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窮鼠、猫を噛む 5話

「お前、ガキ逃がしたら……って、誰だお前」 大人達が追い掛けてきて、倒れたお兄ちゃんと、側に立つ仁さんを交互に見ながら、警戒している。 「高校生か?ガキが紛れ込んでるじゃないか、どうにかしろ」 1人が命令したから、 「綺麗な顔したガキだな。幼児よりこっちヤッた方がいいんじゃねえーの?」 と男が近づいて来た。 でも、仁さんはフワリと身体を浮かすと、勢い良く反転させ回し蹴りで男を倒した。 上手い具合に男の首に足がヒットし、一撃で倒した仁さんに、残った男達は3人かかりで向かってきた。 「チビ、離れてろ」 僕にそう言うと仁さんは男達を次々に倒して行った。 まるで悪者を倒すヒーロー。 あっという間だった。 戻って来た仁さんは僕に上着を着せてくれた。 「お兄ちゃん龍騎?」 ライダーに変身する前みたいに綺麗な顔をした仁さんに、そう聞いた僕。 「誰だそれ?俺は仁」 「仁?」 「つーか、こんなチビを犯ろうとするなんて変態だな」 倒れたお兄ちゃんを睨む仁さん。 「まあ、確かに10年くらい経ったら俺好みになりそうだけどな」 仁さんは僕の頭を撫でた。 「ちび、いくつだ?」 「6さい」 「んじゃ16になったら俺んとこ来いよな」 「うん」 この時はわけも分からずに返事をした。 「仁ーっ、」 誰かが走ってきた。 そして、倒れた男達と僕を見て、 「仁、だから酒は飲むなって言っただろうが」 男の人は仁さんを叱っているようで、 「ちげーよ、このチビがレイプされそうだったんだよ」 「へ?」 「お前、刑事なんだからチビを保護してやれよ」 「そうだな、お嬢ちゃん名前」 「そのチビ男だよ、ちいせえチンコついてる」 「えっ?まじ?名前は?」 「けいな」 「けいな?」 男の人は一瞬考えて、 「えっ?誘拐されてる子?」 驚きながら僕をみる。 「あ?何?誘拐って?」 「佐伯さんが言ってたんだよ!ちょ、電話する」 男の人は慌てて電話してて、 その後僕は保護された。

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