から自然と涙が伝っていた。 お互いを通じ合わせた余韻に浸りながら、指を絡められ、伝う涙にキスを落とされる。「俺が愛してるのは尚弥だけだ」なんて愛の告白を改めて聞かされ、擽ったいけど、心が満たされていく。 「ぼ、僕も·····愛してる·····」 ずっと大樹だけの僕でいたい。だから大樹も僕だけの大樹でいてほしい。 暖かい手も身体も声も、僕のことを怒らせてばかりだとしてもこんなにも、想いを伝え、想い合い、愛し合えることが美しいのだと教えてくれた彼が好きで仕方がないのだから·····。

ともだちにシェアしよう!