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8話

「診察台に乗せてけろ」 ケロってカエルかよ。孫七さんの出身地は謎だ。 佐伯さんが診察台にケイ少年を乗せる。 俺が孫七じいさんの病院が嫌なわけは、 老人特有の手の震え…。 プルプルプルとチワワか!ってくらいに震えやがる。 どこに注射されるか恐怖心が芽生えるのだ。 現にケイ少年の足のタオルを取るのにプルプルプル震えて上手く外せない。 「あーもう、こんなんで治療出来んのかよ!」 と佐伯さんをチラリと見た。 「孫七ちゃん、名医って呼ばれてたんだぜ!下町のブラックジャック」 「そんな100年前の栄光話されても、しかもブラックジャックって無許可の闇医者じゃないですか!」 「孫七ちゃんある意味闇医者だよ」 「まさか無許可!」 「免許はあるよ多分」 「多分って何だよ!」 「だって孫七ちゃん元獣医だもん。獣医師免許はある」 「ば、バカたれ!ケイ少年は人間だよ」 俺はケイ少年を違う病院へ連れて行こうとするが、 「人間用もあるぞ、若造め!」 と睨まれた。 でも、不安なんだよ! 手は相変わらずプルプルプルプル震えてるし、 「見てろよ孫七ちゃん腕良いから」 佐伯さんに言われ、大人しく見守る事にした。 何かヤバかったら助けりゃいいしな。 そんな俺の期待を裏切り、孫七じいさんはあんなにプルプル震えていたくせに、注射器を持つと震えが止まったのだ。 そして、いつもホニャラと笑った目をしていたのに、カッと目が見開き眼光が鋭くなると素早い動きで治療をしていく。 まるで、ネジマキのブリキの玩具が日本のハイテク技術を全て注ぎ込んだマシーンへと生まれ変わったかのようだ。 名医と下町のブラックジャックは嘘じゃなかった。 「ほい、お終い」 真新しい包帯を巻き終えると、何時もの孫七じいさんへと戻った。 すげえ! マジすげえよ孫七! 「なっ、すげえだろ?」 佐伯さんの言葉に俺は秒速で何度も頷いたのだった。

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