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窮鼠、猫を噛む 3話

抱き締められるのは好き。 好きって言われたから好きになったとかじゃない。 上手く言えないけど、どうしたら良いか分からないけど、 ただ、 マヨマヨに好きと言われて嬉しかったのは確か。 「やっぱり欲張りなのは僕の方だよ。マヨマヨの気持ちにきちんと答えられないのに、こうして抱き締めて貰いたいって望んでる」 「じゃあお合いこだね。僕は…確かにケイナを独り占めしたいけど、泣かせたくないんだ。だから無理やり抱くとかはしないし、仁さんを好きなままで良いよ。仁さんを好きなケイナを好きになったんだもん」 マヨマヨは、 すごい………、 僕よりも何倍も大人だ。 「マヨマヨ、カッコイいね」 つい、口からポロリと出た言葉。 「本当?ありがとう。」 嬉しそうに笑うマヨマヨ見てたら、何だか幸せな気持ちになれる。 「仁さんとこに来なかったらマヨマヨに会えなかったね」 「あ、本当だ!じゃあ、仁さんに感謝しなきゃいけないのかな?ライバルだから、ちょっと嫌だけど」 マヨマヨは何だか子供みたいに拗ねた顔。 それもまた可愛い。 「仁さんに感謝だね。本当……僕は仁さんに感謝してばかりだ」 本当にそうなんだ。 仁さんは僕のヒーロー。 「ねえ、ずっと聞きたかったんだけどケイナはどうして家出までして仁さんの所に来たの?」 マヨマヨに聞かれて、うーん、って困ってしまった。 でも、隠す必要ないし、マヨマヨが仁さんに喋るはずもないから、 「あのね、仁さんは僕の命の恩人なんだ」 と昔の話を話そうと思った。 初めて仁さんに会った遠い昔。 「6歳くらいの時に僕は誘拐されちゃったんだ」 「えっ?」 驚くマヨマヨの大きな瞳はさらに大きくなり、その瞳で僕を見る。 「お父さんは社長で、僕の家はお金持ちなんだ…それで身の代金目的の誘拐をされたの」 「怖かった?よね?」 マヨマヨは何故だか泣きそう。 「初めは怖くなかったんだ。犯人は顔見知りだったの。隣に住んでた浪人生と、その仲間」 「知り合い?そっちの方がもっとショックじゃん」 マヨマヨは僕をギュッと抱っこしてくれた。

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