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酒は酒屋に茶は茶屋に

****** 仁side ここ2~3日、ケイの様子がおかしい。 友達と会うと言って出かけた日、夜遅く帰って来た。 ウチのと違うシャンプーの匂いをさせて。 何をして来たのかと聞いてみても笑って誤魔化された。 「こら、食事中は携帯禁止」 目の前のケイは食べながらメールを打っている。 「はい」 素直に携帯を弄るのを止める所は凄く可愛いけどさ。 俺にはメールとかしないくせに。とか考えてしまったけど、一緒に住んでるから別にメールする必要はないけどね。 ただ、メールをしているケイが楽しそうでさ、 なんかさ、誰かな?とかさ、 どんな会話かな?とかさ、ちょびっと気になるわけよ。 「仁、なんかお母さんみたいだな」 お昼を一緒に食べているハルさんがクスクス笑う。 「食事中、携帯ダメ絶対!」 と棒読みでハルさんに対抗する。 「ケイなんか楽しそうにしてるけど誰とメールしてんだ?」 わおっ、ハルさん! 俺が気になる事をズバリと! 「えへへっ、友達です」 ニコッと笑うケイ。 どこのどいつか、気になるに毎回、毎回、友達と言って誤魔化すんだよなあケイは。 「ごちそうさま」 俺はなんかモヤモヤしながら食器を重ねてキッチンへ運ぶ。 「ケイもハルさん食べたら食器重ねて持って来て」 と声かけたら、 「ママさん何か不機嫌だな」 とハルさんが食器を運んで来て、そう言う。 「別に」 ハルさんの手から食器を奪い洗う。 「気になるんだろ?ケイの友達が」 ニヤニヤするハルさんを見てハッとした。 もしかしてハルさんは知ってる? えっ?俺だけ知らない? 不安というか、知らないかもしれない仲間外れ感? 「仁さん、上の階に誰か引っ越して来たみたいですよ」 食器を手にケイが来た。 「何で知ってんだ?」 俺ではなくハルさんが聞く。 「窓から引っ越し用トラックと、見慣れないジャガーが停まっているのが見えますから」 「ジャガー?」 僕とハルさんの声がかぶる。 確かに上がガタガタ音がしているようで、 「隣の部屋、空き部屋だったのに」 ハルさんは舌打ち。 何故ならハルさんの部屋は端っこで隣が空き部屋。なので、最近エッチする時はほぼ、ハルさんの部屋。 だって声が隣に聞こえるの嫌じゃない? 俺も隣が誰もいないから声出せたもん。 「ちょい見てくる」 ハルさんが外へ出たので俺とケイも外へ。 そして、バッタリとある人物に出くわす。 「やあ、仁くん」 爽やかに手を振るハルさんのお兄さん。 「お兄さん」 驚く俺と、舌打ちするハルさん。 「こんにちは」 俺達の側に歩み寄り爽やかに挨拶するお兄さん。 「こんにちは。お兄さん、どうしたんですか?まさか引っ越して来たのって……」 「うん。俺。よろしくね」 ニコッと何時もの笑顔。 「何、引っ越して来てんだよソウ!マンションどうした?」 なんか怒っているようなハルさん? あれ?嬉しくないのかな? 「マンション?あ~あれは売った」 「はあ?」 ハ、ハルさん眉間にシワが~ 「別にいいだろ?俺の持ち物だし……んっ?こっちの女の子は仁くんの妹さん?」 お兄さんは俺の横に居るケイに視線を向ける。 「違いますう!」 女の子+妹と言われケイはほっぺを膨らませて抗議。 可愛いジャマイカ! 「えっ?親戚の子とか?近所の子?」 「彼はケイ。俺んちの居候」 「居候?やっぱ親戚?あっ、姪っ子」 「僕は男です!」 お兄さんの言葉を遮り訂正するケイ。 お兄さん、俺、ちゃんとケイを彼と強調して言ったのに、スルーしてくれしたもんね。 「えっ?男の子なの?ごめん、可愛いから女の子かと、いくつ?中学生?高校生?」 「23ですよ僕」 また、むくれつつ訂正。 「足のサイズかい?小さいねえ」 お兄さんはニコッとケイに微笑む。 「お兄さん、ケイは見た目は子供だけど23らしいですよ」 俺が訂正すると、お兄さんは目を見開いてケイをジロジロ見ている。 その気持ち良く分かりますとも! 「重ね重ね、凄く失礼だね。ごめんねケイくん」 お兄さんは深々頭を下げる。

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