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第9話
「ごめんママ、餌を忘れてたから一旦家に帰るよ」
「えっ?ペット飼ってたの?」
首を傾げるママに、
「子猫拾ったんだ。じゃ!」
俺はシャキーンとポーズを決めて店を出る。
「ちょっと、逃げる気」
ママの罵声が後ろから聞こえてくるが気にしない~。
*****
「にゃん」
ネコ耳カチューシャをつけ、首には鈴が付いたリボンを付けて、尻尾に両手と両足はフワフワした肉球つきのネコの足形手袋と靴下を履いたケイが招きネコみたいなポーズを取って俺を出迎えた。
か、 か、 か、
可愛いじゃないかーっ!
「ケ、ケイ、どうしたんだその格好は?」
ヤバいドキドキドキドキする!
ギャグ漫画や映画みたいにハートの形をした心臓が胸から飛び出す勢いじゃないか!
「美沙さんがもう直ぐハロウィンだからって」
「そ、そうか美沙か」
美沙グッジョブ!
これは正解だぜ!
「仁さん、似合いますか?」
ケイはニッコリ笑う。
くうっっ!
可愛い!
「う、うん、似合うんじゃねーの?」
普通に答えたつもりだけど、何だか声が裏返っているような?
「本当ですか?良かった」
嬉しそうに笑うケイ。
あー、やばいなあ!
鼻血出そうだよ。
「仁さん」
ケイは俺にゆっくりと近付く。
「何?」
返事を返す時にはケイは真正面に居て、かなり近い。
「僕…………仁さんと」
「な、何?」
聞き返すと、グイッと腕を掴まれて引き寄せられた、
「うわっ」
反動でバランスを崩し、ケイの方へと倒れそうになる。
やばい、ケイは怪我してんのにー!
避けたいがケイを巻き込み近付くのソファーに倒れ込んだ。
俺が下。
倒れ込む前にとっさに身体を反転させたのだ。
やるじゃん俺!
「大丈夫かケイ?」
俺の上に乗るケイに声をかける。
「仁さん」
ケイは俺をまた見つめる。
「どうした?どこか痛いか?」
「はい」
素直に答えるケイ。
「えっ?どこ?」
ケイは慌てる俺の手を取ると自分の胸へと持っていき、
「仁さんの事考えるとココがきゅんってなります」
と言った。
はいっっ?
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