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暖簾に腕押し 2話
ケイに雰囲気とか似てる。
ケイ、……いつまで美沙ん所に泊まるのかな?
確かに最近、ケイには指1本触れていない。
いや、触れちゃダメだろ!
あまり相手してないせいだよな?ケイだって寂しいよね?
エッチしなくても一緒に居るとか、遊びに連れて行くとか、 夜はケイひとりぼっちだもんな。
もちろん寝かしつけてハルさんの部屋に行くけど。
ケイの事を考えていたら、チクンと胸に針が刺さるような感じになる。
「仁くん、1人百面相してるよ」
クスクス笑う小鳥遊さんの言葉で顔を上げた。
「どうしたの?まだテンパってる?ちゃんと説明してあげるよ。……まずね、ここは俺の部屋」
その説明で俺は周りをキョロキョロと見る。
「仁くんが俺の部屋に居るのは、君が急に倒れたからだよ、で、マヨを巻き込んで倒れたから服が汚れちゃってね、着替えさせたんだ。マヨが裸なのは風呂上がりだから」
なん……だと!
俺ってば!
めちゃくちゃ迷惑かけてんじゃん!
「す、すみません!迷惑かけて、本当にすみません」
頭を一気に下げて謝る俺。
あああ、マヨを犯してなくて良かった!
ホッとした。
ハルさん、俺は犯罪者では無かったです。
「マヨは服着て、ムラムラくるから」
さらりと小鳥遊さん、凄い事言ったような?
服を着だすマヨ。
白い肌が視線の端に映る。
か弱い背中。
くそ生意気でも少年なんだな、って思う。
しかも泣いてる姿は純真無垢な美少年。
そりゃあ佐々木先生も本気になるよな。
でも、何でマヨは泣いてたんだろう?
「仁くん、お願いあるんだけどいい?」
「えっ?はい?」
我に返る俺。
「絵のモデルにピッタリなんだよね仁くんのルックス」
「絵?モデル?」
小鳥遊さんって絵描きなん?
「先生ってSHURIなんだよ、仁さんも知ってるでしょ?」
服を着たマヨが俺の前にスケッチブックをつきだす。
ラフ画で描かれている男性は俺に似ていて、
しかも、確かに見た事があるイラスト。
美沙が好きなイラストレーター……
えっ?えっ?
ご本人様?
「仁くん目デカいね、チンコもデカいけど」
俺がマジマジ見るせいか笑いながらに言うけれども、チンコデカいとか言った?
俺の耳がおかしいんだ、きっと。
「マヨと絡んだ絵を描きたいんだ、いい?」
小鳥遊さんはスケッチブックを手に持つ。
えーっ、マジで?
オロオロする俺と、慣れた感じのマヨ。
マヨは俺に抱きつくように寄り添う。
「あ~そんな感じ!ちょっと動かないでね」
少し後ろに下がると、鉛筆をサラサラと動かしている小鳥遊さん。
えー、マジでSHURIなんだ。
美沙がいたらハアハアしてウルサいだろうな。
しかもポーズまでも文句つけそう。
エロく絡めだの、脱げだの……か、考えたくない。
最近の美沙は妙にギラギラして怖い。
いや、ハアハアか。
俺とハルさんを腐的な目線で追う。
その内、エッチしてる所見せろとか言ってくるんだろうなあ。
ああ、ヤダな、怖いなアイツ。
「あの、仁さん…僕、前に仁さんに酷い事したでしょ?ごめんなさい」
「ほえ?」
突然の謝罪に俺はまたまた変な声をだす。
「突然どした?」
「僕、反省したんです。もう、あんな事しないし、それに手当たり次第に男とやるのも止めます。セフレとか金づるとも縁を切ります」
セフレ、金づる?
マヨーっ、おまいはガキのくせに!
「当たり前だ!お前はまだ中学生だろ?」
「好きな人だけって決めました」
あ、やっぱエッチはするんだ……
「何だよ、好きな奴出来たん?」
そう質問するとマヨは顔を赤らめた。
へえ、こんな素直な顔するんだ。
「どんな奴?学校の奴か?」
俺の質問にマヨは照れ笑いをする。
こんにゃろー可愛いじゃんか!
「あ、学校の先生とかいうなよ」
「違いますよ、仁さんも知ってる人です」
「えっ?誰だよ?」
「秘密です」
マヨは子供っぽい顔で笑う。
腹黒い大人を舐めたような笑顔では無くなっていた。
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