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鬼に金棒 6話

「美沙ちゃんが居るじゃん」 なんとママと佐伯さんの声がかぶった。 「あら?珍しく意見合ったわね」 ママは佐伯さんに握手を求める。 佐伯さん……同意してくれると思ったのにぃ! 「美沙ちゃんケイは襲わないから大丈夫。」 佐伯さんはヒソヒソとそう言って来た。 耳に佐伯さんの息がかかり、くすぐったい。 「ちょ、近い……」 ゾクゾクと身体が震えてしまったじゃないか! 「何、感じてんだよ。お前本当、耳弱いな」 わざと息をかけられ、 「やっ、佐伯さん」 と身体を縮こまらせる。 「私の前でイチャイチャしてんじゃないわよ」 ママは俺の胸ぐらを掴み立たせると、 フンッと鼻で息を吐き、次の瞬間腹に衝撃が来た。 ドスッと鈍い音、目の前が真っ暗になった。 ******* うーん、お腹いたいよう! ズキズキと痛む腹。 何で痛いんだっけ? 「あ、起きたか?」 佐伯さんの声に目を開けた。 覗き込まれているようで、しかも………俺、どこに居るんだ? 知らない場所に居た。 ソファーに寝ていたみたいで起き上がると下腹部に激痛。 思わず、顔が歪む。 「ノブ、それでも手加減したらしいぜ?」 佐伯さんの言葉に、意識途切れる前にママから腹を殴られた事を思い出した。 ママめ! 「お前があまり愚図るから強制拉致したんだよ」 「は、犯罪じゃないすか?佐伯さん元刑事のくせに犯罪を見逃すんですか?佐伯さんに正義はないんですか!」 腹の痛みに顔を歪ませながら言う俺。 「熱血刑事ドラマみたいな台詞を突如はいても、逃げられんぞ。元刑事でも目の前の犯罪よりも、自分のツケが大事。」 「この外道!」 くそう、逃げれない。 「あ、目覚めました?すみませんパパが」 目を覚ました俺を見つけ、真世は心配そうに側に来た。 「でも、ストーカーは本当なんです」 「うん、本当だったみたいだぜ」 真世の言葉に同意する佐伯さん。 「えっ?」 「マンションの郵便受け荒らされてたんだよな。ノブの所だけ。しかもゴミも漁られててた」 えっ………っ本当だったの? 俺は驚いてしまった。 「でも、もう漁られた後なら今日はもう犯人来ないよね?じゃあ、帰れる」 俺は立ち上がる。 「お前どんだけココに居たくないんだよ」 「襲われるフラグ出てるのに居る意味がわかりません」 佐伯さんを睨む。 「帰るんですか?人が沢山居てくれる方が怖くなくて良いんですけど」 真世がなんだか寂しそうな顔をして俺を見ている。 「パパも帰り遅いし」 そう続けて黙り込んだ。 「真世はお母さんとことか戻れば怖くないんじゃないの?」 俺がそう言うともっと寂しそうな顔をして、 「ママンが再婚して……………居場所ないんです」 ポツリと呟く。 「えっ?新しいお父さんに何かされるの?」 「殴られたりはしないけど、今年に入って赤ちゃんが生まれたから、血の繋がりない僕は除け者なんです。ママンも赤ちゃんが可愛いし、新しいお父さんの親戚も」 涙目になる真世。 彼はまだ中学生だもんなあー、ママンって呼ぶのはいただけないけど。 「パパにその話したら、ここにずっと居なさいって」 「真世はノブに偏見ないんか?まあ、変な言い方で悪いけど」 佐伯さん、アンタはなんでそう直球なんですかーっ! 「ないです。パパはパパです。」 ニコッと笑う真世は本当に可愛くて、なんか良いなあと思った。 「じゃあ、帰ってくるまで居てあげるよ」 つい、そう言ってしまった。 「本当ですか?嬉しい。あの、じゃあ…ご飯食べましょう。僕作ったんで」 そう言ってダイニングに真世は俺達を連れて行ってくれた。 真世は料理が得意みたいで美味そうな料理が並べられている。 「食べて下さい」と促され、俺は遠慮なく料理を食べる!だって、腹減ってるし~ でも佐伯さんは俺が食べているのに「うんこしてくる」とか言い出すし~ もう! 佐伯さんがトイレで頑張っている最中、 「2人が来てくれて凄く嬉しいです」 真世はニコニコして俺に話掛けてくる。 「あの、佐伯さんと仁さん付き合っているんですよね?」 その言葉に俺は飲んでたお茶を吹き出そうになり耐えた。 「お2人がイチャついているの見ましたし」 そして次に咳き込む俺。

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