143 / 326

酒は酒屋に茶は茶屋に3話

******** ハルside あんの野郎、ぜってぇ仁に惚れてやがる。 仁は俺が守る。 「ハルさん遅い」 仁とケイがドア前で座り込んで俺を待っていた。 しかも、また膝抱えてるし、なんか可愛くて和んだ。 ちゃっちゃと荷物を運び入れてみたものの、 「はーいーりーきーれーねぇぇ!」 ソウは真剣にバカだと思う。 こげな狭い部屋に自分が住んでたマンションの家具が全部入ると思っているのがバカ! 「ごめんね。もう大丈夫だから」 とソウが戻って来た。 「おい、入んねーぞ!どうすんだ」 俺はちょい怒ったように言う。 ベッドなんてダブルだし!俺なんてシングルだぞ! まあ、狭いから仁をぎゅっと出来るんだけどね。 「あ……」 ソウはようやく、その事に気付いたらしく、 「入らない分、処分しようかな」 とかムカつく金持ち発言! 「えっ?勿体なくないですか?」 と仁とケイの声がかぶる。 「入らないし」 「無理やり入れちゃいますか?」 「えっ?む、無理やり?」 「あ、やっぱり無理やりはダメですか?」 「い、いや、仁くんがそう言うなら……無理やり入れちゃう」 ソウの野郎、違う入れるを想像してやがんな! 気持ち悪いくらいにニヤニヤしてる。 「入るかバーカ!」 俺はソウと仁の間に割入り、変態野郎から引き離す。 「でも、入らないみたいだし。」 「仁、お前もういいぞ。ケイと戻れよ。後は俺がやるから」 「えっ?手伝いますよ」 もちろん、そう言うだろうと思って、 「戻んねーと、2人の前でチュウすっぞ」 と脅す。 有言実行な俺ならやりかねないと仁はケイを連れて戻って行った。 残念そうなソウの顔。 けっ、やらしい想像を仁ですっからだよ! 「おら、片付けるぞ」 「仁くん帰ったからやる気無くなった」 ソウは座り込む。 ふ ざ け る な ! クレヨ〇しんちゃんの母みさえの必殺技のこめかみグリグリを力いっぱいソウにかます。 「痛い痛い、」 「ちゃんとやれ~」 ソウは膨れっ面で片付け始める。 なんか……ムカつく。 昔っからソウはこんな感じ。 頭が良くて愛想も良かったし、顔も……。 双子だから大人はいつも比べたがった。 まあ、昔の事だけどさ。 ソウばかり特別扱いだったのは確か。 でも、意外と不器用で世話が焼けるんだけど、なんかな、憎めない所もあるんだよコイツは! とりあえず無理やり入れ込んで、 「あとは1人でやれよ」 と放置プレイ。 えーっ!ケチ、とかブーイングを受けながら部屋を出た。 部屋を出ると隣は俺の部屋のドアが目に入る。 ここの壁、結構薄いんだよなあ。 ちょい前に住んでた大学生の野郎は彼女と毎晩やりまくるから、声がバリバリ聞こえてたもんなあ。 今夜、仁は嫌がるかも知れない。 でもスイッチ入ればこっちのもんだし……。 なんて考えながら自分の部屋に入る。 隣側の壁がガタガタウルサい。 やっぱ、めちゃ響くやん! そして、ガタガタの音がしばらくすると止み、 「きゃー」 バタバタ、バタバタ、 とソウの妄想癖が始まりやがった。 また、仁で妄想してんな。 妄想でも仁を抱くのは許さねえ! ガンッと壁を殴りつけると、シンっとなりガタガタと片付ける音が。 分かりやすい野郎だぜ。 ******** 仁side 「佐伯さんのお兄さんカッコイいですね。爽やかだし」 とケイ。 「爽やかだけど……ハルさんもカッコイいと思うけどなあ」 俺の答え。 俺はお兄さんよりハルさんがイケメンだと思う。 ハルさんは筋肉質で腹なんてEXIL〇並みに割れてるし、 俺を軽々とお姫様抱っことかしてくれてさ、笑った顔とか優しくて好き。 あと、 キスが上手い。 暇さえあれば、キスばっかしてしまうんだよなあ。 あと、セックスも気持ちいい。 残念な事に途中から頭真っ白になって覚えていないんだけどね。 「仁さん、僕は?僕はカッコイいですか?」 首を傾げたようなケイの仕草が可愛い。 「ケイは可愛いかな?」 「カッコイいが良いですけど、仁さんが言ってくれる言葉は全部嬉しいです」 ニコッと無邪気に笑うケイ。 やばいくらい可愛い。

ともだちにシェアしよう!