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言わぬが花 8話

もう、これって運命? 凄くドキドキしてきた! よし!お持ち帰りをしよう! 俺は仁くんが起きないようにそっと抱き上げて、車に乗せて連れ帰った。 いきなりベッドはやっぱり迷ってしまったから、ソファーに寝かせた。 で、 どうしよう。 あまりの可愛さに連れ帰ってしまったけど、なんか、幼児誘拐っぽいよね? 可愛いから連れ回した…………良くニュースで聞くフレーズ。 なんか、変態っぽい感じがするけど、気のせいだよね? うん、気のせいだ! さて、 俺はその場に座り、仁くんをじろじろと観察。 ついつい、触りたくなる。 手とか、俺のと合わせてみる。 ちょい、彼が小さい。 でも、指が長い。 爪の形も好きかな? 彼の指に自分の手を絡めてみる。 温かい仁くんの体温が伝わってきてドキドキが止まらない。 だ・れ・か ロマンチック と・め・て………っ なんだろう? もっと、もっと、彼を感じたい。 でも、無理やりとかはなあ。 酔った勢いはどうだ? そうだよ、俺も経験あるもん! 一度寝てしまえば、仁くんだって俺を意識するだろうし、 もし、それで悩んだら強引に奪ってしまってもいいし! なんせ、俺はお兄ちゃんだし、 佐伯家、長男だし! ハルのモノは俺のモノ、 俺のモノは俺のモノ! 決して、ジャイ〇ンではない! そうと決まれば! 俺はなるべくアルコール度数が高いモノを選び持って来た。 仁くんを抱き起こすと、飲ませ…… あ、起きて飲まないと飲めないよなっ。 俺は口にふくむと、仁くんの口内に流し込むべく、唇を重ねた。 キスも出来て一石二鳥! ※この行為は犯罪です。よい子は真似しないように! こくんっ、 と仁くんが飲んでくれて、しかも舌もちゃっかり絡めた。 じゃあ、もう一回! こくんっ、 「んっ、」 二回目の時、仁くんは眉間にシワを寄せて、嫌がる素振りをみせた。 起きちゃう? うっすらと目を開けたので、ちょっと驚いて、 「仁…くん?」 言い訳しなきゃ、 なんせ彼を横抱きにしてるから! でも、 「…………さん」 と抱きついてきた。 わあっ、 神様ありがとう。 普段からの行いが良いからご褒美ですね? これってさ、 抱いて良いって事だよね? だって、仁くんから抱きついて来たんだもん! じゃあ、いただきましょう! 抱きついている仁くんの首筋を舐める。 「んっ、…ハルさん」 ハル? 今、ハルって言った? 仁くんは俺から離れて目を開けてじっと俺を見ている。 そして、 「わっ、おおおおお兄さん」 と慌てて、俺から離れた。 ******** 仁side 「仁………好きだ」 と囁かれて、 撫でられて、凄く気持ち良くて………っ、 しかも、ずっとキスされていたような感覚。 てっきりハルさんだと思い込んでいた。 側に居た誰かに抱きついて、それもハルさんだと思っていた。 目を開けるとお兄さん。 ビックリ! もしかして、抱きついてたのはお兄さん? やばいっ、 本当に俺のバカ! 「すすす、すみません」 と何度も謝ると、 「もしかして、ハルと間違えてた?」 クスクス笑うお兄さん。 「はい。すみません」 と謝ると、ちょっと引きつり笑いしたような気がしたけど気のせいかな? 「あの、ここどこですか?」 知らない間に見知らぬ場所。 「俺のマンション。仁くんが起きなかったから勝手に連れて来ちゃった」 「ええっ!嘘、すみません!殴ってでも起こして良かったんですよ」 もう、ダメだ…………、 いくらハルさんのお兄さんとはいえ! こんなに迷惑掛けちゃって、ハルさんに怒られそう! 「殴って起こすのは出来ないな。仁くん、綺麗な顔立ちしてるから」 ニコッと笑ったお兄さんの手が自然に俺の頬に来る。 「わわっ」 恥ずかしさで変な声を出して、つい、のけぞってしまう。 「あ、ごめん」 お兄さんは出した手を引っ込めて寂しそうな顔をする。 「あ、いや、あの、嫌とかじゃなくて、恥ずかしくて、あの、めちゃ暑くないですか?喉乾いちゃいました。ははっ」 あああ、俺、何言ってんだよ! テンパりすぎ!

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