295 / 326

鬼が出るか蛇が出るか。

◆◆◆◆ ハルside ぐっすり眠る仁を抱っこしてやってきましたラブホテル。 しかも中々立派なもので安いラブホしか知らない俺は感動。 ここなら仁とヤリに来てもいいかも。 まあ、ソウの持ち物っていうのが嫌味っぽくていけ好かないけどな。 俺は運転するソウを見る。 同じ兄弟でこの差は何だろうな? あまり気にしないようにはしてきたけどな、まあ、ソウの方が勉強出来たし……俺だって、多少は出来る!じゃないと警察官になれなかったし(辞めたけど)金はソウの方がある。 女だったら金持ちを選ぶだろうな。 その点、仁は金あっても無くても俺を選んでくれる。 ただ……ソウが仁に惚れてるっていうのがなあ……。 今までは取られるって事はなかったけど。 あからさまにアピールしてきやがる。 仁は相手にしてないからザマァ!!!(気付かないだけ) 車で裏手に回るソウ。 「何?正面から入ればいいじゃん」 「受け付け通るんだよ、そんな可愛い寝顔の仁くんを他の野郎達に見せたくない」 ……野郎って、カップルで来るから気にしないだろうよ!!って、「受け付けって何だよ?ホテルか!!」という突っ込みをする。 「ホテルだよ、普通のホテルみたいに受け付けあるんだ。中にエログッズも販売してるし、食べ物持ち込めるようにコンビニっぽいのもあるし、ラブホのゆるキャラショップもある」 「ラブホのゆるキャラって何だよ……売れんのかそれ?つーか、ラブホって他人と顔合わせたくないもんじゃないのか?友達に会っても気まずいしよお……」 「今は気にしないみたいだよ?それに昼間は女の子達が遊べるようにもしてるしカラオケとか岩盤浴とかエステとか……大きなスクリーンもあるから映画も見れるよ。借りれるし」 「……へえ、最近は凄いんだな」 「あと、同性同士のカップルも使える」 「昔は断られてたもんな……時代は変わったなあ」 俺はしみじみとなる。 車が停り仁を抱えて降りる。 「上の階が空いてる」 ソウは先頭を歩く。 中へ入るとラブホらしくない感じで一流ホテルみたいだ。 「ここ、1泊いくら?」 「部屋によるけど、下は五千円から上は2万とか」 「2万?はあ?取りすぎじゃね?ラブホは安くが一番だろ?」 「大人が使うんだから多少金高くても来るよ未成年で使おうとするのは断るから」 「大人だって金ねーやつは沢山いるぜ?」 「割り勘とかしてるみたいだけど?」 「はあ?何だそれ?情けねえ!ラブホくらい金出せよ!」 時代も本当、変わったもんだな。 俺は女の子とラブホに行く為にバイトとか頑張ってたのにな。使うとこが違うのだろうか? なんて、色々考えていたら部屋に着いた。 着いて驚く……「どこのスイートだよここは!!」思わずシャウト。 部屋は見馴れたラブホとは違うものだった。 真ん中にドーンとベッドがあって、いかがわしいビデオを見るテレビと小さいテーブル。そして、多少は楽しめる広めの風呂……。 それが俺が知っているラブホの部屋だ。 でも、この部屋には大きいテーブルにゆったりソファー、テレビなんて大きい過ぎるし。 俺の部屋のテレビよりデカイ……画素も良さそうな。 高そうなホテルの部屋そのまま。 さあ!ラブホ来たぞ!!うほー!!ってテンション上がるのがラブホの部屋の良い所なのに。これではテンションは上がらない。 「何だよ、ここは!テンションあがんねーじゃんか!」 俺は仁をお姫様抱っこしたままに言う。 「お前、どんなのだったら良かったんだよ?」 呆れた顔で言うソウ。 うるせえ!!よ、全く……こちとら庶民なんだよ。安いラブホしか知らねーんだよ! 「ここ、夜景綺麗だよ?」 「あ、そっ!」 夜景とか夜景とか!高いレストランで見るものでラブホの窓から見るものではない。 取り敢えず、仁をフカフカなベッドへ寝かせた。 「風呂は?」 「風呂は向こう……」 指差す方向に壁があって大きなカーテンがあった。 「ここ、窓多くないか?」 夜景が見える窓と逆方向にもカーテン。 「違う、窓じゃない」 ソウはカーテンを開ける。 …………おっとお!!なんか、ラブホらしいとこがようやく出てきたな。 カーテンの向こうは窓は窓でも風呂が見える窓。 「風呂からはマジックミラーなタイプ」 「やっとラブホみたいな感じだな」 俺は風呂を覗く。 窓がある壁沿いにドアがあったので中に入る。 「ずげえ、ジャグジー風呂」 「入りたいなら入れば?仁くんは見てるし」 しれっと仁くんは見てるしとか言いやがってえ!! 「お前はもういい帰れ」 「は?何で?」 「何でって恋人の時間だ!」 「仁くんのお風呂シーン見るまで帰らない」 「はあ?何言ってんだ!仁は俺んだ!」 「……請求するぞ」 「はい?」 「この部屋の代金……仁くんのお風呂見せてくれたら請求しない」 ……コイツ!!! 「ここ、一番いい部屋……コスプレもSMも出来るし玩具も揃ってる」 ソウは交換条件を真顔で言ってきやがる。 どんだけ見たいんだよ。 まあ、風呂だけなら。 これから先も無料で借りれそうだしな。 「窓からなら」 「えー!!直接みたい!この風呂男3人でも入れるし」 「バカか!お前!!」 思わず叫んだ。 「んー、ハルさん……うるさい」 俺の叫び声で仁が起きてしまいましたとさ。

ともだちにシェアしよう!