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逢いたいが情、見たいが病 3話
空気読めよ楠木!
そんな感情を込めて楠木を睨む。
「受付に安藤様がいらっしゃってます」
楠木は俺の睨みにも屈せずに冷静な顔でそう言った。
安藤……、
楠木の口から出た名前で約束をしていたのを思い出した。
「仁くん、ごめん!ちょっと行ってくるから」
待ってて。と言わなくても待っててくれたら良いなあ。なんて願望。
ソウさんが戻ってくるまで待ってました……、
なんて服を脱いで待ってる仁くんを妄想。
デスクに全裸で座る仁くん……
足を開いて俺を挑発する。
そして、俺の目の前で自辱をして、「ソウさんの………オチンチンが欲しいです」とアソコを指で広げて欲しがる仁くん。
た、たまらーん!
これは早く用事を済ませなきゃ!
(※ただのエロバカです)
*******
仁side
き、気まずい…。
俺をじっーと見ている男性。
ソウさんの会社の人だよね?
どうして俺をじっーと見ているのだろう?
やっぱ、さっきのソウさんが転んで俺の上に乗っちゃったから。(※仁は押し倒された事に気付いてません)誤解してるのかも?
「あの、」
「社長とお付き合いしてるのですか?」
俺が話しかけたのと同時に向こうも話し掛けてきた。
しかも、やっぱり誤解している。
「違います!さっきのはソウさんが転んだんです」
ちゃんと否定をした。
「そうですか。社長が物凄く私を空気読め的な目で見ていたので、てっきりお付き合いしているのかと」
そう返す彼は淡々と話していて、驚くとか嫌悪感を抱くとかは感じられない。
「してませんよ。誤解です」
再度否定。
でも、まだ俺をじっーと見ているんだよなあ。
上から下まで…。
「あの、俺もう帰るんで」
なんだかその視線が嫌で俺は逃げる事にした。
「帰るんですか?社長は多分待ってて欲しいと思いますよ……向井仁さん」
「えっ?」
俺、名前言ったっけ?
そう考えた瞬間、
風景が逆転した。
天井と、男性。
あれ?
もしかして、押し倒されてますか俺?
俺の手はいつの間にか男性に掴まれて頭の上で押さえ込まれていた。
なんだろうコレ?
頭がまだついてきてなくて、俺を見下ろす男性を見上げていた。
じっと、見ていると男性の片手が俺の頬を触ってきて、覚醒!
「あ、あの、これ、なんですか?」
なんですか?って何だろうな?なんて言った後に心で自分に突っ込み。
「あなたを押し倒しているんですけど」
ニコッと微笑まれて、ああっ、やっぱりね!この状況そうだよね。
なんて冷静で居る自分にちょっと笑ってしまう。
ハルさんで慣れてしまった俺。
「押し倒しているのは何でかなあ~って聞きたいのですけど?」
おかげさまでパニックにもならずに済んでいる。
「分からないですか?」
質問を質問で返されたよ。なんだよ、分からないから聞いてるんだって…………あっ、
そうか!
この人、ソウさんが好きなんだ!
だから俺にヤキモチを…
「あの、俺、ソウさん…社長さんの事、好きとかそんなんじゃないですよ!俺にはちゃんと恋人居ますし、だから安心して下さい」
っと、男性に言ってみる。
「恋人……ね。やっぱ居ますよね、昔っからモテてましたからね向井先輩は」
はい?
いま、向井先輩って言った?
確認するように男性を見返すと、
「覚えていませんか?」
そう質問されたて俺は首を振る。
「楠木ですよ。向井先輩」
ニコッと笑う男性。
楠木?
………………………………………ああっ、
俺の脳裏に中学と高校の時の思い出が巡っていく。
楠木、
あの楠木かよ!
「思い出してくれました?先輩は全然変わっていませんよね。相変わらず可愛くて食べちゃいたい」
楠木はそう言って俺の唇をベロンと舐めた。
ぎゃーーっ!
声が出ないくらいに驚いた。
ビックリすると声が出ないのは楠木で実証済み。
「ビックリしました。先輩が社長と一緒に来るんだもの」
俺の驚きを無視して楠木はニコニコ笑う。
コイツは昔っからそうだった!
「俺のファーストチュウ奪いやがって!」
楠木を睨む俺。
そう、俺は大事な初めてのチュウをコイツに奪われたのだ。
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