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人を見たら泥棒と思え8

「いや、仁は俺と」 「一緒に事務所の家具を移動させてたんだよ、あはははっ、」 佐伯さんが突然本当の事を言い出すから焦ったよ!  キッと佐伯さんを睨む。 睨んだけど佐伯さんは俺にウインクする。  なんかイラッときた。  「なあ、ノブ、マジでストーカーに遭ってんのか?」 「きーっ、ノブは止めて!アンズよ!ア.ン.ズ」 佐伯さんに本名を呼ばれママは直ぐに訂正する。 アンズとママは名乗っているのだ。  「そうよ。すごーく怖いの!」 「いつからなんだよ」 「気付いたのは半年前かしら?お店が終わって裏にゴミを出しに出たのね。すると、人影があってサッと逃げたの。初めは気にしなかったわよ、でも何日も続くから、泥棒かもってとっ捕まえようと思ってね。待ち構えてたのそしたら………背後から私に痴漢したのよ!ぎゅって後ろから胸を………私もう怖くて悲鳴あげちゃったの!そしたら逃げたんだけど……………ちょっと2人とも聞いてんの!」 ママは俺と佐伯さんをキッ睨む。  俺らはそれぞれ、携帯いじったり、備え付けのテレビ見ていたりしていたから。  「あ~聞いてる聞いてる」 佐伯さんはリモコンでテレビのチャンネルを変えながら答え、  俺は携帯から目を離さなかった。  「これは没収ね!」 ママは俺から携帯を、佐伯さんからはリモコンを没収する。  「あー、返せよ」 俺は携帯を取り返そうと手を伸ばす。  「仁、話ちゃんと聞かないと犯すぞゴラッ」 ママは俺の首を掴みカウンターに押さえつけた。 「ノブ、仁のヴァージンなら」 「ききまーす!聞きたいなあ」 佐伯さんの俺を巻き込むカミングアウトを阻止すべく声を張り上げる。  「分かればいいのよ…それから、はる坊、私はアンズよ!」 ママは俺を解放してくれた。 「半年前に痴漢にあって、それから被害は?」 仕方なく俺は話を聞く。 「帰り道つけられたり…マンションのポストを漁られたり、ゴミも迂闊に早く出しちゃって漁られたりしたわ!段々エスカレートしてきてるわ!超こわーい」 「お前が怖いわ」 ボソッと呟く佐伯さん。 うん、俺もそう思う。 

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