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逢いたいが情、見たいが病 2話
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妄想お兄さんside
仁くんの寝顔ずっと見ていたいなあ。
無邪気で可愛い。
この前思わずキスしてしまったけど、
どうしよう…………、
また、したい。
眠れる森の仁くん……
もしくは白雪仁くん…、
どちらにせよ、王子様のキスを待っているようだなあ。
じゃあ、俺が王子様?
ほわん、と頭で妄想してみた。
キスで目覚めた仁くんが俺を見て、
「こんな情熱的なキスされたのは初めてです………もっと、してください」
と目を閉じる。
くうぅぅ!
良いなあぁぁーっ!
情熱的なキス……したいなあ。
仁くんの唇に指先で触れると、プクッと弾力があって……そして軟らかい。
顔を近付けて、
あと、ちょっとでキス………出来るよ仁くん。
王子様が起こしてあげよう!
コンコンッ、
ドアのノックにビクッとなる俺!
くそっ!仁くんとのキスを邪魔する奴は誰だ!
文句言ってやる!
俺はドアを勢い良く開けた。
「社長」
目の前には楠木。
こんちくしょー、減給してやる!
「何?忙しいんだけど?」
早く追い返す為にぶっきらぼうに言ってやったぜ!
「お客様にお茶とお菓子をお持ちしたんですが?」
そう言った楠木の手には紅茶とお菓子を乗せたトレイを持っている。
「気が利くな」
嫌みな奴かと思っていたけれどデキた秘書だな。
「いえ…」
楠木がチラリと中を見た。
仁くんの可愛い寝顔は誰にも見せたくないから、自分の身体で視線を閉ざした。
「もう下がっていいぞ」
楠木からトレイを奪い、素早くドアを閉めた。
仁くんの側に戻り、トレイをテーブルに置く。
カチャッと陶器同士がぶつかる音で何と、仁くんが目を開けてしまったあぁぁぁーっ!
バカバカ、
食器のバカバカ!
「……んっ?あれえ?お兄さん…」
仁くんは寝ぼけ眼で俺を見てます。
可愛いよっ!
かなり可愛い……!
「すみません、俺寝てたんですね」
自分の状況を直ぐに理解したみたいでソファーから起き上がった。
まだ寝てても良いのに!
まだ眠いのか仁君は指を曲げて目をこすっている。
その仕草がたまらなく可愛い。
脳内カメラに瞬時におさめた。
「まだ眠そうだね?いいよ眠ってても」
なんて甘い囁きを言ってみる!
眠ってる間に……あんな事やこんな事を……
なんて、ついイヤらしい事を考えてしまう。
「お兄…あ、ソウさん、仕事の話を」
お兄さんと言いかけて、ソウさんと言い直す時の照れくさそうな顔がなんとも可愛くて良い。
仁くんはどんな表情をしても可愛い。
普段がこんなに可愛いから、もし、ずっと一緒に暮らしたりしたら毎日、仁くんを抱いちゃうな。
そしてお酒もたまに飲ませて………あの激しくて色っぽくて、ドSな仁くんに抱かれる。
どっちの仁くんも好きだ。
でも、どちらかと言えばドS仁くんが好きかも知れない。
部屋で酒を飲ませて体験した快楽は今まで感じてきたどんな女よりも悦い……。
あんなに感じて何度もイッた、ううん、イカされたのは初めてだった。
また、感じたいよ仁くんを……。
目の前には俺を見ている仁くん。
手を伸ばせば彼を捕まえて抱き締められる距離だ。
「ソウさん?」
俺の名前を呼び、まるで俺が抱きしめるのを待っているように見える。
「仁くん……俺、仁くんに」
今、抱かれてみたいかも。
俺は手を伸ばして仁くんを胸に引き寄せて、そのままソファーに押し倒した。
「ソウさん」
驚いたような仁くんの声。
俺の下に組み敷かれた状態の彼。
キスしたいよ。
いいよね?しても……。
「ソウさん」
顔が近付く。
仁くんが俺の名前を呼ぶ。
その唇を今、塞いじゃうからね。
「社長、お客様が訪ねて来てますよ」
ん?楠木の声。
真後ろから何故?
恐る恐る振り向くと、楠木の姿。
なんでえぇぇ?
「ノックしたのですが返事がなくて…」
申し訳なさそうな顔などせずに俺を見ている。
「あ、あの、ソウさん重いです!誤解されちゃいますよ」
俺の下の仁くんが真っ赤な顔で叫ぶ。
誤解とかされても平気なのにさ!
でも、楠木の前でキスも出来ずに仕方なく起き上がった。
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