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鬼に金棒 7話
「あれは…………なんだその………」
なんて説明して良いか分からない。
イチャついているように見えただろうし、実際……その、エッチも強引にされたわけだし。
あああっ、もう~俺って隙があるのかな?
「でも、付き合ってないんだよ」
その誤解は解きたいよな。
俺はやっぱり女の子が好きだし、ぶっちゃけ、佐伯さんとのエッチは覚えて無いもん。
「えっ?そうなんですか?」
「でも、ママには、ってお父さんか、お父さんには内緒ね」
驚く真世に俺はそうお願いをする。
「はい。パパには内緒にしますね」
ニコッと微笑む真世。
素直そうな子だよなあ。
「佐伯さん大丈夫でしょうか?なんなら薬を」
真世は薬箱を漁っている。
あんな鬼畜佐伯さんの心配するなんて!なんて優しいんだ!
真世が薬を見つけた時に丁度佐伯さんが戻ってきた。
「あの、大丈夫ですか?良かったら薬ありますけど」
真世は薬と水を佐伯さんの前に出す。
「あ~大丈夫、俺薬嫌いなんだよなあ。苦いし」
真世の優しさを断るなんて、やっぱり佐伯さんは悪魔だ!
「そうですか?ご飯食べれそうですか?」
「ご飯はいいや」
また却下かよ、鬼佐伯め!
「でも、何か食べた方がいいですよ」
「お茶くらいでいい」
佐伯さんがそう言うと真世は分かりました。と素直に返事をしてお茶を持ってきた。
どこまで良い子なんだろう?
俺も食べ終わって、テレビ見ながら雑談。
ふと見ると佐伯さんは爆睡していた。
まだ10時にもなってないのに、コイツは!
しかも他人の家でくつろぎ過ぎ。
佐伯さん爆睡に気付いた真世が毛布を持ってきた。
「いいよ、佐伯さん超人だから」
「風邪引いちゃいますから。」
「優しいな真世は」
「そんな事ないですよ。僕、仁さんにならもっと優しくできますよ、もうそろそろ効いてくると思うんですけど」
「なに?」
「薬。料理に入れちゃいました」
「は?」
真世はニコッと笑うと、
「友人に貰ったんですよ、ちょっと身体が抵抗出来なくなる薬」
「薬…なんで?」
「そりゃあ、仁さんを食う為です」
真世は素直そうな少年の顔から佐伯さんばりの悪魔へと変わった。
え……………………………と、
思考回路が上手く回らないのだけど、今何言ったんだ真世は?
「キョトンとした顔もたまんないですね。その顔を早くイッてる顔にしたいけど」
真世の頭の方がイッてしまってるような。
「そんな冗談、誰に教わったの?子供がそんな事言っちゃダメだよ」
冗談だろうと笑ってみせる。
「年齢的には子供だけど身体と体験は大人並ですよ。」
さっきまでの可愛くてパパっ子な少年はどこへ行ってしまったんだろう?
「とりあえずキスでもしてみます?」
真世は俺に近づくと、プチュと柔らかい唇を押し付けてきた。
ん?
あれ?あれあれ?
何されてんだ俺?
柔らかい感触が直ぐに離れて、
「口開けてくれないとディープキス出来ないじゃないですか?」
俺の前で小悪魔みたいにニッコリ笑う真世。
「ええええっ!」
ようやく脳みそ復活して正常に動き出したら身体が驚いて椅子から落ちた。
「痛ってえ」
痛みに身体をさすろうとして気付いた。
身体、力入らない………………。
何だよコレ。
立てないし、へたり込んだまま。
「あ~良かった薬効いたみたいですね。」
ニコニコしながら俺に近づき腕を掴む真世。
掴まれて、振り払おうにも全くっていう程にヘナヘナな俺。
「ここでヤッてもいいんですけど、万が一パパ帰って来たら嫌なんで僕の部屋行きましょうね」
真世は無抵抗な俺の腕を自分の肩に回し、腰を支えて立たせた。
ぶっちゃけ立てないから真世は引きずる感じ。
で、ソファーに爆睡中の佐伯さんが目に入った。
くそう!人の緊急時によく爆睡してるよな!
「さ、佐伯さん」
声を掛ける。
起きてくれたら助けてくれるはず、だって守るって言ったもんね。
「そのオジサン起きませんよ。お茶に睡眠薬入れたから」
「へ?」
睡眠薬?
だ、だから椅子から落ちて騒いでも起きなかったわけ?
「邪魔ですからね」
真世は俺を引きずり、部屋に。
佐伯のバカバカ役立たず!
変態、鬼畜、大うつけ野郎!
恨み辛みを心でシャウト!
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