161 / 326

果報は寝て待て 2話

「一目惚れの相手ですか?」 仁くん君だよ。 「そう一目惚れした相手………その人を捜して欲しいんだ」 あー、我ながらナイスアイデアだよね。 一目惚れの相手が自分だと知ったら仁くんどんな顔するかな?その大きな瞳で俺を見て………………………、 「お兄さん、一目惚れの相手って俺の事ですよね?」 「えっ?」 仁くんが急に真顔になり俺は驚いて彼を見る。 「だって、何時も俺を見てたでしょ?俺、気付いてました」 そう言って仁くんはハンドルを握る俺の手を握ってくる。 「仁くん……」 「車を止めて………ううん、ホテルに行きませんか?」 頬を染めて見つめてくる仁くん。 「大胆だね?車内でも2人っきりなのに」 「誰かに見られちゃう…………俺がお兄さんとしたい事を」 ぎゅっと手をキツく握りしめて仁くんは俺に近づく。 「何をしたいの?」 俺もドキドキしてきた。 「いじわる………分かってるくせに」 近づいてきた仁くんは俺の肩に頬を寄せた。 「言ってくれなきゃ分からない。さあ、言ってごらん?」 「俺…………お兄さんに抱かれたい」 「仁くん」 俺は仁くんの手を握り返す。 「ダメですか?」 「断る理由なんてないさ。俺も君を抱きたい」 「お兄さん………嬉しい。……ねえキスして」 「誰かに見られるよ」 「いいんです。早く」 仁くんは俺の前で目を閉じた。 「仁くん」 「お兄さん…」 唇を近づけて君にキスを………っ 「お兄さん、信号赤っ」 「えっ?はい?」 俺は慌ててブレーキを踏む。 (※もちろん妄想でした) 「もう駅に着きましたから、ここで……あの、依頼の話は後から聞くんで携帯番号を」 「へっ?携帯番号」 「はい。教えて下さい」 ニコッと笑う仁くん。 ケー番交換きたーーーっ!! 俺は急いで携帯を取り出す。 ああっ、神様ありがとう! 神は見てくれてるんだよね。 ふふっ、その内に恋のキューピットの矢が俺達を射抜くだろうね。 愛の番号交換。 幸せだ。 「じゃあ後で電話しますね」 仁くんは笑顔を見せて車を降りる。 俺にだけ見せる笑顔。 俺にだけ振られた手。 ああっ、仁くん!仁くん! 後ろ姿を見送る俺に何度も振り返り手を振ってくれる。 くうぅぅっ!なんて可愛いんだ。 俺の下半身が熱くみなぎってるよう。 仁くんに挿入したいって自己主張してるよ。 ああっ、もうハアハアくる。 仁くん仁くん。 きゃーっ バタバタ!←(※座ったままやってます) ピリリリッて着信。 ああっ、もう!大事な妄想中に誰だよ? 携帯を出すと表示は楠木。 空気読め、楠木。 「はい」 電話に出る。 「社長、どこにいらっしゃいますか?」 少し怒った楠木の声。 「今、商談中なんだよ」 「えっ?そうなんですか?申し訳ありません。社長、今日は会議ありますよ分かっていらっしゃいますよね?」 念を押すような嫌味を口にする男。 くそう、仁くんを見習え。 「分かっているよ。直ぐに行く」 「お待ちしております」 楠木はその声で俺は電話を切る。 楠木、いくつだっけ? 仁くんの可愛さとかさ色っぽさとか、持ってたら良いのに。 俺は駅ビルに入った仁くんを追いかけたくてウズウズしている。 会議って3時からだよな? 俺はスケジュールを確認。 よし、3時までに会社に行けばいいや。 俺は車を駐車場に停める。 妄想仁くんで抜こうと思ったのに楠木のせいで萎えた。 仕方ない。 俺は車を降りると仁くんが入った店へと向かう。 小さい喫茶店の店内。 直ぐに仁くんを見つけた。 奧の席で男と話している。 アイツ、仁くんに手だしたりしないよな? ああ、心配。 仁くん可愛いから。 俺は直ぐに仁くん達の席の近くに座る。 耳を澄ませて会話を聞く。

ともだちにシェアしよう!