242 / 326

窮鼠、猫を噛む 7話

「着替えてきます」 まあ、制服はたまにで良いけどね。 「え~脱ぐんか?」 ハルさんは残念そう。 「借り物ですからね」 「あ~マヨの友達だっけ?」 ハルさんにそう言われて思い出した。 「ハルさん、SHURIって知ってますよね?イラストレーターの」 「ああ、知ってるよ。ゲームとかのキャラクターデザインしているSHURIだろ?エロゲーとか、最高だからな」 ハルさんはニヤニヤ。 「そのSHURIに借りたんです」 「はああっ?」 ハルさんの声が大き過ぎて耳がキーン。 「何でSHURI?会ったのか?どうなんだ?」 ハルさんが怖いくらいに食い付いてくる。 そんなにファンなのかな? 「あ、会いましたけど?ハルさん、ファンなんですか?だったら制服返しに行く時、一緒に行きます?」 ハルさんは目を大きく見開いて、 「そうか、借りたもんは返さないとな。一緒に行くから絶対に1人で行くなよ!」 ちょい、真剣な顔。 あー、真剣な顔も格好いいなあ。 「聞いてるのか?」 「あ、聞いてます、聞いてます!ハルさんをちゃんと誘います」 慌てて返事をする。 「絶対だからな」 念を押されて、そんなにSHURIに会いたいのかあ~って複雑になる。 ちぇ、ヤキモチ妬いちゃうからな! 「じゃあ、着替えてきます」 「あ、待て」 ハルさんに呼び止められたけど、そのまま玄関へ。 「こら、待てって」 追いかけてきたハルさん。 俺は振り向かずに靴を履く。 「何かご機嫌ななめ?」 ちょいヤキモチ妬いてる俺の空気を読むハルさん。 「別に」 ぷいっとドアの方を向いて開ける。 「こら、待て」 なんて言われたけどハルさんを交わし外へ。 ちぇ、これくらいの意地悪させて欲しい。 SHURIは可愛いというか綺麗な顔をした男性で、ハルさんは見た事あるのかな? それとも純粋にイラストが好きなだけ? どちらにせよ、何か必死なハルさんがヤダ! そして思うのが俺ってヤキモチ妬きだったんだなあ~。 30ちょい生きて今頃自覚。

ともだちにシェアしよう!