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暖簾に腕押し 3話

「いいじゃん、教えろよ」 つい、恋バナする男子校生みたいにマヨをつつく。 「ダメです。秘密だって言ってるでしょ?」 「年上か下かくらい教えろよ」 「う~ん、……年上です」 そう答えたマヨは好きな人の事を考えているのか、本当に良い顔をしている。 恋は人生も人も変えちゃうんだな。なんてな。 だって、俺も人生変わった。 ハルさんを好きになって、変わった気がする。 「年上かあ。で、俺が知ってる人かあ」 うーん、誰だろう? 年上……マヨより年上。 …………………………………あっ、 まさか、 まさか、 ハルさん?? ああ、わかる! ハルさんエロくて変態だけど、頼りになるしさ、 力も強いしさ、お姫様抱っことか軽々だしさ、ガキの頃ってさ、大人に憧れるもん。 「まさか、ハルさん?」 恐る恐る聞く。 「違います」 真顔で即答。 あ~良かった。 だってさ、マヨは黙っていれば美少年だし、若いし、ちょっと心配してしまった。てへっ。 「仁さんの頭には佐伯さんしかないんですか?」 「……まあ、そうかな?」 「仁さんって」 マヨは俺をじーっと見つめて、 「意外と一途なんですね」 と可愛く笑った。 そんな風に改めて言われると照れる。 「佐伯さんのどこが好きですか?」 「えっ?あ、ハルさん格好いいし、頼りになるし、喧嘩強いし、がさつだけど料理美味いし、気が利くし」 それからえーと、 「好きな体位は?」 「バックかな?駅弁も……………あっ」 し、しまった、 俺は何を…… マヨがニヤニヤしながら俺を見る。 「そうですか~バック好きなんですね。へえ~」 「ま、マヨ、話題変えよ」 やばい、顔熱い! 「駅弁とか佐伯さん力持ちですね……佐伯さんセックス上手そうですもんね」 「あー、あーっ、マヨ、な?違う話しよ?」 焦っている俺をニヤニヤしながら見るマヨと、 クスクス笑いだす小鳥遊さん。 しまったーっ、俺のバカバカ! 「仁くん可愛いね」 クスクス笑いながらにそんな言葉を言う小鳥遊さん、 可愛いとか、可愛いとか、野郎に使う言葉じゃない。 「だから、可愛くないですから!」 否定! 「いや、可愛いよ」 彼は俺に笑いかけると、立ちがあり側に来た。 「顔もそうだけど」 彼の手が伸びて俺の顔に触れた瞬間、 顔が近づき、唇に温かいものが触れた。 ぷにぷにした……柔らかいもの、 ……………………………………!!! ちょ、 ちょっと、 俺は慌てて顔を引き、彼から離れた。 「ほ~らね、そんな反応とか、可愛いよ仁くん」 小鳥遊さんは俺の頭を撫でた。 ちょ、ちょっとーっ、 「き、き、キス」 俺はキスされたーっ! 「うん、挨拶のキス、俺ねイギリス育ちだから」 ニコッと笑う小鳥遊さん。 挨拶ですと! 「ここは日本です!」 「そうだね仁くん」 頭を撫で撫で、 あーっ、もう! 「子供じゃないんですから」 ちょっとイラッ、 「うん、そうだね。恋人の佐伯ハルさんとエッチしまくりで、特にバックと駅弁が好き」 ひゃあーっ、 やめてやめて、 また顔が熱くなる。 「仁くんが受けでしょ?立派なチンコは彼氏には使わないの?勿体無い」 チンコ使う……… 『あっ、仁……気持ちいい………』 ハルさんを抱いた時の感触を思い出した。 凄く締め付けてきて気持ち良かった。 「顔真っ赤……本当、仁くんは可愛いよ、モテるでしょ?」 「えっ?」 我に返り小鳥遊さんを見る。 「これだけ可愛くてエロフェロモン垂れ流しだから、こっち系の男は君をほっとかないよ」 何を言ってんのかな? 俺が可愛いとか、 「俺もね、こっち系。ゲイだからさ、君の魅力はかなり感じてるんだよね」 「はい?」 「仁くん……」 顔がまた近付く、 「わあーっ、だめ、だめ、俺にはハルさんがいます!」 両手で彼を押さえた。 「ぷっ、」 ぷっ? 「あははは、やっぱ可愛いっ」 小鳥遊さんは俺の髪をくしゃくしゃにして撫でながらに笑い出す。

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