107 / 326

宵越しの金は持たぬ 9話

「ちょ、待てよ!」 キムタク風に叫んでいるハル。 つーか、俺、金払ってないし! 勘定をしにレジに行くと、ちょうどレジの後ろが駐車場で、そこで彼はハルに捕まっていた。 駐車場に俺が着く頃には仲直りしていたみたいで、 なんだか本当にバカらしい。 け、リア充め! もう、何か飲みたい。 「ハル&仁君、やけ酒付き合ってよ。」 「はい?」 2人仲良く声が揃う。 ******* 何でゲイバーなんだろう? ハルに連れて来られた場所はゲイバー。 「えー、ウソお!このイケメン様、佐伯兄なの?」 アンズママと名乗るマッチョな方やら、ドレスアップした綺麗な方とそうでもない方が入り混じり珍しそうにジロジロと見ている。 「宜しく」 とりあえず頭を下げる。 「な~?何でゲイバーなん?静かな居酒屋とかさあるだろ?」 「ん?ツケきくから」 「は?」 「それにあの方々は経験豊富だから、なんか悩んでんだろ?いろんなアドバイスくれっぞ」 そりゃあ悩んでるけどさ………………。 「ハル、ツケまだ残ってんのか?」 「あ~、ちょっと」 えへへ笑うハル。 「えっと、アンズママさん?ハルのツケと今日の支払いはカードね」 とカードをかざす。 「ちょ、何?佐伯兄カッコいい!宵越しの金は持たぬ。タイプね」 「え?どんな意味?」 キョトンとする俺。 「気前がいいって事よ、仁も貧乏くさい弟より、兄にしなさいよ。イケメンで金持ち」 と、アンズママ。 「ね?聞いていい?ハルのどこが良いわけ?」 仁に聞いてみる。 「どこって……………………気づいたらす、好きになってたし、ハルさん貧乏ですけど、何か楽しそうなんですよ。一緒に居たら楽しい」 頬染めてニコッと笑う。 あーー、ご馳走さま。 くそう。 ハル、良いヤツ見つけたなあ。 うらやましい。 それに男…………………………興味はない。とか思ってるけど、最近の俺の悩みは、 くそう! 俺はハル以上に変態だよ!

ともだちにシェアしよう!