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縁の下の力持ち 16話

「なー、続きみたくなる程可愛いだろ?」 佐伯さんの顔ったら、メロメロなだらしない顔。 溺愛なんだな。って見ていて感じる。 「さっきの仁さんと別人ですね」 「だろ?通常の仁も恥じらいあって可愛いんだぜ?エッチスイッチ入ったらエロエロ天使になるんだけども。酔った仁は別格!俺でさえ押さえつけんの大変」 「佐伯さん、マッチョなのに?」 「そ、マッチョなのに!で、暴れて暴言吐く仁をジワジワ犯して、あのエロエロ天使にする過程がたまらんとですのよ!!」 佐伯さん、鼻の下伸び切っていて、怖い。 「んで、さっきのマヨ」 佐伯さんは画面を変えて次の動画を再生させた。 さっきの僕? 映し出された動画には、 『あんっ、ああっ、』 と喘ぐ僕…………でええええ!! 「佐伯さん!!盗撮ですよ!消してください!」 佐伯さんから携帯を奪おうとするけど、マッチョには敵わない。 「この部屋ってカメラあんだぜ?仁の元嫁が仕掛けたカメラ。これ、消しても本体はバッチリ」 「はあ?何ですか?それ?」 「ケイと仁のセックスもあるぜ?見るか?」 僕の心がパキンっと凍った音がした。 「ケイが仁をやったのも見れるぜ?見る?」 この人は………僕の気持ち知ってるくせに。 僕は俯く。 佐伯さんの手が俯く僕の顔を上げる。 「泣いてんじゃねーよ、馬鹿がき!そう仕向けたのはお前だ!」 怒った口調。 僕……泣いてんの? 「耐えられない心しか持ち合わせてないくせに、ばーか!!」 ばーか!ってこの人は……子供か!! 「うるさいよ、じじい」 鼻をぐすぐす啜りながら文句を言い返す。 子供みたいな返ししか出来ないけど。 うん、だって子供だもん。 「おうよ、じじいだよ、ジジイだから言えるんだよ、縁の下の力持ちはやってて虚しいから止めろ」 なにそれ?なに言ってんの? 「すぐ壊れるメンタルしか持ってない奴にはなれないんだよ、縁の下の力もちは……」 佐伯さんは僕のほっぺを軽くぺちんと叩く。 「……て、ケイどこいんだ?」 佐伯さんの言葉で気付く、そうだ!ケイがどこにもいない。 「仁を起こしても教えてくれなさそうだし、暴れるだろうからなあ? ……あっ、そーだ!」 佐伯さんは何か思い出したように、ごそごそと棚辺りで何か捜している。 「ちょっと、待ってろ」 と、手にしたのはビデオカメラ。 あ、録ってるって言ってた……… ケイと仁さんのセックス。 映ってんのかな? 中をチェックしている佐伯さんの顔がニヤニヤしているから、映っているんだな。ってわかった。 そして、佐伯さんは違う部屋へと歩きだす。 ロフトがある部屋。 ロフトへ続く階段を上がっていく佐伯さん。 もしかして、そこにケイがいるの? 僕も慌てて後を追う。 佐伯さんが先にロフトに着き、 「ケイ、見つけた。マヨもくるか?」 と呼ばれた。 もちろん行く!! 階段を急いで上がると、そこにはスヤスヤ眠るケイの姿があった。 シーツにまるまり、服は着ていない。 ケイの近くにはエッチな玩具や拘束具がちらばっている。 ここで、やったんだと、物語っていた。

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