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急いでは事を仕損じる 9話

うふふ、 くすくすくす、 そうだよなあ、絶対に俺がタイプに決まってるよ。 お金持ちだし、顔はモテる方だし、 痩せていて適度に筋肉もあるし、だ・よ・ね。 仁くんと付き合う事になったら、とりあえずは別荘で丸一日エッチしまくったり、 あ~ドライブでカーセックスもいいよなあ。 海まで行って、海辺で追い掛けっこ……… 「俺を捕まえれたらソウさんの好きにして良いです」 そう言って走り出す仁くんを追いかけて走る俺。 物の数分で仁くんを捕まえる俺。 「仁くん捕まえた」 後ろから抱きしめると、 「わざと捕まりました」 照れ笑いする仁くん。 「仁くん……俺にどうされたい?」 耳元で囁く。 「キスを……」 目を閉じる仁くん。 チュッとキスする俺。 仁くんは俺に抱きついてきて、 「早く俺をハルさんから奪って下さい」 と言うんだ。 ああっ……いいなあ。 えへへ、 あはははっ、 「社長、鼻血」 楠木の叫ぶ声と、俺の顔にティッシュを押し付けられた。 鼻血ですと? 確認しようとすると、 「あ~、もう動かないで下さいよ」 楠木に文句を言われた。 楠木のくせに! 「ほら、こっちで休んで下さい」 しかも命令。 「くしゅき、なまいぎ」 文句を返そうにも上手く言えない。 「これじゃあ、会議に間に合いませんね、専務に電話してきますから、大人しくしていて下さいね」 また、生意気な事を! 俺はソファーで休む。 会議よりも仁くんだよお。 えへへ、 仁くん♪仁くん♪きゃーっ !! 「あー、社長またーっ!大人しくしろよアホッ」 勢い良く楠木が戻ってきた。 しかもアホッとか! そして、気付いた。 クッションが真っ赤だ。 「もうーっ、本当に世話が焼ける」 楠木は何やら怒っている。 楠木のくせに! プンプン! ******* マヨマヨside 「ここで良いよ、マヨマヨ遅刻しちゃうよ」 心配そうなケイナ。 僕らは仲良く朝まで眠ってしまい、早く帰らなきゃ!と焦るケイナを送っている途中。 「アパートまで送るよ。また、変な奴らに絡まれると大変だから」 「でも」 遠慮がちなケイナの手を握り駅の改札を抜ける。 車内でもケイナの手を握ったまま。 結局はアパート近くまで来た。 「マヨマヨ、学校に遅刻しちゃうよ」 ケイナは僕の手を離そうとすが、 「仁さんに見られるのイヤ?」 僕は離そうとする手を強く握る。 「え?違うよ、学校まで遠いでしょ?」 ケイナは心配そうな顔。 心配してくれているのを分かっていても、本当は仁さんに見られるのがイヤなんじゃないかって、思ってしまう。 僕は嫌な子だ。 「仁さんにヤキモチ妬かせちゃおうよ」 僕はケイナの手を引っ張り仁さんの部屋の前に。 タイミング良くドアが開いたから僕もケイナもちょっとビックリした。 「うふふ、ケイちゃんおかえり。マヨくんも」 出迎えてくれたのは美沙さん。 「仁さんは?」 「佐伯さんとこ」 僕はガッカリした。 宣戦布告しようと思ったのに。 「じゃあ、僕、帰ります」 美沙さんに微笑む。 「あら、寄っていかないの?」 「学校がありますから」 僕は美沙さんに会釈した後に、 「じゃあね、また連絡する」 とケイナに手を振った。 「うん。送ってくれてありがとう」 ケイナは無邪気に手を振り返す。 ケイナはきっと気付いていない。 僕は笑っているけど、物凄く仁さんに嫉妬していて、仁さんの所には返したくないって事を。 「学校はどうした?」 僕の目の前の小鳥遊先生は質問を口にする。 「さぼり」 「優等生のくせに?」 「正体知ってるくせに」 「そうだな、まあ、入れよ」 先生はすんなりと部屋へ入れてくれた。 「朝飯は?」 ソファーにドカッと座る僕にまたもや質問。 「食べてない」 「そっか、食うか?」 キッチンへ向かう先生を後ろから僕は抱きしめた。

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