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果報は寝て待て 8話
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仁side
良かったー!時間間に合ったぜい!
俺はお兄さんに感謝しながら喫茶店の中へ。
確か一番奧の席に居るって言ってたよなあ。
依頼人とは初対面。
電話でのアポ。
まあ、職業柄危ないヤツも居たりするから用心してるんだけど、怪しげなビルとか人目につかない場所の指定じゃなかったから、とりあえず会う事に。
なんせ、毎回美沙に金品奪われてるからなあ。
金、必要、絶対!
一番奧へと進むと男性が俯き加減で座ってる。
依頼人は男性だから、この人かな?と声を掛けてみた。
「あの、失礼ですが、佐々木…良介さんですか?」
男性は顔を上げて、 「はい」と返事をした。
「良かった。おれ……あ、私、向井仁でお電話いただいた探偵事務所の者です」
俺は名刺を出して丁寧に頭を下げる。
「へえ、可愛い顔してるんだね。まだ若いのに探偵してるんだ」
佐々木さんはフレンドリー。
いや、フレンドリーというか、なんだろう?この一瞬にして君年下だよね?お前仕事出来んの感は……。
「あはは、若く見えます?三十路いってるんですけどね」
と愛想笑い。
あー、もう童顔って初対面では不利なんだよなあ。
「え?ウソ、すみません!俺より下くらいだと……22~3くらいかと思いました。どうもすみません」
佐々木さんは深々と頭を下げた。
「あ~、いえいえ気にしないで頭上げて下さいね」
必死に謝る佐々木さんは何だか可愛く見えた。
気を取り直して仕事再開。
「あの、依頼はどのような」
佐々木さんの正面に座り質問。
佐々木さん沈黙。
…………………………………5分経過。
あれあれ?
佐々木さん肩震えてるよ?
笑いこらえてるんかな?
肩が震え出して俺、困惑。
「あの、佐々木さん?」
声をかけてみる。
ぐすっ……ひっく、
おおっとおーっ、 笑ってるんじゃなく泣いてるじゃないか佐々木さん!
「ううっ……ま……よっ」
ううっ、ま、よ?
うまよ?馬よ?
ん?何かな?
「さ、佐々木さん?」
もう一度呼ぶ。
「真世ぉぉ」
佐々木さん号泣。
「さ、佐々木さん、佐々木さんどうしたんですか!」
顔を伏せて号泣な佐々木さんと俺に店内客の視線が降り注ぐ。
ああ、何かさ、 ゲイカップルが別れ話しているような視線が痛い。
特に斜め前の女子2人は目キラキラしてるんだぜ?
ヒソヒソと何か言ってはキャーって興奮。
ああ、なんか美沙と同じ匂いプンプン。
絶対に彼女達は腐女子だ。
でも、確かにこの状況じゃ誤解されるよ!
やっぱり事務所来て貰えば良かった。
「佐々木さん、泣き止んで下さい」
佐々木さんの肩に手を置いた瞬間、
佐々木さんは俺の腕にしがみつき、
「忘れられないんだよ、俺は……もう、捨てられたら生きていけないんだ」
と爆弾発言。
ええっ!ちょっとお!
腐女子2人をチラリと見るとめっちゃ見てる!
しかも、おい!動画とか撮り出してるよ!
やばい、何?
店内皆して俺が佐々木さん振ってるみたいな?状況ってやつ?
ううっ、逃げたい!
誰か助けて!
視線が痛いよハルさーん!
「仁くん大丈夫?」
ハルさん?
名前を心で叫んだらハルさんの声。
振り向くとお兄さん。
あ、お兄さんかあ。
ハルさんと声同じなんだもん~ちょっと期待した。
でも、同時にホッとした俺が居る。
お兄さん帰ったんじゃなかったのか。
あ、もしかして待っててくれてた?
「こら、こんな所で泣くと店の迷惑だろ?大人なんだから」
お兄さんは佐々木さんの腕を取り俺から離した。
「これじゃあ人目につきまくりだろ?ひとまず俺の車に」
お兄さんは俺を見て微笑む。
ああ、お兄さんって天使?神様?
「助かります」
俺はとにかく、この場から逃げたい!
やだやだ!
お兄さんは佐々木さんを立たせ連れ出してくれた。
後を追う俺の耳に届いたのは、
「や~ん三角関係ね。きっと、あの男の子が爽やかイケメンスーツとデキちゃっての修羅場ね。萌えるー」
と腐女子2人の会話。
ああ、もう腐女子って妄想好きばっかやんけ!
チラリと見ると、 「頑張って」と応援された。
何を頑張るんだよ俺は!
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