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急いでは事を仕損じる。 15話
先生は僕におおいかぶさり、涙をペロリと舐めた。
「泣くほど気持ちいい?マヨは可愛い顔して淫乱だから」
なんで?
なんで先生は止めてくれないの?
泣いているのは気持ちいいからじゃない。
「やめてよう……ひっく、」
喉の奧が熱くなって嗚咽を感じた。
「マヨ………ほら、全部入った……」
先生の言葉に僕は、
「いや、誰か助けて!いやだよ」
と叫んだ。
僕の横に眠る仁さんが目を覚ましてくれたら?
淡い期待を抱いて、
「仁さん、起きて、起きてよ、僕を助けて」
叫ぶ。
クスッ、 僕の上に居る先生は笑う。
「俺に犯させようとした相手に助けを求めるの?都合良すぎない?」
そう……
確かに犯されちゃえば良いって思った。
ケイナを抱く仁さんが嫌いで、 だから、僕は………
「うえぇっ、ごめ、ごめんなさっ」
先生に犯されて、怖さを身を持って知った。
仁さんを未遂だけどレイプしようとした。
こんなに怖いのに。
「反省した?」
先生はニコッと笑う。
へ?
何が何だか分からない僕はきょとん。
「マヨのヴァージンは奪ってないよ」
先生は玩具を見せた。
「パニックだったから指も玩具も分かんないみたいだったもんな。しかも入り口でグリグリしてただけだし」
先生はネクタイを解き、僕を起こした。
「ヤキモチ妬いたからって彼の身体は彼のモノだし、ましてや恋人が居るんだろ?マヨが好きな子を彼に抱かれ嫉妬したりするように、彼の恋人はショックだと思うよ?」
僕の頭を撫でる先生。
「怖かったろ?もう、欲求不満とか言って身体を自由にさせるんじゃない。俺だって我慢出来ない時もあるんだから、次やったら遠慮なく犯す」
怖かった。
ケイナ以外に挿れられたくなくて、 凄く嫌だった。
きっと、僕が好きにしてきた男達の中で、さっきの僕みたいに怖かった子が居たかも知れない。
「ごめんなさっ」
涙がポロポロ出てくる。
「はい。」
先生はニコッと笑ってくれた。
ごめんなさい、ごめんなさいを繰り返して泣く僕を先生は抱きしめてくれた。
先生は優しい。
優しい大人はパパ以外知らなかった。
「せんせえ……」
「ん?」
「甥っ子さん抱いてたのも嘘でしょ?」
優しい先生がケイナが嫌がる事はしない。そう確信した。
「バレた?マヨが何か疑ってるみたいだったからな。まあ、あんなエロいイラスト描いてたら誤解するもんな。」
やっぱり……先生は何もしていない。
「風呂とか一緒に入ってたりしたからさ。あ、変な気持ちはないぞ?赤ちゃんの時から一緒だから」
「うん」
良かった。
先生は嘘もつかないし、優しい人。
「でも、何で甥っ子の事を気にしてるんだ?」
「……言ったじゃん。イラストがエロすぎって」
僕は先生を見て笑う。
「やっぱ、マヨは笑っている顔が可愛いな」
そう言って涙のあとを先生は拭ってくれた。
「……んっ」
真横に寝ている仁さんが寝返りをうって、薄く目を開けた。
「仁さん」
声をかけると仁さんは僕を見た。
「あれえ?まよ?」
仁さんはゆっくり起き上がる。
寝起きかな?
ぼんやりとした顔をしている。
ぶっちゃけ、可愛い。
そして、寝たりないのか、 ポスンとまたベッドに倒れ込む。
「何か可愛いなこの子」
先生はクスクス笑いながら仁さんを見ている。
僕は仁さんの身体を揺すり起こす。
だって、謝らなきゃ!
凄く失礼な事をした。
「仁さん」
「ん?」
また目を開けて僕を見る仁さん。
「ごめんなさい」
「ん?」
「本当にごめんなさい」
謝っていると自然に涙がこぼれた。
********
仁side
「ごめんなさい仁さん」
俺の目の前で涙を零して謝るマヨ。
えっ?
何を泣いて?
しかも何故に謝る?
状況が掴めず起きあがる。
起き上がって気づいた。
ここどこだ?
しかも、マヨは素っ裸。
えっ?えっ?
俺はベッドの上みたいで、目の前には裸で泣いて謝るマヨ。
も、もしかして俺……酔ってマヨを………
ま じ で ?
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