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「ひゃ…うー‥」
コツンとナナシの枝のような角が、入口の梁に引っかかってしまったようだった。
エルマーが抱っこしていたせいで、高さが出た分そこに当たってしまったらしい。
ナナシはびっくりしたようで、頭を抑えながら俯き気味で、ひん…っ、と情けない顔をしていた。
「ぐ、…んく、くくっ…」
「あう…これ、やだあ…」
エルマーは、なんだかその様子が面白くて笑いを噛み殺して震えた。見た目は完全に神聖な生き物なのに、何もかわらないナナシはおそるおそる角に触れると、根本をきゅっと握ってちょっとだけ上に引っ張ったりしている。
「ひうー‥」
「ぶふっ…ぐ、わり…取れねえだろ…」
「える、きってえ…」
「いや流石にそりゃあ怖いわ。」
べしょっと耳を下げて落ち込むナナシの頭を撫でる。そこに生えているせいで、頭の後ろしか撫でてもらえないのも気に食わないらしい。
むくれながら、鏡をにらみつけて角をいじくるナナシの横で服をぬぐ。ナナシがもごもごとしていたので、振り向いてさらに吹き出した。
「っあっはっは!!ぶっは、ぐふっ、んん、わりい…ほら、手伝ってやるから…」
「ひん…っ…」
着ていた白いチュニックが脱ぎきれなかったようで、角に引っかかりテントのようになっていた。めそめそとするナナシの間抜けな格好に我慢できずに大笑いしたのは許してほしい。ボタンをいくつか外してやり、スポンと服を脱がす。ナナシの白く美しい躯は、背筋に沿ってオーロラのような輝きを持つ見事な鱗が生え、腰から生えた獣の長い尾は恥ずかしそうに足の間に挟まった。
「おお、すげえ。なんかかっこいいことになってんぞ。」
「んう…もどりたい…」
「ああ、魔力流せばできんじゃねえ?ほら、角意識してみ。」
「むむ…」
足の間に挟んだ尾をはぐはぐと甘噛みしながら、真剣な顔で集中する。エルマーは、真面目なことをしているときは尾をいじる癖がついたなあと思いながら角を見やると、きらきらとした光の粒子になって消えた。
そっと背中も撫でてやると、ナナシも鱗に気づいたのか、角と同じように粒子に変えていつもの体に変化を終える。
「なあ、耳と尾だけちっとそのままにしといてくんねえ?」
「う?」
キョトンとしたナナシの体を抱き上げる。ジクボルトご自慢の浴室に足を踏み入れると、まるで植物園の中に湧き出たオアシスのような湯船が二人を出迎える。
ナナシはきらきらと目を輝かせると、余程感動したのか、ぶんぶんと尾をせわしなく振り回して喜んだ。
エルマーはその様子が可愛くて仕方ない。人前だとやはりしまって貰う必要があるだろうが、こうして二人のときはだしてもらうのもいいなあと思ってしまうくらいには、ナナシのこの姿が可愛くて仕方がなかった。
アロンダートとギンイロのよだれの餌食になったエルマーがまずした事は、先に自分の体を洗うことだった。ナナシもいい子に座って待っていたのだが、待ちくたびれたのかエルマーに習って自分も体を洗い始めていた。
いつもは下心も含めてだが、エルマーが洗うことが多いので、これにはちょっとびっくりである。
「泡、もう食うなよ?」
「はあい…ふあ、もこもこ…んふふ…」
「楽しそうで何よりだぁ。」
ふりふりと忙しない尾が、時折エルマーにあたる。体をもこもこにしおえたナナシが、シャンプー片手に忙しい尻尾を捕まえようとしては失敗するのをみて、エルマーの心はきゅんきゅんとしてしまい、なるほどこれが破壊力と言うやつかとしみじみと思う。
「ナナシの髪と尻尾、俺が洗いてえなあ。」
「はわ…いいよう…」
「おわっ、泡飛ぶからちっと大人しくしとけって」
「あわわ…」
ぬりぬりとなんとかシャンプーを尾に塗りつけたが、エルマーの言葉にまたしても尾が動いてしまい、びちゃっと泡がエルマーの顔面に飛んだのはご愛嬌だ。
ナナシはてれてれと顔を赤らめながら、エルマーが洗いやすいように耳を前に倒すと少しだけうつむき加減になった。
「体の泡は、まだ流さねえの?」
「あわあわたのしい…」
「おー、後でまとめて流そうなあ。」
「はぁい…」
マイペースなナナシのやりたい事を、エルマーは否定しない。ナナシは体をもこもこにしてから一気に流すのが好きだ。これは、エルマーも同じだからである。
くふくふと嬉しそうに笑うナナシが、泡で細くなった尻尾をエルマーに寄り添わせてご機嫌だ。鼻歌でも歌い出しそうだが、ナナシはずっとふにゅふにゅと口元を緩めさせては、はわ…と手で隠す。
こうした日常を取り戻せた事が、エルマーは嬉しかった。
「また二人で風呂入ろうなあ。これからちっと忙しくなるかもしんねえけど、ナナシは俺が守ってやるからよ。」
「えるといっしょ、うれしい…ナナシもがんばる。」
「お前ががんばんのは、腹の子守ることぐれえでいいよ。それが俺の為になる。」
「あう…」
温かいお湯で泡を流す。水をきるようにナナシの頭を撫でてやると、エルマーは後ろから抱きしめて腹を撫でた。
「お前もこいつも、俺のもんだ。俺のもんだから、ぜってえ誰にもやらねンだあ…」
ナナシはエルマーの独占欲が嬉しくて、エルマーの肩口にもたれかかるとすりすりと擦り寄り甘える。腹に回したナナシの手に、エルマーの指が絡まった。
「うれしい、しあわせ…」
「こんなんで満足してんなよ。」
くすりと笑う。エルマーは、ナナシも腹の子も、生まれてきてよかったと思える様に、でかい男になりたかった。
アロンダートのような理知的な大人の余裕はエルマーにはないけれど、ナナシにとっての一番であればそれでいい。
「産まれたら俺が二番目だろうからよ、今は沢山構って、俺を幸せにしてくれ。」
「ん…」
頬を染め、嬉しそうに尾を振る。ナナシが幸せそうに目を細め、エルマーを見つめながら口づけた。
はむ、と下唇を甘く喰み、ちゅ、ちゅ、と可愛らしいリップ音で啄む。
ナナシのイエスは、随分と俺を喜ばせるなあ。
エルマーはナナシの体を抱きしめたまま、するりと内股を撫でる。
あまりに可愛いがすぎるから、なんだかそういう気分になってしまった。
「ン…んぅ、ふ…」
指先で胸の突起を挟むように刺激する。ひくんと膝が跳ねたナナシが、教え込まれたようにゆるゆると足を開く。
このキモチイイは、エルマーがナナシに教えたのだ。褒めるように舌に吸い付くと、離した唇はナナシの耳に滑らせた。
「ぁ、っ」
「ん、かぁわい…」
柔らかな大きな耳は、まるで狼のように立派だ。そこに舌を這わせては甘噛みをする。
エルマーが触りやすいようにと開かれたお利口な足の間の慎ましい性器は、とろとろと先走りをこぼしてフルリと震える。
「ぇ、える…な、ナナシは…も、…さわってほし…よぅ…」
「あー‥くそ、かわい…なあ、もっと体くっつけろ。そう、足開いて…ん、いいこ。」
「ひゃ、んくっ…ふぁ、あ…」
にゅくりとナナシのこぶりな性器の先端を、先走りを確かめるかのようににゅくにゅくと刺激する。
そっと皮を引き下げて薄桃色の先を出してやると、ぷぴゅりと端ない音を立てて先走りを吹きだす。
はわわ、と顔を真っ赤にするナナシの蟀谷に口付けながら、エルマーの大きな手が内腿をイヤラシく撫でたあと、小ぶりな袋を手で包みこまれた。
「あ、あ、あ、っ…」
「どこも、ちっさくてかわい…流石俺の雌。」
「ひゃ、んっ…ふあ、う、れし…んぁ、あ…」
「ん、ああ…俺のだ、ナナシ。」
耳元で、ナナシの大好きな声が甘く囁く。ぞくぞくと背筋を震わせ、気持ちよくて嬉しくて、ナナシの正直な尾はパタパタと揺れる。
尾の付け根にごりごりとあたるのは、エルマーの大きな性器だろう。
エルマーの大きな手は器用に袋をもみながら、中指でとんとんと蕾に触れるものだから、ああ、ここでまたナナシを雌にしてくれるのだとわかってしまい、甘く背筋を痺れさせる。
「腹に、魔力注ぐんだろう?」
「ン…っ…、え、える…」
「甘やかしてくれよ、ナナシ。だめ?」
口端に口付け、指で胸も下肢も刺激され、それが気持ちよくて耳はぺしょりと前に倒れる。
かわいい、エルマーがナナシに可愛くおねだりをする。
きゅうきゅうと甘く鳴いた胸に素直になってしまい、ナナシは嬉しくて漏らした。
「ひゃ、ぁー‥」
「ん、…ふは、」
しょろり、と腰を震わせる。エルマーの性器を握る指の隙間から、金色の水がちょろろと溢れた。腰を震わし、甘い吐息を漏らしながら嬉しくて出てしまったそれは、白いタイルの溝を掘るなぞるかのようにして排水口へと流れていく。
エルマーは端なくて恥ずかしくて、情けなく漏らすナナシがかわいい。
褒めるように唇を啄むと、エルマーはナナシを膝枕するように寝かせ、両足を開かせる。太い血管が浮き出た男らしい腕がナナシの目の前を通り、晒された薄桃色の蕾につぷりと指が差し込まれる。
「あ、あっあ、あ…」
「なか、蕩けてんな。孕んでんからいつもよりとろとろだ。」
「は、あ…」
ナナシの顔の横に、エルマーの大きな性器があった。
びきりと血管やわ浮かせながら反り返ったそれが、こんなに張り詰めているというのに、ナナシを気持ちよくするのがさきなのだ。
ナナシはなんだかそれが嬉しくて、張り詰めて男らしいそれが可愛く見えてきた。
薄い舌をのばしてぺしょりと舐めると、余程驚いたのかびくんとエルマーの膝がはねた。
「おわっ、」
「きゃぅ、っ」
びくりと跳ねるものだから、ナナシの頭が外れてごちんと床にぶつけた。はわ…とびっくりしていたナナシの大きな瞳が、じわじわと涙の膜で濡らされていく。びっくりしたし、痛かったらしい。ひっく、と嗚咽を漏らしたナナシに、エルマーはあわてた。
「ひぅ、あー‥」
「あー‥、わりぃ、痛かったな…」
「んん、…む…」
「あ?」
涙を溜めた目で、きゅっと泣かないように口を歪ませていたナナシが、潤んだ目でエルマーの性器を見上げた。エルマーとしては、やっぱりベッドにいくかとやらしいことはやめようと思っていたのだが、エルマーが起こそうとした時、ふにりとやらかいものに性器が包まれた。
「おお…お、おま…」
「うー‥」
はぷりと口にエルマーの性器を含みながら、涙目でぷりぷりと機嫌をななめにしている。エルマーはぎょっとはしたが、止めることもなくそっと髪を耳に掛けてやる。
「舐めながら拗ねるとか、なんつー新しいことを…」
「んむ、…ふ、」
ちゅぷ、と甘く吸い付き、ぺしょりと舐める。ナナシの白い手がエルマーの性器を支えるのだけでも目に毒だった。
寝転がっていたナナシが、いそいそとよつん這いになる。舐めにくかったらしい。エルマーが様子をうかがうように見つめていると、ふにゅふにゅと口を動かして、またぱくんと咥えた。
「俺がやったの、覚えてるか?」
「んん、…ちゅ、ふ…」
「…ン、」
ちゅる、と唾液と先走りを混ぜるかのように先端を舌で擦る。エルマーは甘やかな刺激に息を詰めると、褒めるように頭を撫でた。
たしたしと尾を振り喜ぶ音がする。顔だけじゃなく、全身で嬉しいと花を飛ばすナナシはとんでもなく可愛かったが、口に含んでいるものはまったく可愛くない。そのギャップに、エルマーの性感が刺激されるのだ。
「にがい…」
「そりゃあ…そうだろ…」
ぷゃっと口を離したかと思うと、舌と性器を粘りの強い唾液で繋げながらへにゃんと耳を下げた。甘いものが好きなナナシが、雄の性器の味を好きになるわけはない。エルマーは苦笑いしながら頭を撫でると、性器から手を離させようとした。
「おとなのあじ…?」
「ぐはっ、…」
なんてこと言うのだと、思わずエルマーは思考が飛びかけた。ナナシの口からそんなことを言われたのが面白すぎて、エルマーは口を抑えた。それをどう捉えたのかは分からないが、何故かやる気をみせたナナシが、フンスと真剣な顔をした。
「ナナシ、やる…なぜなら、よめごだから…」
「なぜなら…」
「おとなだから、ちゃんとできるよう」
「え、いや無理すんな…あー‥」
なぜなら、という言葉を使うのが大人っぽいと思っているふしがあるぞとエルマーが笑いそうになったのも束の間、先程嬉しくて小便を漏らしたくせに、見てろやと言わんばかりに再挑戦だ。
エルマーとしては大歓迎だが、理性をがんがんに揺さぶってくるのは頂けない。
エルマーは自分の指を二本まとめて口に含むと、唾液をまとわせナナシの蕾に差し込んだ。
「んゃ、っ…むぅ、…」
びくっと腰を震わして小さく喘ぐ。パチパチと瞬きをして、状況を把握したらしい。性器をぺしょぺしょと下手くそに舐めながら、うらめしげに見上げられた。そんな目で見られると、エルマーのエルマーが正直になってしまう。案の定むくりと膨らませると、ナナシはむむっと難しい顔をして、どこからどうしてやろうかと言わんばかりに舌をしまい忘れたままオロオロした。
「ん、くそかわい…」
「ふ、んゅ…っ、…」
ちゅぽ、と音を立てながらずぶずぶと指を插入する。ナナシを抱いたのは片手に数えるくらいだが、毎回エルマーが激しくしすぎるせいで内壁は抵抗なく指を飲み込む。
ふるりと身を震わし、無意識なのか尾をぴんと立たせてきゅうきゅうとしめつける。
ちゅぷ、じゅる、と端ない音を立てながら性器を口に含む顔がうっとりととろけている。音だけは一丁前に手練な感じはでているが、喘いでしまうせいで性器に頬擦りしていることのほうが多かった。
「やべー‥、視覚的にやべえ。」
「ひゃ、んぅ…あ、あ、あー‥」
「ん、甘イキ?かぁわい、」
「え、えるぅ…っ…ちんち、へん…」
ぷしゃぷしゃと潮を零しながらエルマーの指を締め付けるナナシが、熱に浮かされてとろとろになる。おかげで握られるだけになってしまったエルマーの性器が、ほっておかれてとろとろと先走りをこぼしていた。
「なかきもちいな。ほら、膝に乗れ。甘やかしてやる。」
「んぅ、…だっこ、してえ…」
「はいはい。」
腰が抜けたナナシを抱き上げると、膝に跨がらせる。先程己の性器を口にしていた唇も気にせずに口付けると、薄い舌に吸い付いた。
自分の味だとわかる青臭さは感じたが、その味がナナシの口からするというのに変に興奮した。大概変態である。
膝に跨がらせたおかげで、開かれた尻の蕾への刺激がスムーズだ。
熱い内壁を弄くりながら、ちゅくちゅくと互いの性器をいじって遊ぶと、きゃんきゃんと喘いで喜ぶ。
「あ、え、えるぅ…きもひぃ…うぁ、ァん…っ、きもひ、あ、あ、あ…」
「かぁい、はあ…やらしくて、すげええろい…」
「ぁ、すき…?な、ななし…えろ、ぃの…い、いこ…?」
辿々しくエルマーの言葉を借りて甘える。エルマーが褒めてくれるなら、ナナシはそれが何よりも嬉しい。エルマーは下肢にぎゅるりと血が集まるのを感じると、耐えきれずに尻を鷲掴む。
「さいっこう。」
「ぁ、…うれ、ひ…」
くだりと凭れ掛かるナナシの尻の間に性器をあてがう。ちゅぽ、と音を立てて吸いつくそこに、ゆっくりとナナシの腰を押し付けるかのようにして挿入していった。
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