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暖簾に腕押し4話

「本当、一途なんだね佐伯ハルさんに」 わしゃわしゃ撫でられた髪を次は直しながらに小鳥遊さんは微笑む。 「そんなに一途なら君に片思いしている子は辛いね」 「へ?」 「君はモテそうだからさ、君が一途になればなるだけ、辛い思いするんだろうね。健気にさ……でも、失恋しても新しい恋があれば忘れられるんだよな、ね、マヨ」 小鳥遊さんはマヨの頭も撫でる。 あ、マヨの好きな人って、 「小鳥遊さん?」 マヨを見ると、 「違います」 これも真顔で即答。 「仁さんって天然ですよね。」 マヨはため息。 何故に!! 「さてと、二人とも送ってあげるよ」 小鳥遊さんは立ち上がる。 「イラストは?」 マヨはスケッチブックを見たそうな顔をしている。 「写真いっぱいあるから」 「色つけたら見せて下さいね」 「いいよ。仁くんにもちゃんと見せるからね」 何ぃーっ、 SHURIの生イラスト見れるのかあーっ! 「ぜひ!」 わあ、美沙とハルさんに自慢しよう。 あ、ケイもSHURI知ってるかなあ? 自慢しちゃおう。 ****** マヨside 助手席に乗り込むと先生は、ニコッと俺に微笑む。 さっき、仁さんに言ってた事は僕に向けられたもの。 頑張れって言ってくれた。 「先生、ありがとう」 「何が?」 ニコッと笑う先生。 「僕も一途で頑張るから」 「うん、頑張れ」 ポンッと頭に手を乗せてくれた。 走りだして随分経った頃、 「あー、俺、制服、制服のままです小鳥遊さん」 後部座席の仁さんが騒ぎだす。 「やっぱ天然だ」 僕と先生を笑い出す。 「ちょ、笑ってないで戻ってください!」 「いいじゃん仁さん似合ってるから」 「マヨー、何言ってんだよーっ恥ずかしいだろうよ」 「また部屋に来てよ仁くん、君とマヨは今依頼されてる主人公二人にピッタリだからさ…来た時に服渡すから」 「今、渡してください!」 真顔で先生にお願いする仁さんが必死過ぎて可愛い。 「でも、制服プレイ出来るよ仁くん」 「にゃっ」 驚いたのか仁さんはにゃっとか、 可愛い。 「マンネリしない為にも制服プレイ」 「な、な、そんなの、そんなのしませんからっ」 あ~あ、仁さん顔真っ赤。からかわれてるって気付いてないんだなあ。 仁さん、こうやって見てたら、ケイナが好きなのが何となく分かる。 大人なのに、世話してあげたくなるし、一途だし……天然で可愛い。 「仁さん」 後部座席に視線を向ける。 「えっ?」 首傾げて僕を見る仁さんは制服のせいもあり可愛く見えて、 「僕、頑張りますから」 と宣戦布告をしてみたのに、仁さんは、 「えっ?まさか俺?えっ?」 きっとまた勘違いしてるんだろうなあって思ったらおかしくなって、 「僕、仁さんに認めてもらえるような男になりますから」 とライバル宣言をしたつもりだけど、勘違いしたままの仁さんは、 「えっ?マヨ、だめだよ、俺はハルさんが」 とどぎまぎしている。 僕の最後の意地悪です。 これからは正々堂々とケイナを奪ってみせます。 「はいはい、ハルさんが好きなんですよね。」 と余裕で笑ってみせる。 「だから、マヨ……ごめん」 真剣に謝り泣きそうな顔。 きっと、ケイナは片思いでも仁さんの側にいたいのはこんなに可愛いからだろうな。 子供の発言にも真剣。 ケイナに会わなかったら仁さんに惚れたかも知れないなあ。 「ふふ、仁さん……僕の好きなのは仁さんではないので安心して下さいね」 そう言ったら、 「えっ?そうなの、やだなーっ、は、早く言えよ恥ずかしい」 たちまち顔を赤くする仁さん、 「仁さん、無防備に可愛さをバラまかない方が良いですよ。」 「えっ?えっ?」 キョトンとする仁さん。 「佐伯さんも気が気でなさそうですよね」 「かもな」 先生も便乗。 そして、気付くこのまま仁さんの部屋に行くとケイナの場所がバレちゃう。

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