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愛は小出しにせよ
「どんだけ激しくやったんだよ」
佐伯さんは拘束具や玩具を集めている。
確かにケイは疲れて眠っているみたいだ。
玩具とか……拘束具とか、使ったんだ仁さん。
あのドS!!!
あのデカチンコ………絶対切れちゃうだろ?あの太さは。
大丈夫なのかな?
ちょっと心配してしまう。
「俺、仁の所戻るわ」
何だか気を利かせた感じで階段を降りて行く佐伯さん。
明らかにあの玩具と道具使う気だよ、めっちゃ嬉しそうに持って行ったもん。
変態め!!
僕は眠っているケイの顔をそっと撫でる。
「ケイ………」
名前を呼んで、頬にキスをした。
「ケイ……好き。大好き」
僕はケイの隣に横になり、彼の身体を抱きしめる。
「好き………ケイ」
何度も、何度も、好きだと耳元で囁く。
閉じたまぶたにキスをして、それから、また頬。
その後はおでこ。
キスをする度に大好きと呟く。
最後は唇。
チュッと、キスを軽くして彼の腰に手を回す。
細い腰。
シーツの下は何も着ていない。
「ケイ、仁さんとシタんだ……」
自分が仕向けた事だから、ケイは悪くない。
仁さんだって悪くない。
自分が傷つくネタを自ら提供してしまった。
「ぼく……ほんと、ばか……ケイが好きなのに……仁さんとしてほしくないのに」
そう素直に言葉にすると、喉の奥が熱を持ち出し、風邪をひいた時みたいにジンジンしてくる。
唇が震えて……胸が凄く痛い。
ケイを抱きしめて声を殺して泣く。
バカ!!本当に僕はバカだ!!
ズキズキする胸の痛み。
失恋ってしたことないけど、きっと、こんな感じだろう。
初めて好きになって、初めて失恋した。
「う………」
押し殺した声が漏れて、唇を噛み締めた。
その唇に柔らかいモノが触れた。
目の前にはケイナの顔。
僕にキスしているのはケイナ………だ。
唇を離すと、
「泣かないでよマヨ」
そう言われた。
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