121 / 326
言わぬが花 9話
「はい」
お兄さんは俺にグラスを渡す。
それを一気に………………………って、
アルコールだよ!
半分で止めて、
「お兄さん、これアルコール……」
とお兄さんを見た。
「あれ?飲めないの?」
「飲めるんですけど、禁酒してるんです」
「どうして?」
「あっ………、俺、飲むと人格変わるんです」
これ以上は言えない!
飲んだらドSになってケイを犯してるなんて言えない。
「へえ~どんな風になるか見てみたいなあ」
「止めた方が良いですよ。後悔すると思います」
「仁くん、きっと可愛くなるんだね?俺は後悔しないよ。ぜひ、見てみたい」
「そんな事言わない方が良いです。本当に後悔するから」
「あはは、言わぬが花ってやつかな?ね、仁くん口開けて」
その言葉につい、口を開けてしまい、
お兄さんから酒を更に飲ませられてしまった。
********
お兄さんside
可愛い仁くんを見たい。
飲んだらきっと、ハルとセックスしている時みたいに甘くなるんだね。
ぜひ、エロく甘く変身して欲しい。
だから無理やりでも飲ませたい。
口を開けさせて、
押さえて飲ませた。
嫌がる仁くんも可愛い!
いつ、変わってくれるのだろうか?
「仁くん、もっと飲もう」
口元にグラスをつけると、こくんっ、と飲んでいく。
か わ い い !
そして、バタンと俺に寄りかかってきた。
きた!
きたきたきたーっ!
火照っている身体が熱い。
俺に身を任せている。
そんな仁くんの腰に手を回し、
「キスしようか?」
と言ってみた。
仁くんは顔を上げ、
次の瞬間、
天井が視界に入る。
へっ?
キョトンとなる俺の上に乗る仁くん。
「キス?あんた、テクニックあんの?」
様子がなんか違う。
「仁くん?」
名前を恐る恐る呼ぶ。
「なあ?あんた、わざと俺に酒飲ませたよな?覚悟しろよ」
仁くんはそう言ってニヤリと笑うと、俺の服を乱暴に裂いた。
いやあああぁぁーっ
俺の悲鳴が響く。
ともだちにシェアしよう!