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暖簾に腕押し 16話

「は、ははは、ハルさん」 抱き上げられた俺は驚いて暴れるものの、ベッドにドスンと降ろされた。 ハルさんは上半身裸になりやる気満々。 「ちょ、ちょっと」 ベッドの上でたじろぐ俺。 「どうしたのかな仁君?俺とセックスしたいんだよな?」 ニヤニヤするハルさん。 ……ハルさんに騙された。 「ハルさんの嘘つきぃ」 「でも、仁を好きなのは嘘じゃないぜ?」 ニヤリと笑って、そんな恥ずかしい台詞を…、 本当にハルさんはどうしようもない。 どうしようもないけど、 「好きです。俺も好きです」 そう言ってハルさんに腕を回す。 首筋にハルさんの唇の感触。 ぺろっと舌先で舐められ、 「んっ…ハルさん」 と声が出る。 「声、出てるぞ?」 ハルさんは耳朶を軽く噛む。 「ひゃあっん」 耳、弱い! 「可愛いな仁」 ハルさんは俺の頬にチュウして、頭を撫でる。 ハルさんのキス、 好きだと言う声、 俺を麻痺させる。 ハルさんの愛撫が気持ち良くて、声とかどうでも良くなって、 覆い被さってくるハルさんに腕を回し抱きつく。 ****** 楠木side 『あっ、あっ、ハルさん…』 先輩の声が壁越しに聞こえてくる。 ちぇっ、結局はエッチするんじゃん! 喧嘩みたいな感じになったからさ、 先輩のエロい声は聞きたいけど相手は俺じゃなきゃ嫌だ。 だから、先輩と彼氏がエッチしなきゃ良いのにって思った。 好きとか、 セックスしたいって、 彼氏にしか言わないんだよね。 俺には媚薬飲ませるか無理やり脅して言わせるかじゃないと言って貰えない。 暖簾に腕押し… そんな言葉が脳裏を過ぎる。

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