171 / 326

逢いたいが情、見たいが病

******* マヨマヨside 「シャツ乾いたぞ。帰るなら送るけど?」 洗濯して乾燥機にかけた僕のシャツを先生が持って来た。 まだ温かいシャツを僕は受け取ると、 「また遊びに来てもいい?」先生にそう聞いた。 「もちろん。まだイヤらしいポーズ撮りたいし」 先生はニヤリと笑う。 「先生の描いたイラスト欲しいな。モデル料の代わり」 「そんなんで良いのか?ちゃんと金払おうかと思ってたのに」 「うん」 お金よりも価値があると思う先生のイラスト。 じゃあ、おいで。と先生に手を引っ張られ仕事部屋に。 「好きなのをどうぞ」 先生の言葉に甘えて自分がモデルのラフ画を含め5~6枚手に取った。 「それだけで良いの?」 なんて、先生は気前が良い。 結局はイラストを沢山貰った僕。 帰る為に制服に着替えていたら、 「写真撮ってもいい?」なんてまたお願いされた。 もちろん良いって返事をすると、写真を撮り始める先生。 「ねえ、先生って恋人居るの?」 着替えながら先生に質問。 「特定は居ないな」 「こんな広い部屋で1人で寂しくない?」 「前は一緒に暮らしてた子居たんだけどね」 「えっ?恋人?」 「恋人じゃないな。甥っ子なんだよ」 「あ、何だ甥っ子かあ」 僕がニコッと笑うと先生は、 「真世の一個上かな?凄く可愛くてさ。」 と先生も微笑む。 「へえ~可愛いんだ?」 「可愛いよ。真世の前はずっと絵のモデルにしてたし」 「嘘!どのイラスト?」 僕の好奇心がうずく。 「真世にあげたラフ画にもあるよ」 そう言われ改めてラフ画を見直す。 「このイラスト」 と指さされたラフ画は確かに萌えイラストで見た事があって、 それに誰かに凄く似てる。 女の子みたいな可愛さと美少年が持つ独特な色気。 あ、 ケイに似てるんだ。 食い入るように見る。 見れば見るほどケイに見えてしまう。 クリクリした大きな瞳はケイの瞳と同じ。 「可愛いだろ?もうさ、ハーフだから小さい時は天使みたいでさあ。今もだけど」 先生はニヤニヤというよりデレデレ顔。 「ハーフ…なんですか?」 「母親がイギリス人」 あれ? ケイもハーフだって言ってたよね? 偶然? 「ねえ、先生の甥っ子さんって名前何って言うの?」 世の中にイギリス人とのハーフは沢山居るよね? まさかね? 何って思いながら聞いてみた。 「ケイナ。可愛い名前だろ?顔も性格も身体も全部可愛いんだよケイナは」 ケイナ。 ビンゴ!! 「先生の甥っ子さん今は?」 「今?」 先生は僕の顔を真っ直ぐに見つめて、 「何?ケイナに興味出てきた?でも、だめ~ケイナは大事な甥っ子だからな」 そう言ってニッコリ笑う。 あれ? 家出しているって知らないのかなあ? 「そうじゃないけど……一緒に住んでたって言うから」 「俺に興味?ダメだぞ、好きな子居るんだろ?さて、送って行くから」 先生は僕の頭を撫でると、上着を手にした。 何か話したくないように感じる。 僕は鞄に貰ったイラストを入れ、玄関へと行く。 先生の顔をじっーと見るとケイに似ているような気がする。 「どうした?俺の顔に何かついてるか?」 ニコッと笑う先生はやっぱりケイに似てる。 笑い方とかケイだ。 「ううん。先生笑うと可愛いなあって」 「大人をからかうな」 僕の頭をくしゃくしゃ撫で、またニコッと笑う先生。 ケイが大人になるとこんな感じになるのかな? ケイはどうして家出したのかな? そして気づくとケイの事ばかり考える自分に気付いた。

ともだちにシェアしよう!