155 / 326

河童の川流れ 4話

「あ、そーだ、倒れる時に仁の名前を言ったわよね?私が知ってる仁かしら?」 「そうだよ」 僕の代わりにマヨマヨが答えた。 「仁に弟いたかしら?」 首を傾げるパパさん。 「僕は居候なんです」 「居候?仁と暮らしてるの?」 「はい」 大きく返事すると、 「まあぁ、羨ましい!じゃあ、寝顔見たりお風呂覗けたり出来るの?」 パパさんは羨ましそうな顔で僕を見る。 「そうですね。…あ、お風呂は一緒に入った事ありますよ」 「えぇ!嘘、いいなあーっ!ねえ、仁ってチンコでかい?」 パパさんは食いつくように聞いてきて、なんか怖い。 「デカいですけど。」 「ああっ、いいわね!お風呂一緒に入ったりチンコ見れたり羨ましい」 パパさんはため息をつく。 「あの、パパさんも仁さん好きなんですか?」 そう聞く僕にパパさんは乙女のような顔でもちろんと頷いた。 「仁さん格好いいですよね。僕のヒーローなんです」 「ヒーロー?」 「そうです。ほら、仮面ライダーに変身する前って格好いい男の子ばかり使ってるじゃないですか。仁さんってそれっぽい」 「ああっ、確かに!ライダーは若手イケメン俳優の登龍門だものね。私のヒーローになってくれないかしら?」 ウットリとした顔のパパさん。 「私に聞いてくるって事はケイちゃんも好きなの?」 「はい」 ニコッと笑う僕に、パパさんは、 「じゃあ私達恋のライバルね。」 と手をギュッと握ってきた。 「マヨマヨもだよね」 僕はマヨマヨに微笑みかける。 「う、うん」 なんか様子が違うマヨマヨ。 どうしたの?と聞いても、何でもないと首を振る。 「打倒佐伯ね。本当に何であんな野獣とくっついたのかしら」 「確かに野獣ですね佐伯さん」 同意する僕にパパさんはニコッと微笑み。 「さあ、もう少し寝ましょう。真世は学校だしケイちゃんは?高校生?」 「いえ、成人してます」 「うそやーん」 パパさんは僕のホッペをプニプニつつく。 「パパ、ケイは23だよ」 マヨマヨが助け船を出してくれて、ひとまずは誤魔化せた。 「そういう事にしとくわ」 でも、明らかに信用してなかった。 もう少し寝ようって事になり、パパさんは部屋から出て行き、マヨマヨが僕の横にスルリと入って来た。 ギュッと抱き付いてくるマヨマヨが可愛く感じて僕もギュッと抱きつく。 自然に重なる唇。 おやすみのキスかな? その後は一緒に眠った。 8時にアパートに戻ってくると美沙さんが待ちかまえたように、 「おはよう。ケイちゃんどうだった?あ、大丈夫よ。仁は夕べ早く寝たまま、まだ起きてないの。朝帰りはバレてないわよ」 と目をキラキラしながら寄ってきた。 どうして、キラキラしてるんだろう? 「真世くんとエッチしたんでしょ?」 「えっ?し、してないですよ!」 最後まではしてないもん! 「焦っちゃって可愛い。でも、これ、仁じゃないわよね?ここんとこ仁とやってないみたいだから」 美沙さんに首の後ろをつつかれた。 へっ?嘘! マヨマヨにはキスマークは付けないでとお願いしていたのに。 慌てて洗面台の鏡で確認。 しっかりあったキスマーク。 嘘! 焦る僕。 マヨマヨに確かに背中も舐められた。 気持ち良くて気づかなかったよう! 仁さんにバレないようにしなきゃ。 「やっぱ、ケイちゃんが受け?まさにリアルBLよね」 美沙さんは洗面台まで付いて来ていた。 「美沙さん、仁さんには絶対に秘密ですからね!」 「もちろんよ!どんな事したかオネイサンに詳しく話して」 なんでかな?イキイキしているように見える。 「美沙さん仕事は?」 「ああっ、いけなーい!クライアントと約束してたんだ!こんな時に!こんちくしょー」 美沙さんは吠えるように叫ぶと上着と鞄を取りに行き、戻って来ると、 「帰ってから詳しく聞くわ」 と僕の手をギュッと握ると元気に走って行った。 美沙さん………あんな細くて高いヒールで走れるから凄い。 美沙さんが出て行った後、僕は仁さんが寝ているベッドへと行く。 佐伯さんと寝てるかな?と思ったけど1人で寝ていた仁さん。 寝顔可愛いなあ。

ともだちにシェアしよう!