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河童の川流れ 6話
カタッ、
ドアが開くような音がしたから先生が戻って来たのかと思った。
「真世、寝てんの?」
良く聞く声。
「先輩………何で?」
カーテンから顔を出している高等部の先輩。
「真世が授業中に歩いてるのを見かけてさ」
先輩は僕の側に来た。
「高等部の教室はかなり離れてるじゃないですか?」
「真世の顔見にきたんだよ」
先輩は高等部の3年生。
僕が高等部に進む時には卒業してしまっている。
だから、安心して手を出したのに、先輩は僕に本気になって……………………、 こうやってたまに中等部まで来る。
暇な人だよ、全く!
見た目、マッチョな先輩。
空手部主将。
でも、
「真世、頼むよっ………………敬語無しで俺をイジメてくれっ」
超がつくドM。
「面倒くせえ!マジ眠いんだから消えろよ」
ジロリと睨む。
今はケイにゃんの事だけを考えたいのに。
「あふ~ん、真世っ!ハアハアくるよお」
先輩はデレデレした顔で腰砕けでベッドの側に座り込んだ。
ああ、もう!これだからドMは!
「真世、なっ、もっとなじってくれよ」
先輩は僕の上に。
重いし!
「あー、もう!うっせえドM!」
どかそうとするけど興奮した先輩に押さえ込まれた。
「真世、しよ?」
ハアハアしながら先輩が僕の制服を脱がそうとしてきた。
「そんな気分じゃねーよ」
「真世、その調子」
いやいやいや、
先輩を萌えさせてるわけじゃないし!
ハアハアしながら僕にチュチュッとチュウしまくる先輩を足で蹴飛ばしてベッドから落とした。
「いたーい!なにすんのお」
転がる先輩。
先輩は興奮がピークに達するとオネエになる。
疲れる。
「授業受けにいけよ、ドM野郎」
先輩を足蹴にして言葉を浴びせた。
「あああっん、真世っ」
ウットリした顔で僕を見る先輩。
マジ疲れる…………………。
先輩をどうにか外に出して寝直す事にした。
シーツにくるまってケイにゃんの事を考えていると、また、人の気配。
先輩…………、
「マジいい加減に」
ガバッと勢いよく起き上がると、
「うわっ」
とビックリしているのは先輩とは違う人物。
「先生」
担任の先生だった。
「どうしたんだ?」
勢いよく起き上がりいきなり怒った僕を心配そうに見る先生。
「いえ、寝ぼけてただけです」
僕はニコッと何時もの優等生スマイルで誤魔化した。
「矢野先生は不在?」
担任が聞く矢野先生は保健室の先生の事。
「はい。いないから勝手にベッドに横になってました」
「熱は?」
「計ってないから分かりません」
僕がそう答えると先生は体温計を捜してきた。
チッ、余計な事を。
「すみません」
言いたくもないお礼を言うと体温計を脇に挟んだ。
「顔色悪いな、家帰った方がいいかも」
先生は僕のオデコに手をあてる。
ピピピッ
体温計の音がして、先生が僕の脇から体温計を取り出す。
「37度8……微熱ってわけでもないな」
本当に?
ラッキーかも。
「大事を取って早退しなさい家まで送るよ」
「いえ、大丈夫です。1人で帰れますから」
ベッドから降りようとすると腕を掴まれた。
「先生?」
ちょっとビックリした。
「いいから言う事を聞きなさい」
先生は大人しい人なのに、僕の唇に先生の唇を重ねてきた。
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