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両手に花
「僕の前でいちゃつくなんて、ムカつきます」
縛り上げられているのに真世は強気だ。
「見せつけてんだよガキんちょ、空気読め」
佐伯さんは真世に一喝すると、俺から離れてベッド近くに落ちている真世のスマホを拾い上げて、中身をチェック。
「すげえなエロガキのコレクション」
そう言いながらスライドさせている。
「仁の分は全部消させて貰うからな」
そう言いながら佐伯さんは自分の携帯も取り出し、何かやっている。
まさか……とは思うけど。
「何してんですか?」
「うん?消す前に仁の写メは全部俺のに送る」
聞いてみたら案の定、考えてた通りだった。
「ちょ、消して!全部消せよエロ佐伯」
もうぅ、信じられない!
「やだよ、こんなに可愛いのにさ」
佐伯さんは全部送ったらしく写メを消した。
真世は止めろとは騒がなかったなあ。なんて考えながら佐伯さんを睨む。
写メを消せよと目で訴える。
「さてと、後は」
佐伯さんはベッド付近をゴソゴソと家捜し始めて、
「やっぱカメラあったな」
と小型カメラを見つけ出した。
ええっ、ちょっと!マジ?!
だから真世は写メ消されても何も言わなかったんだ!
ベッド付近のノートパソコンもカメラが付いてて、他にも数台。
なんてガキだ。
「とりあえずはコレだけかな?」
縛り上げられた真世の前にカメラもろもろを置く。
ぷいと横を向いてふてくされている真世。
「中身は全部押収ね。」
ニヤニヤする佐伯さん。
「もう!消して下さいよね!」
そう叫んだ所で佐伯さん消してくれないだろうなあ。
「真世、仁を襲ったの腹いせだろ?」
佐伯さんの言葉にきょとん。
「仁が可愛いとかじゃなくて、ノブが仁を好きだからレイプしようとしたんだろ?」
「えっ?」
えっ?えっ?何それ?
さらにきょとんとなる俺。
「仁が万が一、ノブのモノになれば真世はノブに捨てられるって思って、そうならないように自分で食って近寄らせなくするのが本当の目的………だろ?」
真世は横を向いたまま何も言わない。
はあ?何じゃそりゃあ!
「真世、それマジ?」
俺ってママへの腹いせで、こんなガキに犯されそうになったわけ?
真世は答えない。
「こんのファザコン野郎!写メ見りゃ分かるよ、全員、年上だろ。」
佐伯さんにそう言われて、写メの男性全てが一回りは年が離れているように見えた。
「別にいいでしょ?年上でも。年下や同級生は子供だし、大人の方がテクニックあるし、お小遣いもくれるし、色んな所連れて行ってくれるしね」
悪びれた様子は全くない真世、それに君も子供だよ……分かってるかい?
「要するにノブと一緒に行きたい所とか、行ってるだけだろ?セックスで繋ぎ止めて脅すとかは犯罪だけどさ、父親代わり…父親の愛情を求めるみたいに年上男に甘える……歪みっぱなしだけど、純粋に考えれば、ノブに誉められたい、一緒に遊びたい。それだけなんだよな。」
佐伯さんの言葉に真世は俯き、
「だってパパは……お店忙しいから…それにもうずっと前からパパじゃないもん」
呟いた。
「ノブの気を引く為だろ?こんな事してるのも、ストーカーも郵便物も本当の犯人はお前」
「えっ、そうなの?」
やっぱり、犯人は真世かあ。
真世はこくんと頷き、
「ママンからパパの居場所をようやく聞き出して、ゲイバーのママやってるパパの店を見つけて……しばらくは遠くから見てるだけだった。10歳の時からしばらく会ってなかったし、女装もしてたし……でも、やっぱりパパだから、ある日思い切って抱きついたらパパは痴漢と間違えてさ。ちょっとショックで嫌がらせに郵便物を荒らして……パパが困ったらママンに相談するかな?って考えて、それでしばらく続けてた。相談して来たら僕がマンションに行って、一緒に住む口実になるかな?って」
そう話している内に真世は泣き出した。
「せ、折角一緒に住みだしたのにパパは仁さんの話ばっかり!だから、仁さんを僕のモノにしてやろうと」
ぐしぐしと鼻をすすり、泣いている真世は15歳の男の子にしか見えなくて………俺にした行為を許してもいいかなあ?なんて思った。
「気持ちは分かった。でも仁にした事は許さない。なんせ俺の嫁だからな」
「はあ?」
佐伯さんの言葉に俺はもう………開いた口が塞がらない。
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