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逢いたいが情、見たいが病
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マヨマヨside
「シャツ乾いたぞ。帰るなら送るけど?」
洗濯して乾燥機にかけた僕のシャツを先生が持って来た。
まだ温かいシャツを僕は受け取ると、 「また遊びに来てもいい?」先生にそう聞いた。
「もちろん。まだイヤらしいポーズ撮りたいし」
先生はニヤリと笑う。
「先生の描いたイラスト欲しいな。モデル料の代わり」
「そんなんで良いのか?ちゃんと金払おうかと思ってたのに」
「うん」
お金よりも価値があると思う先生のイラスト。
じゃあ、おいで。と先生に手を引っ張られ仕事部屋に。
「好きなのをどうぞ」
先生の言葉に甘えて自分がモデルのラフ画を含め5~6枚手に取った。
「それだけで良いの?」
なんて、先生は気前が良い。
結局はイラストを沢山貰った僕。
帰る為に制服に着替えていたら、 「写真撮ってもいい?」なんてまたお願いされた。
もちろん良いって返事をすると、写真を撮り始める先生。
「ねえ、先生って恋人居るの?」
着替えながら先生に質問。
「特定は居ないな」
「こんな広い部屋で1人で寂しくない?」
「前は一緒に暮らしてた子居たんだけどね」
「えっ?恋人?」
「恋人じゃないな。甥っ子なんだよ」
「あ、何だ甥っ子かあ」
僕がニコッと笑うと先生は、
「真世の一個上かな?凄く可愛くてさ。」
と先生も微笑む。
「へえ~可愛いんだ?」
「可愛いよ。真世の前はずっと絵のモデルにしてたし」
「嘘!どのイラスト?」
僕の好奇心がうずく。
「真世にあげたラフ画にもあるよ」
そう言われ改めてラフ画を見直す。
「このイラスト」
と指さされたラフ画は確かに萌えイラストで見た事があって、 それに誰かに凄く似てる。
女の子みたいな可愛さと美少年が持つ独特な色気。
あ、 ケイに似てるんだ。
食い入るように見る。
見れば見るほどケイに見えてしまう。
クリクリした大きな瞳はケイの瞳と同じ。
「可愛いだろ?もうさ、ハーフだから小さい時は天使みたいでさあ。今もだけど」
先生はニヤニヤというよりデレデレ顔。
「ハーフ…なんですか?」
「母親がイギリス人」
あれ?
ケイもハーフだって言ってたよね?
偶然?
「ねえ、先生の甥っ子さんって名前何って言うの?」
世の中にイギリス人とのハーフは沢山居るよね?
まさかね?
何って思いながら聞いてみた。
「ケイナ。可愛い名前だろ?顔も性格も身体も全部可愛いんだよケイナは」
ケイナ。
ビンゴ!!
「先生の甥っ子さん今は?」
「今?」
先生は僕の顔を真っ直ぐに見つめて、
「何?ケイナに興味出てきた?でも、だめ~ケイナは大事な甥っ子だからな」
そう言ってニッコリ笑う。
あれ?
家出しているって知らないのかなあ?
「そうじゃないけど……一緒に住んでたって言うから」
「俺に興味?ダメだぞ、好きな子居るんだろ?さて、送って行くから」
先生は僕の頭を撫でると、上着を手にした。
何か話したくないように感じる。
僕は鞄に貰ったイラストを入れ、玄関へと行く。
先生の顔をじっーと見るとケイに似ているような気がする。
「どうした?俺の顔に何かついてるか?」
ニコッと笑う先生はやっぱりケイに似てる。
笑い方とかケイだ。
「ううん。先生笑うと可愛いなあって」
「大人をからかうな」
僕の頭をくしゃくしゃ撫で、またニコッと笑う先生。
ケイが大人になるとこんな感じになるのかな?
ケイはどうして家出したのかな?
そして気づくとケイの事ばかり考える自分に気付いた。
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