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言わぬが花 5話
「お兄さん、どこ行くんですか?」
首を傾げて聞いてくる仁くんが可愛くてツボった。
「んっ?仁くん裸足じゃ歩けないから靴買いに」
「えっ?そんな!ダメです!ドライブだけでも充分なのに」
焦る姿も可愛いなあ。
「遠慮はなしだよ。弟がお世話になってるし、それにもう友達だろ?」
「友達?」
「そう、友達。仁くんはイヤかな?」
なんだか困惑している彼の姿にイヤなのかと不安になった。
「いえ……嬉しいです」
すぐにニコッと笑う仁くんにホッとしながら愛しく思った。
「でも」
そう言いかけて俯く。
「なに?」
「………友達はイヤだなあって。だって……俺、お兄さんの事、なんか……あの、俺、淫乱とかじゃないんですけど、お兄さんと今、居るだけでドキドキして、どうしよう」
仁くんは俺に顔を近付けてきて、
「お兄さんとキスしたい」
と言ってきた。
嘘……?
「キス?俺と?」
びっくりして、聞き返すと、
「あっ、すみません、忘れて下さい。変ですよね。俺はハルさんと付き合っているのに。か、帰ります」
仁くんは慌てたようにシートベルトを外そうとする。
俺は慌てて車を停めると、
「バカ、走ってるんだよ!危ない」
と仁くんの肩を掴む。
すると彼は涙目で俺を見て、ぎゅっと抱きついてきた。
「もうダメ。抱いて下さい。お兄さんに抱かれたい」
と耳元で囁かれた。
俺は……「分かった。ホテル行こう」
と返事をした。
「本当?抱いてくれるんですか?」
「もちろん」
そう言って俺はいつも使うホテルの最上階に彼を招いた。
「お兄さん、早く」
急かすように俺に抱きつく彼を広いベッドへと押し倒してキスをする。
そして、行為は進み、
俺は彼の中にJrを挿れた。
「あっ、やっぱりおっきい!ハルさんより……気持ちいいっ」
俺に腰を打ちつけられて仁くんは乱れている。
「んっ、あっ……いいっ、ソウさんっ好き。ハルさんと別れるから俺と付き合って」
淫らに足を広げ、俺を欲しがる。
「仁、俺も」
「お兄さん、信号赤ですよ!」
仁くんの声に我に返った俺※(もうお気付きでしょうが、兄の妄想でした)
*******
仁side
「えっ、革靴ですか?」
お兄さんがまず連れて行ってくれたのは靴屋。
いきなり高い革靴。
「俺、靴に似合うスーツ持ってないし!それに今のラフな格好に革靴は似合わないです」
俺は焦る。
寄りたい所があるからとお兄さんに言われて、車の中で待っていると革靴持った店員とお兄さんが登場した。
「似合うよ」
ニッコリ微笑むお兄さん。
いやいや、似合う似合わないじゃないよね?
高いか安いかだよ。
「それに払えない」
「俺が払うけど?」
お兄さんは自然に財布を出す。
「だ、ダメです!何言ってんですか!」
テンパる俺。
「どうして?プレゼントさせてよ。ハルがお世話になってるし。ほら、知り合った記念」
ニコッと微笑むお兄さん。
なんか優しい笑顔だよなあ。(やましい下心は仁にバレてません)
「で、でも」
愚図る俺をお兄さんは随分と説得してくれて、値段が安いスニーカーを貰う事に。
「すみません」
なんか、かなり迷惑かけてるよな俺。
「仁くん、そんなしょんぼりしないでよ。プレゼントしたのは俺のワガママだし、ドライブも付き合って貰ってる。ね?しょんぼりする理由なくない?」
お兄さんはニコッと笑う。
笑顔を見て、しまった。と思った。
そうだよ、すみませんじゃないよね。
「靴ありがとうございます!それにドライブも」
俺はダメなヤツだ。
気を使わせてしまった。
お兄さんは凄く良い人だ。
*******
お兄さんside
ズキューン!
ありがとうと言った笑顔萌だよ。
これをオカズに抜ける!
やばいやばいやばいでしょーっ!
「あの、ドライブどこいきます?」
ニコッとまた笑う。
「そうだね、海とか遠いし、仁くんどこか行きたい所とかある?」
「あ、俺景色見るの好きなんですよ。高い所とか」
「スカイツリーもちょい遠いしなあ。あっ、じゃあ良い所あるよ」
と俺は車を走らせる。
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