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第6話

「仁、お客さん………………………っ」 あとちょっと、 あとちょっとでキスしてしまうはずだった俺の邪魔、いや…目を覚まさせるように美沙が現れて、数秒間が空いた。 ゆっくり美沙の方を見ると、 「再開!」 サッカーの審判みたいに手を上げて叫んだ。 「し、しねーし!」 ああっ、きっとこれをネタに美沙に、 「うふふ、いいのよ!お客さんは私が相手するから仁はケイ君にエッチな事してて、もちろんビデオに撮らせてね」 と案の定変態じみた提案をされた。 「撮らせるかボケッ!」 俺はケイを置いても行けず(美沙にイタズラされるから)連れて行く。 冒頭で言ったように俺の仕事は探偵。 自宅兼事務所としてリビングを使っている。 そのリビングのソファーに座る依頼人。 大人しそうな女性。 「すみません、お待たせしました」 仕事用の真面目な顔で挨拶をする。 ケイは少し離れた椅子に座らせた。 「あの、主人は…」 依頼人の女性は怖ず怖ずと依頼の内容を聞いてくる。 「はい。夕べも後をつけました所」 俺は昨日撮影した写真をパソコンに読み込ませ写し出す。 そう、ゲイバーのママに拉致される前はこの人妻に頼まれた旦那の浮気調査をしていたのだ。 旦那はこんなに可愛い奥さんが居るのにキャバ嬢と浮気をしていた。 かなりキャバ嬢に貢いでいた模様。 写真と調査報告書を見て奥さんは泣き出した。 そりゃあ泣くよな。 「大丈夫?」 美沙は泣いている人妻の横に座り慰める。 男の俺には出来ない行為。 セクハラで訴えられてしまう。

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