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酒は酒屋に茶は茶屋に 2話

「改めてよろしくね。俺はソウと言います。ハルの双子の兄です」 ケイに挨拶をするお兄さん。 ケイはお兄さんとハルさんを見比べながら、 「お兄さんの方が爽やかな感じでカッコいいですね」 と無邪気に微笑む。 「本当?ありがとう」 と爽やかに微笑み返すお兄さんと、 「っんだと、犯すぞ」 とムッとするハルさん。 「ハルはそんな事言うからダメなんだよ」 ハルさんを宥めるお兄さんは始終ニコニコ。 本当に爽やかだなあ。 あっ、この前の事謝らなきゃ! 「お、お兄さん、この前………迷惑かけてすみませんでした。」 頭を下げて顔を上げると、 「わあーっ、お兄さん鼻血!鼻血出てます!」 お兄さんはダラダラと鼻血を出していた。 どこかぶつけたのかな? 「と、とりあえずこっちに!」 そして、お兄さんを一番部屋が近い俺の部屋に。 鼻血って、どう処置するんだっけ? 冷やすの? なんなの? 俺がオタオタしている間にハルさんがテキパキと処置をしていた。 「仁、気にすんな。こいつ、昔っから良く鼻血出してたんだよ」 「えっ?そうなの?」 どうりで処置に慣れてると思った。 「ねえ、引っ越しの手伝いしようよハルさん、ね?ケイも」 俺はケイとハルさんを見る。 お兄さんは休んでた方がいいし、引っ越し中断させるわけにもいかない。 「いいですよ」 とニコッと笑うケイと、チッと舌打ちするハルさん。 「えっ?悪いよ」 お兄さんは慌てて断るけど、そうもいかないよ。 俺、迷惑かけてるし! 「休んでて下さい!荷物二階に運ぶだけですから大丈夫です」 俺はケイとハルさんを連れて、また外へ。 「仁、お前、気をつけろよ」 ハルさんに耳打ちされた。 「大丈夫ですよ、俺、結構力あるし」 とハルさんに微笑む。 「ちげーよ」 ハルさんはそう言いながら俺の尻を撫でた。 「ちょ、ハルさん」 「まあ、俺が守るけどね」 と真顔で言われた。 ******** お兄さんside 仁くん♪仁くん♪ やっぱり可愛いなあ。 ソファーに座りちょっと幸せ気分。 仁くん見たらさあ、自然とニコニコしちゃうんだよ(ニヤニヤともいう) まあ、鼻血久しぶり出しちゃったけどさ。 だって、思い出してしまった。 あの夜を!てへっ。 あれから、おかずは仁くん。 だって勃起しまくりだからさ、妄想でいっぱい仁くんとセックスしちゃった。 ああっ、早く現実にならないかなあ。 例えば、このソファーで仁くんに迫られたり、 壁に手をつけて立ったままバックしたり、 酔った仁くんに抱かれるのもいいなあ。 クッションに顔を伏せて足バタバタしながら妄想! きゃーっ!仁くん仁くん♪ ※足バタバタ×仁くん20回繰り返してみよう。 「おい、そんな興奮してたら、また鼻血でっぞ」 ハルの声。 顔を上げると、 「あー、ほら、言わんこっちゃねえ!」 ハルが慌てたようにティシュを鼻にあてたから、また鼻血出たのか~と思った。 「30過ぎたオッサンが興奮して鼻血出しとる場合やなかやろうが」 ハルに怒られた。 「べ、別に興奮なんかしとらん」 「お前の小さい時からの癖だろうが、良いことあったら枕やクッションに顔伏せて足バタバタ。鼻血もどうせエロか妄想しよったっちゃろうが………仁で」 最後の言葉で俺はピキンと固まる。 「なななな、なんで仁くん?」 「だから、分かり過ぎ!引っ越しも仁目当てだろ」 ばれて~ら。 ま、双子だしね。 「てへっ」 「てへじゃなかぞ!仁は俺んとぞ、そいば忘れんな。いくらソウでも仁だけら譲らん」 ビシッと言われた。 「べ、別に奪おうとかそんなんやなかしっ」 「なんで、目を見て言わん?」 「せ、せからしかぞ(うるさい)大体、何でハルだけ戻ってきたとや?」 話をそらしてみた。 「鍵」 ハルは俺の前に手を出す。 ああ、鍵ね。 「鍵が無かけん、荷物運べん」 鍵を渡すとハルはまた、戻って行った。

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