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宵越しの金は持たぬ 8話
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佐伯兄(ソウ)side
俺の名前は早(ソウ)。
双子の弟に会いに来たら、ヤッてる最中だった悲劇。
電話越しに聞こえた男の喘ぎ声。
ハルはバイセクシャルだ。 顔が好みなら男女問わずセックスをする。
俺は男性には興味はない。
部屋の前まで来てるけど、まさかセックス中とか思わないじゃん。
ドアノブ触ると開いた。
なんて不用心な!
あいつ、元刑事なのに!
そして、玄関の中まで入ると聞こえてくる声。
「あっ、はるぅ、もっとはげしく、してぇ」
気持ち良さそうな男性の声の後に、
「おら、仁、もっと動けよ」
と命令口調なハルの声。
「はる、はるぅ、もうむり、いっちゃう」
ギシギシと激しくきしむベッドの音。
つい、好奇心で足を忍ばせて部屋を覗く。
バッグでガンガンつくハルと突かれて喘ぐ男性。
あ、ハル好みの顔。
年下だな。 見た目20代前半。
しなやかに揺れた男性がやがて、果てた。
「はる、……ごめ、また、さき、いっちゃた」
男性はハルにイカされて涙目でハルに抱きついている。
「気持ち良かったか?」
男性の頭を撫でるハル。
「んっ」
小さく返事を返してギュッと抱きついたままの男性。
溺愛やん! くそっ、リア充!
俺は向きを変えて玄関へ。
靴を履いてドアを開けた頃には、 ギシギシと音がまた聞こえて、
「や、はるぅ、あっ、あっ、あっ、はげしっ………」
とまた喘ぎ声も。
「まだ俺はイッてないだろ?」
「でも、はげしっ、壊れちゃう………」
ギシギシギシギシギシギシ、
パンパンパンパン、
あっ、あっ、あっあああっー!
の繰り返し。
ハル、お前野獣!
くそ!こっちはスゲエ悩みあるのにさあ!
セックス終わるまでは待機だな。
俺はアパートを後にした。
◆◆◆◆◆
そして……あれから軽く4時間は待たされた。
ハルは男性と一緒に現れた。
「仁、コイツ、俺の双子の兄の早。」
あの時、乱れまくっていた男。
こうやってマジマジと見ると、綺麗と言うより可愛い感じな男。
「えっ?お兄さん?しかも双子?似てないですね」
俺とハルを交互に見ている。
「二卵性だからなあ。」
ハルの言葉にへぇ~と返事を返したながら、俺を見てニコッと笑う。
「向井仁って言います。弟さんにはいつもお世話になっています」
仁と名乗り頭を下げる。
さっきの人物だよね?
なんか雰囲気が違う。
話し方もヤッてる時は甘く、今はさわやか系。
不思議な男。
「よろしく。」
俺も頭を下げた。
「あっ、似てる所見つけた」
彼は嬉しそうな顔でハルを見て。
「声が同じ」
と、続けた。
「はい。良く気付きました」
ハルは子供を褒めるように頭を撫でていて、 それだけで溺愛度が分かる。
「もう、子供扱いやめてください」
不機嫌そうな顔の彼もハルにとっては萌要素だろうなあ。
あ~なんかバカらしい。
「イチャイチャしてないで座れば?」
俺の指摘にニヤニヤするハルと、戸惑う彼。
「あ、知ってるよ。ハルの恋人だろ?」
なんせ、ヤッんの見たんだから。
彼は耳まで真っ赤にしながら、
「は、ハルさん、言ったんですか?」
とうろたえているよ。なんか、ハルの歴代恋人と何か違うよなあ。
「言ったっていうより、ヤッてる時に電話してきたんだよコイツ。だから、お前の喘ぎ声聞いてるぜ」
その言葉に俺は頷く。
まあ、見たとかは言わないけどね。
「のーーー!嘘、ウソ、うそ!なんで?なんで?電話出るんですか!」
ああ、すげえ真っ赤!
しかも、キョドってるし。
「だってよ、音うるせえーし!」
「だからって出るなんて」
慌てふためく彼に、
「いいんじゃない?喘ぎ声可愛かったし」
と言ってしまったもんだから、彼は逃げ出した。
慌てて追う、ハル。
ついでに俺も。
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