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15 *

日が上るまでまだ時間がある。エルマーは安全な教会も使えないので、本当に仕方なくだが野営で乗り切ることにした。 おそらく幽鬼は再び出る。一度幽鬼に怯えたナナシの匂いを嗅ぎつけて。 「とりあえず囲うか。」 エルマーは始めて会った時のようにナナシをしがみつかせたまま黙々とテントをはると、四隅に杭を打ち付けた。効くか全くわからないが、簡易結界の術を施してある紐でテントの周りを囲う。おそらく使い古しているため幽鬼には効かないだろうが、ないよりはマシだ。 皇国についたら新調しよう。エルマーは面倒くさがりな自分を少しだけ恨んだ。 「ひぅ、」 「これは牽制。びびんな、もう死んでっから。」 先程倒した幽鬼の急所である紫色の舌をべしょりと地面に放り投げる。その先には事切れた幽鬼の体がまだ残っていた。陽の光を浴びれば2つとも燃えるように消える。幽鬼の魔石は太陽で焼かないと取れない面倒な魔物である。その分売れる金額も大きいが。 エルマーはナナシの体を抱き上げるとテントの中に入った。インペントリから取り出した毛布やら体を拭うための布を取り出し、さらに木の桶には水性スライムの死骸を入れた。短剣でその丸みを帯びた体を穿くと、パンッと破裂音がして桶に水が張られた。 「こいつはあんま使いたくなかったんだよなぁ。」 水性スライムは水場によく居るのだが、形を残したまま仕留めるのは難しい。そのかわり、仕留めるのに成功すればインペントリで保管もできるし、腐らない水も確保できるのだ。まとっていたゲル状の膜を摘んで小瓶に入れると、なみなみと溜まった桶の水に布を浸した。 「ほら、脱いじまいな。このままじゃ気持ちわりいだろ。」 「ごぇんあさい…」 「ん、いーよ。それにしてもマントもブーツも汚さず器用に漏らしたな…。ああ、座ったまま?」 エルマーが指摘すると、ナナシは顔を真っ赤にして羞恥で涙目になる、からかったつもりは微塵もないのだが、どうにも恥ずかしかったらしい。エルマーはナナシのマントやらブーツやらを脱がして下肢の濡れたズボンも全て取り払うと、固く絞った濡らした布で汚れた腰回りを手際よく清拭きしてやった。 「ナナシ、変えのズボンも下着もねえ。乾くまで待てるか?」 「あぅ…」 小さく頷くと、チュニックの裾を伸ばして恥ずかしそうに性器を隠す。ナナシの体に毛布を被せてやると、それにくるまったナナシが縮こまるようにして床に座る。 テントの外側は風がざわついてきている。葉擦れの音と共に、何かを引きずるような音がゆっくりとテントの周りを徘徊する。 「来たな。」 「っ、える…」 「大丈夫だ。おいで。」 ランプの明かりを絞る。細い枝で外側の布地をなぞるようにして不愉快な音を立てていた。 腕に入り込んできたナナシの体が震える。毛布にくるまったナナシの背中を撫でながら、未だ決めあぐねているエルマーが眉間にシワを寄せてテントの隙間睨む。プチンと紐が切れる音がしたのだ。 「…図太い幽鬼もいるもんだなァ。」 「っ、や、やら…こぁ、い…!」 枝の様な指がテントの隙間を広げた。覗き込むようにしてシワシワの顔がちらりと見え隠れする。 死骸を撒いておいたのに、目が見えていないせいか物ともしなかったらしい。 ボロの簡易結界紐が役目を果たさなかということだ。 怯えて仕方がないナナシの様子は、幽鬼にとって格好のエサである。 「ナナシ、いっこ勉強な。」 「ひ、っ」 「幽鬼は生きてるエネルギーが強けりゃ逃げる。」 「え、える…?」 本当はサジのが適任なんだけどよ。と言われて、ナナシは少しだけ泣きそうになる。自分は何もできないと言われているような気がしたのだ。 「っ、…でき、ぅ。」 「…何やるかわかってんのか?」 ナナシだって男だ。守られてばかりはいやだと言うように、怯えながらもエルマーを見上げた。 何をするのか知らないが、助けてもらうだけは嫌だった。怖いけど、自分にできることがあるならエルマーのためにしたかった。 「や、やる、える、ナナシやる。」 「…すげえ最低なことすんけど、嫌わねえ?」 「える、すき。」 エルマーの言い方に一瞬戸惑う。最低なこととはなんだろうと思ったのだ。それでも、地獄を経験しているナナシからしてみたら、ちょっとくらい痛い思いをしても我慢できる。 まっすぐ目を見て返事をすると、エルマーは困ったように笑ったあと、そっとナナシの毛布を取り払う。床に溜まった毛布の上にそっとナナシを寝かせると、そっとその細い体に跨った。 「後で殴っていいから、今だけ我慢しろな。」 「える、?っ…」 エルマーの鼻先がナナシの細い首筋に擦り寄る。ぴくんと肉付きの薄い肩が跳ねるたのをまるで合図ととったように、そっとナナシの足の間にその体を入れ込むと、細い足を優しく開いて足の上に乗せた。 「ひゃ、」 「出来るだけ、声出せ。」 「える、っひぅ、っ!」 べろりと首筋から顎先までエルマーの舌が舐めあげる。ナナシは幽鬼が入り込もうとする恐怖で胸が爆発しそうだったのに、今はエルマーの手付き一つで 死んでしまいそうな位に胸がドキドキと喧しい。 エルマーは顔を一気に染め上げ胸の前で手を組むナナシの手のひらを、そっと開くようにして指を絡めた。 「は、大丈夫、胸触んぞ。」 「あ、…あぃ、っ…」 「いいお返事。」 エルマーに手を握られ、胸元から離される。そっと降伏するように両手をテントの床に投げ出すと、はふはふと荒い呼吸を繰り返しながら、ギュッと目を瞑った。噛み付かれても悲鳴はあげないように、首を絞められても上手に力が抜けますように。 エルマーがナナシのそんな様子を目を細めて見つめていたのだが、それに気付くことはなかった。 そっとエルマーの男らしい手がナナシの背筋を優しく押し上げる。胸を差し出すように反らせると、その薄赤の突起を優しく舌で舐め上げた。 犬歯で噛みつかれる痛みはない。ただナナシを労るように、伺うような優しさで甘く唇で時折挟み、吸い付きながら左も手慰みのようにくにくにと弄られる。 「ぁ、っ、ひぅ、っ、え、える、ぁっ」 「ン、上手に声出てる。きもちいか?」 「ぁ、んぅ、きもち、はぁ、ぁっ」 時折鋭くなるように高まる感度に胸の先端がじんじんと痺れる。固く尖ったそこに歯を掠めるように弄られると堪らなかった。 しらない、こんな体がどうにかなってしまいそうな…こんな刺激は。 「は、は、ぁんっ、える、まぁっ、えるま、ひぁ、っ」 「ああ、くそ、かわいいな。」 幽鬼を追い返すためだとはいえ、こんなところで抱くのはナナシが可哀想だ。エルマーは自分の下で蕩けているナナシを見下ろしながら、今まで連れ込んだ女や床で犯したサジのことなどを棚に上げて、幼いナナシの可愛らしい反応に完全に参っていた。 ぐつぐつと煮えるような熱さに性器が張り詰めたように膨らむ。ボトムを押し上げるそこがじくじくと痛みを訴えるのだ。 仕方なくエルマーはジッパーをさげて性器を取り出すと、ナナシの腰を持ち上げる。 「挿れねえ。だから怖がんな。」 「らめ、ぇ、えるぅっ、そ、そこやぁ、あっ、」 こぶりな尻を割り開くと、エルマーの赤い舌がその蕾にねっとりと這う。ナナシはそんな事されたことがなく、余りの羞恥に顔をさらに赤らめながら幼い性器からとろりとした先走りを零す。見ていられない。ナナシは目をそらしてテントの入り口を見ると、もうそこに幽鬼はいなかった。 「ぁ、ぁっ、あ、える、えるっ!」 もうこわいのいないよ、大丈夫だよ。 翻弄されるように身悶えながら、もっとして欲しいけど終わってしまうのが残念で、ナナシは強請るような声でエルマーを呼ぶ。 なのにエルマーは優しく微笑んだくらいで全然止まってはくれない。乳首がきもちいい、幼い性器も疼痛のような鋭敏な刺激でナナシをとろめかせる。 「とまんねえ、ごめんな。クソ、だから嫌だったんだ。」 「はあ、あっ、きもちぃ、える、きもちぃ…ひぁ、んっ」 「ああくそ、なんて顔しやがる…」 その嫌は嬉しい。ナナシはあの夜のことを思い出していた。サジが裸で崩折れているのを抱きとめるように、そっと手を下したエルマー。結局なんともなかったのだが、あのときのサジのように、エルマーが裸のナナシに触れてくれるのが嬉しかった。 体の大きいエルマーが、男の象徴を昂らせてナナシのために我慢をしてくれる。 サジのきれいな体と違う、傷が目立つナナシの薄っべらな体に触れてくれる、その優しさがナナシは嬉しかった。 「すき、ぇるすき、っうれひぃ、はぁ、ァんっ…」 「もう、お前ちょっと黙れ…」 「ンふ、っ…」 困ったような、少し欲に染まった金の瞳で睨まれる。素直になったナナシにこれ以上喋らせまいと唇を割り開くように舌を差し込んだ。 「ふ、んン、む、っ、えぅ、っ、んゅ、ふぁ…っ」 れる、と舌裏な上顎を舐められる。時折甘く吸い付いては、エルマーはナナシに唾液を与える。上手に飲み込むと優しく頭を撫でられた。 太腿を纏めて固定するようにエルマーの肩に担がれながら、その隙間をひどく熱いなにかが押し開くようにして侵入する。 「ン、ナナシ…っ…」 「ふぁ、すき、…はぁ、あ、」 ナナシの性器を擦るようにして、エルマーの大人のそれがにゅくにゅくと太ももの肉を割り開きながら腰を打ち付ける。ナナシは口付けに蕩けた顔でエルマーの先端にちいさな手で触れると、手についた先走りをぺしょりとなめた。よくわからない、美味しそうに見えたのだ。 「おまえ、それはだめだろ…っ、」 「う?」 「ああ、もう…」 頭が痛そうにため息をはくと、エルマーは太腿から性器を引き抜いてナナシの細い脚をガバリと広げた。ふるりと揺れる幼い性器を口に含むと、ぢゅる、と音を立てて口の中で転がした。 「ふぁ、あ、あっあっ!や、やぁ、らめ、えるぅ!」 「ん、ちっとしょっぺえ。まだ精通してねえの?」 「わ、わか、んぁ、っ、やぅ、うっ」 「なら、そのまま感じてな。」 「ぁ、あんっやぁ、あっ」 腰が抜けそうなほどに気持ちのいい刺激に、ナナシの性器はじくじくと甘くうずく。知らない刺激だ、先っぽを舐められるのがこんなに気持ちいいなんてナナシは知らなかった。 エルマーは薄い皮を向くようにして優しく舌を使って虐めてやると、ナナシはびくびくと背筋を痺れさせた。 「もぇぅ…えるぅ、っ!おひ、っこ、もぇちゃ、っ…」 「ん、さっき出したろうが、これはちげえよ。」 「ふぁ、あっれぅ、れひゃ、ぅっ、」 「おっと、」 ぷちゅ、と可愛いおとを立ててナナシの先端からぴゅくんと先走りが吹きでる。そのまま幹全体を舌で見せつけるように舐めあげると、吹きこぼすようにして水っぽい精液がこぽりと溢れた。 「はぁ、あ、あ、あ、」 「ん、でたな…」 目の前がちかちかとはじけるほどにきもちいい。がくがく震える太腿をエルマーに預けたまま、漏らしたような量の白い何かが腰回りまで濡らす。ナナシの初めて射精は量が多い。エルマーはねとりとしたそれを手に絡めると、そっと尻のあわいに塗り付けた。 「わりい、俺も限界。尻かして」 「ぁ、ふぇ、っ…?」 「…痛くしねえから勝手に借りるな。」 初めての射精の余韻で前後不覚のナナシをそのままに、柔い尻肉に己の性器を挟む。熱い猛りを蕾に擦り付けるようにして腰を揺らめかせるエルマーの腹筋が、まるで何かを我慢するかのように絞られる。ナナシは吐精後の余韻に浸りながら、エルマーの下肢に向かって走る太い血管を白い指でなぞった。 「おま、どこでそんな誘い方覚えてくんだ…」 「んぅ、える、っ…」 ぐる、と獣が唸るように犬歯を見せて顔を顰めるエルマーが、ナナシの悪戯な手を取ると手首に歯を立てる。がじ、と諌めるように甘噛みするエルマーがなんだか可愛く見えて、ナナシは蕩けた顔のままふにゃ、と微笑んだ。 ぐっ…と口を一文字に引き絞りうつむく。堪えるように深呼吸をしたエルマーが、キッとナナシを睨みつけた。完全に捕食者のような眼差しだ。 「泣かす。」 「はぇ、」 エルマーが唸るように低くつぶやく。がばりと足を大きく開かせたナナシを体で隠すように覆いかぶさると、その太ましい性器をナナシの腹に擦り付けた。先程よりも更に大きくなった性器に目を見開いたナナシは、ひっ、と短く声を漏らしたあと、もう逃げられないのだと悟る。 暗闇に包まれた深い森が静かに広がる一角で、まるでそこだけ取り残されたような、狭い二人だけの世界。 ナナシの少年特有の高い悲鳴が森の中にこだまする。それも時期に蕩けた媚声へと変わるのだが、止められなかったエルマーが翌日ナナシに土下座するのはもはや避けられない。 そんな二人を見下ろすようにして、満月だけが静かに行く末を見守っていた。

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