162 / 326
果報は寝て待て 3話
********
ケイにゃんside
お風呂場を掃除しながらキスマークを確認。
目立っちゃうなあ。
キスマーク消えるまで仁さん誘えない。
もう!マヨマヨに注意しなきゃ!
僕は時間を見て、丁度、休み時間なのを確認して電話をする。
耳に聞こえてくるコール音。
何コールしてもマヨマヨが出ない。
あれ?
気づいてないのかな?
それともお友達と騒いでてとか?
マヨマヨ、お友達多そうだもん。
きっと後から掛け直してくれるよね?
僕は電話を諦めて携帯をポケットにしまう。
ビビッ、ビビッ、
壊れたチャイムの音がなるから仁さんかな?って僕は覗き穴を覗く。
ちぇっ、佐伯さんかあ。
覗き穴から見えるのは佐伯さんの姿。
ドアを開ける。
「オッス、ケイにゃん…仁居るだろ?」
「居ません。仕事だって慌てて出て行きましたよ」
僕の言葉に佐伯さんもつまんなさそうな顔をした。その気持ち分かります。
「ちぇっ、ケーキ買ってきたのに」
佐伯さんは僕にケーキの箱を渡す。
「仁さんの好きなケーキ屋さんのですね」
仁さんがここのケーキを食べている姿。凄く可愛いから好き。
「とりあえず先に食べよう」
佐伯さんは自分でコーヒーを入れ、僕にはホットミルクを渡してくれた。
「ありがとうございます」
僕はホットミルクを一口飲む。
「ケイにゃん朝帰りしただろ?誰とヤッてきたんだ?」
佐伯さんいきなりの言葉に僕はホットミルクを吹き出しそうになった。
朝帰り見られてたんだあ!
咽せながら同時に焦る。
「可愛い顔してやるなあ。」
ニヤニヤしている佐伯さん。
僕は息を整えると、
「ま、まだヤッてません」
と言ってしまった。
「ほー、まだねえ。んじゃ、これからやるんだな」
佐伯さんは更にニヤニヤ。
しまった、自ら墓穴を!
「や、やんないです!ただ、練習してたんです!」
慌てて抗議。
「練習?」
佐伯さんは僕をじーっと見るから、つい、下を向いてしまった。
「あの、その、フェラとか……仁さんが下手くそとか言うから内緒で上手くなろうと」
ボソボソと話す僕に、
「相手は?」
と何故か低い声の佐伯さん。
ニヤニヤしてたのに急に真顔。
なんか怒ってますか?
「佐伯さん、何か怖いです」
「相手はどんな奴や?変な野郎やなかやろうな?」
詰め寄られて僕は怖くて、でも首はブンブン振る。
マヨマヨは変な野郎じゃない。
「本当やろうな?ケイ、分かってんのか?お前みたいに華奢な美少年は変態の餌食になりやすかとぞ?拉致られて強姦とかエロい事されまくりとぞ!」
迫り来る佐伯さんが怖い。僕涙目。
「あー、そうやって可愛く半ベソも変態は余計に萌えっとぞ!こげん細い手首は直ぐに掴まれて」
佐伯さんは僕の手首を掴むと、そのままソファーに押し倒してきた。
「やっ」
抵抗しようとするけれど両手首を頭の上で押さえつけられた。
「で、このまま、エロい事ばされっとぞ!」
佐伯さんはきっと注意してくれてるんだよね?
ハアハア息が荒いのは気のせいだよね?
「ほ、本当に変な野郎じゃないです!僕に仁さんの為に練習しようって言ってくれたし」
僕は必死に説明をする。
「へー、ソイツは仁を知ってんだな」
「あっ」
ヤバいとか思ってしまった。
な、なんて誤魔化そう?
あー、僕は言葉のボキャブラリーというか、言い訳とかが下手だから、思考回路がショートしそうだ。
「ケイ、お前の相手は真世だな」
ギャーばれたーっ!
汗がダラダラ。
「お前はーっ!このバカチンがっ!真世は仁をレイプしようとしたとぞ?そがん危なか男と」
佐伯さんの声はデカい。耳がキーンとなる。
「マヨマヨは危なくないです!」
「そいは猫かぶってるったい。あいつは狼ぞ!」
「さ、佐伯さんも狼じゃないですか!」
と、とりあえず小さく反撃。やられっぱなしはヤダ。
「あー、まーな。」
佐伯さんにその小さな攻撃はちょっと効いたみたい。
なんか何か思い出したように照れてる。
「マヨマヨは僕に無理やりとかしないです。本当です」
「あいつ前科あるからなあ。それに絶対にその内に痛い目遭うガキだ」
佐伯さんはマヨマヨを信用していない。でも、本当にマヨマヨは優しい。
マヨマヨ………今頃、授業かなあ?
ともだちにシェアしよう!