115 / 326
言わぬが花 3話
「仁さんを抱いたよ」
しれっとウソをつく真世。
「仁さんを抱いた?」
ケイが俺を見る。
「ちが、違うからなケイ。真世、お前いい加減しろよ、そんなウソばっかつきやがって!もう部屋から出ていけ」
凄い剣幕で俺が怒ると、さすがの真世も、
しゅんとなる。
「ウソだけどね。でも、僕は仁さんが好きなんです!」
真世は俺じゃなくケイを見ながら言う。
なんで、こうも…面倒の数々が…、
でも、ケイに誤解されるのが凄く嫌なのは何でだろ?
真世が俺を好き宣言をしてしまい、つい、ケイの様子を伺う。
「仁さんを好きなんですか」
そう真世に質問。
頷く真世。
頷かないで良いのに!
「そうですか。僕も好きなんですよ。同じですね」
とケイはニコッと笑い、もちろん俺もそうだけど、真世はポカンと口を開けてケイを見ている。
「どこらへんが好きですか?僕は仁さんの照れた顔とか、優しいとことか」
ケイはアイドルを語るかのように真世に質問をする。
「えっと、僕は佐伯さんに悪戯されて気持ち良さそうな顔とか」
真世、おまいは~
「あ~気持ち良さそうな顔エロいですよね」
ケイは同意する。
「胸襟とか好き!あと、首筋弱いとことか」
と真世。
「バックとかうまいとことか」
「えっ?仁さんってネコじゃないんだ?」
「僕相手にはタチですよ。凄く上手いです」
「え~、いいなあ」
俺を無視して交わされるエロい会話。
「もー、お前らいい加減にしろよ」
叫ぶ俺。
「一番可愛いとこ、俺知ってるぜ」
そこに急に参加してきたハルさん。
「え、どんなとこですか?」
ワクワクして聞く真世。
「もう!ハルさんもいい加減に」
と怒る俺にハルさんは、
「隙あり」
とチュッとキスをした。
ちょーーっ!
人、人前で!
「は、ハルさん!」
俺は唇を押さえながら文句を言う。
「こんなとこだな。真っ赤になって照れてるとこ」
ニヤリと笑うハルさん。
「あ~、確かに可愛い」
とケイと真世は同意した。
「僕もしたい!」
と手を上げる真世と、
「僕はされたい!」
と手をあげるケイ。
人前でんな事、
「できるわけねーだろ!」
と俺は逃げ出しトイレに立てこもる。
「仁さん、出てきてください~」
「仁さんーっ、何もしないから出てきてよ!」
「こら、仁、出てこねーと、夜にエロいお仕置きするぞ!」
三人とも何か怖いっ!
ドンドンと叩かれるドアを押さえて俺はしばらくここに居る事にした。
何だろう、この状況。
表に餓えた狼が居るよう~
ケイは子猫だけど、最近はやんちゃな子猫だからな。
「仁ーっ、もう何もしないから出ておいでえ~お腹空いただろ?」
ハルさんの猫なで声がドアの向こうから聞こえてくるけど、出た瞬間にパクリと食われちゃいそう。
「仁さん、僕、この前のお詫びとお礼を兼ねてケーキ持ってきてるんですよ!ガトーショコラですよ!パパンに仁さんの好物を聞いて買って来たんですよ~食べたいでしょ?一緒に食べましょうよ」
なにーっ!ガトーショコラ!
ううっ!食べたい!
「しかも仁さん御用達の駅前のお店のガトーショコラですよ!一番高いやつですよ~」
な、なんだとう!
くそーっ、真世の悪魔め!何故にそれを早くに出さなかった!
あ、でも、また薬とか………
「い、いらない!どうせ薬入りだろ?」
食べたいが強がりでそう言った。
チッ、
真世の舌打ちが聞こえて来た。
マジで入ってたのかよ!
良かった食べなくて。
「仁さん、出てきて下さいよ~猫耳に首輪付けてにゃんこポーズしてあげますからあ」
ケイ………、
確かに君のにゃんこポーズは萌えるよ。
「わ、本当だ可愛いね。あ、名前ケイだっけ?ケイにゃんって呼んでいい?僕はマヨマヨでいーよ」
ケイにゃん、
マヨマヨ、
真世のネーミングセンスはアンズママ譲りだなっ。
「ケイにゃん可愛い~うん。ケイにゃんでいーよ、マヨマヨ」
そんな会話が聞こえてなんだか友人成立してないか?
そして、間が空いて…………、
「きゃ、マヨマヨどこ触って………あっやだっ」
とケイの悲鳴&悶える声が。
ともだちにシェアしよう!