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言わぬが花 7話

「仁くん、向こうに長椅子があるから横になろうか?」 お兄さん……優しい。 こんなアホな俺に。 「大丈夫………ひゃっ」 いきなりお兄さんに抱き上げられた。 「ちょ、お兄さん」 テンパる俺に対して、 「仁くん、軽いね」 と爽やかに笑うお兄さん。 「あの、大丈夫ですから!」 なんて遠慮しても既に長椅子に降ろされた。 ううっ、もう恥ずかしすぎる! 「すみません、本当にすみません」 とりあえず、謝り倒すしかない。 「いいよ、それより寄りかかって良いよ。」 お兄さんは俺の肩に手を回しながら、優しい言葉を付けた。 ****** 危険なお兄さんside 仁くん、子供みたいで可愛いんだなあ。 硝子に張り付いて外をキラキラした目で見ていたと思えば、 椅子でクルクル回る。 凄く楽しそうな顔も可愛い。 本当に小さい子供みたい。(※バカなだけです) まだ少年の心を持っているんだな。きっと。 エッチはあんなにエロいのに、いわゆるギャップ萌?(※お兄さんの中で仁はかなり美化されているようです) でも、あまり回ると………、 心配通りに仁くんはクラクラしている。 俺にクラクラしてくれたら良いのに。 もちろん俺はとっさに仁くんを支えた。 「すみません」 謝りながら俺を見る仁くんは涙目。 ウルウルと、チワワみたいな潤んだ瞳で俺を見ている。 ずっきゅーーん! はうっ、 かわゆいぃ! 抱っこして……っ、 そう瞳が言っているみたいで、 俺は仁くんを抱き上げた。 しかも軽い。 わあっ、本当に女の子みたいだよ。 しかも、良い匂いがする。 シャンプーかな? 長椅子に座らせて肩を抱いた。 俺に身を任せてくれている。 仁くん………っ、 このままっ、 でも、無理やりはなあ。 あっ、酔った勢いは? うん、飲みに誘おう。 「ねえ、仁くん、この後…」 と彼を見ると凄く気持ち悪そうで、俺は彼の身体を倒して横に寝かせた。 もちろん、俺の膝枕。 ******* 仁side お兄さんの手がふわりと頭に当てられたと思ったら、そのままお兄さんの膝枕………っ、 ちょ、 「だいじょ……」 ぶっ、と起きようとしたのにクラクラっ、 結局はお兄さんの膝にコトンと倒れ込んだ。 「ほら、しばらくは寝てなきゃ」 お兄さんはクスクス笑いながら俺の頭を撫でる。 「なんか、格好悪いとこばっかり見せてますね俺」 「いや、可愛い所ばかり見てるよ」 「恥ずかしいです」 「可愛いよマジで」 お兄さんの手はずっと俺の頭を撫でていて、段々と気持ち良くなってくる。 それに声がハルさんに似てるから余計に甘えてしまうのかな? 凄く気持ちいい。 ハルさん………、心配してるかなあ? ******* 危ないお兄さんside 「ね、仁くん」 仁くんに話し掛けるが反応がない。 覗き込むと、 なんと! スヤスヤと寝ているじゃないか! なんて、無邪気なっ(※無防備ともいう) 俺はマジマジと仁くんを見る。 色、白いよね。 髪もやわらかくてサラサラ。 あっ、耳の後ろにホクロ見つけた。 サラサラな髪を撫でる。 睫毛も長い。 唇もピンクでやわらかそうだな。 ゴクンっと生唾。 思い切って親指で唇の輪郭を撫でた。 プクンとした弾力が指の腹に伝わる。 やわらかい。 指先を少し、口の中へいれた。 ヌルリとした感触。 少し、顔を上に向かせて顔を近づける。 仁くんの息がかかるくらいに近い。 ぷにっ 唇が少し重なった。 ううっ、やわらかい。 もう一度。 チュッ、 もう一回、 俺は3度目のキスで仁くんの口内へ舌を入れた。 起きると焦るから、彼の舌に少し絡ませて離れた。 「んっ………るさんっ……………っ」 寝言さえも色っぽい彼。 「仁くん好きだよ」 耳元で囁いた。

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