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果報は寝て待て 9話

******* 妄想お兄さんside あー、もうムカつくムカつくムカつく!! 俺の仁君に触りやがって!怒ってんだぞ、俺は! 仁君から離して男の背中を押す。 俺が見てなかったらコイツはもっと仁君に触ったかも知れない。 良かったよ見張ってて。 それに仁君は俺を見て凄く嬉しそうに笑ったんだよね。 ああ、もう凄く可愛かったよ仁君の笑顔。 車に着くと仁君が、 「お兄さんが居てくれて助かりました」 とまた微笑む。 わあ。もう可愛い可愛い可愛いよー仁くん仁くん♪ 「車乗って。話出来る場所に連れて行ってあげるよ」 「はい。お言葉に甘えて」 仁くんは後部座席に乗り込んだ。 ふふ、またドライブ出来るね。 「あの……本当にすみません、ご迷惑かけて」 …ちぇ、コイツさえ居なければ2人でドライブなのに! しかも仁くんの横に座ってるし!プンスカップンプン。 「佐々木さん落ち着きました?」 「本当にすみません」 「頭そんなに下げないで下さい」 ああ、仁くん優しいなあ。 ずっと見てたいなあ仁くんを。 とりあえず会社に連れて来た。 社長室に2人を招き入れるとコーヒーを出す。 「お兄さん、俺がするのに」 仁くんが慌てて手伝いに来た。 「仁くん座っててよ」 「お兄さん…本当にいつもすみません。迷惑掛けてばっかりで」 不安そうな顔。 そんな顔も凄くそそっちゃうよ。 可愛い。 目をクリクリと動かし、俺を見つめる仁くん。 長いマツゲにほんのりピンク色の唇で俺を呼ぶ。 いつか、その唇が、 「好きです。抱いて下さい」って言うのを待ちたい。 「お兄さん?」 首を傾げて俺を見つめる。 「仁くん……ソウって呼んでよ」 「え?」 驚いた顔。 ふふ、可愛いね。 「お兄さんより、ソウがいいな」 「いいんですか?」 「もちろん」 「じゃあ、ソウさんで」 恥ずかしそうに名前を呼ぶ仁くん。 あああ、やばーい!かわゆーい!だきたーい! 仁くんとの距離が縮まったね。 ◆◆◆◆ 仁side 「本当にすみませんでした」 落ち着きを取り戻した佐々木さんが何度となく俺に頭を下げる。 「いえ、もう謝らないで下さい」 もう、本当に困るくらいに佐々木さんは謝り続けてるんだよね。 「あの、依頼の話を……」 チラリと腕時計を見る真似をする。 ぶっちゃけ暇だけど、話が進まない気がして、気が引けるけど忙しい振り。 「あっ、はい……でも」 佐々木さんはチラリと俺の後ろを見ているから、何?って振り向くと、お兄さん……いや、ソウさんがワクワクしたような目で俺達を見ているじゃないか! ソウさんのお世話になってるとはいえ、依頼主の依頼は口外、ダメ、絶対! 「あの、ソウさん」 俺はソウさんに声を掛けて佐々木さんと2人だけにして欲しいとお願いした。 「あ、そうだよね。聞いてちゃダメだね。」 恥ずかしそうなソウさん。天然なのかな? 「俺は隣に居るから、もし……何かあったら呼んでよ。直ぐに助けに来るから」 ソウさんは俺の肩に手を置き微笑む。 助ける事はないと思うけど、きっと心配性なんだなあ。 「はい。ありがとうございます!」 つい、元気に返事をした。 ソウさんはクスクス笑いながら隣の部屋に。 迷惑をめっちゃかけてるのにソウさんは優しい。 ハルさんは良いなあ。こんな優しいお兄さんが居て。 ソウさんも隣の部屋に行ったので佐々木さんと仕事の話を再開した。 「佐々木さん、依頼内容を」 「はい。あの………俺、もう直ぐ実家がある宮崎に帰るんです。で、その前にもう一度だけ好きな人に会いたくて」 佐々木さんはまた目にジワリと涙を浮かべる。 「恋人……ですか?」 きっと、本当に好きだったんだな。 「恋人……だったら、どんなに良いか。俺は本気だったけど…彼は違ったみたい」 また泣き出しそうな佐々木さん。 ……ん? あれ? 今、彼って言った? 聞き間違いかな? 俺は確認するように、 「彼?男ですか?」 と聞いた。 佐々木さんは、「はい」と言って頷く。 ああ、そっかあ~ やっぱ、聞き間違いじゃなかったかあ!

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