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にゅく、と差し込まれた一本の指を内壁で甘く喰みながら、ナナシはふわふわする頭でエルマーから与えられる唾液を甘受けする。
ベットのフカフカに背を預けて、ころんと足だけ折りたたんだナナシは、大好きなエルマーに覆いかぶされるようにして舌を絡ませた。
「ん、んぅ…ふあ、ぅー‥」
「ん?もっと?」
「ぅ、もっと…」
「はいよ」
ちゅぽ、と指が増やされる。ぬるつくものをベッドサイドから取り出したエルマーが、ぷびゅっと間抜けな音を出してナナシのお尻に塗りつけるから、さっきはびっくりして変な声が出てしまった。
しっかりとエルマーの手の中で温められたローションは、なんだかお花のようなほのかな香りがする。
ナナシはそのぬとぬとしたものをまとった指が、自分のお尻を出入りするたびにゆるゆりと足が勝手に開いてしまう。
「はぁ、あ、ぁぅ…」
「は、犬のまいったみてえなポーズだなあ」
「まいった…?」
「かぁいいってこったな。」
「ふうん…」
エルマーがかわいいって言ってくれるなら、いいかあ。
ナナシは犬が服従をするときに腹を見せるようなポーズで、もうすでにへろへろになっていた。
エルマーの指はだめだ。だって、こんなにナナシを更に馬鹿にさせるのだ。
絶対なにか指先から出ている。毎回そんなことを思うくらいには、ナナシは毎度この指に溶かされる。
気づけば内壁は3本も指を咥えており、くちくなった腹の中をもっと擦ってほしくなってしまう。やや内股気味のナナシの足が、奥を擦ってほしくてシーツに触れる。足の指先で、きゅぅとシーツを握ると、震える膝を叱咤してゆるゆると腰を揺らめかせる。
「ん、指だけで満足する気かあ?」
「あう…やら…」
「なら、膝に手ぇ回しておねだりしてみ?」
「はぁい」
ナナシの行為に、エルマーの瞳の奥に加虐じみた欲の火種が灯る。
その目はナナシの背筋を震わして、胸の柔らかいところを刺激する。ぽたぽたと溢した先走りで薄い腹を濡らすから、その雫が伝って脇腹を撫でるだけでも気持ちが良くて、エルマーがいじめてくれる胸の突起がぴくんと膨らんでしまう。
「はあ、かわい、」
いい子なナナシに覆い被さるエルマーは、はぐ、とお耳に甘く歯をたてる。カチャカチャと金属の擦れ合う音がして、エルマーの腰回りの装備が雑に投げ落とされる。ジ、とファスナーの音がして、散々ナナシに遊ばれた性器を再び取り出した。
あの後、エルマーはナナシを先にとろめかせるのにしまってしまったのである。いわく、出しっぱなしは寒いとかいって。
「はわ、またでた…」
「だせえだろう、そこだけ出して前戯すんの。」
「ぜんぎ?」
「ナナシが気持ちくなるための、俺しか出来ねえ楽しいコト」
「ン、っ…」
なんだかわからないけれど、エルマーが楽しそうでナナシは嬉しい。
ゆるゆると尾を振りながら、何度も甘く口づけを交わす。気づけばきゅんきゅんと甘えた声を出しながら、ゆるゆると足を開くとエルマーの大きな性器と自分性器が触れるように腰を浮かせていた。
「くは、やーらし」
「んぅ、」
ちぅ、とナナシの頬にエルマーが口付ける。その細腰を支えるように大きな手を添わせると、尻の柔らかな肉に挟むようにして性器を往復させて遊ばせる。先端が物欲しそうな蕾に引っかかるようにして擦り付けられるものだから、ナナシはもうふるふると内股を震わしながら今か今かと待っている。
この体も、随分と男を教え込まれている。もはや自分の性別が雌を孕ませられるということをすっかり忘れて、ナナシは嬉しそうにエルマーに甘えるのだ。
「もう挿れるから、楽にしてていいぞ。ほら、ここに尻のっけな。」
「はぁい…」
エルマーに引き寄せられるようにして、太ももの上に柔らかな尻を乗っける。中腰のエルマーの足の間に、みょんと尻尾を伸ばし入れたまま振るものだから、エルマーは自分の尻を尾で急かされるようにして叩かれているような気がして、少しだけ面白い。
もしかしなくても本当にそうなのだが、ナナシはきゅんきゅんと甘えながらぺしょぺしょとエルマーの唇を舐めるのに必死で、自分の尾が暴れまわっていることなんて気づいていない。
「あ、ぁぅ、う、ん、ん…」
くぅん、と鼻にかかった吐息に熱がこもる。ナナシの尻に塗りたくられたローションが、いつも以上にぬるりと挿入を助けながらエルマーの性器が侵入を果たしたのだ。
すごい、なんだかいつもよりもえらいことになっている。ナナシははふはふと呼吸を繰り返しながら、お腹の奥に収まったエルマーの性器が、気持ちいいところに全て当たるように埋まってしまったことに、胸の突起を主張させて喜ぶ。
尾の付け根を、ローションだけではないぬめりがしとどに濡らす。
エルマーが緩く内壁を擦るだけで、ぶぷ、とはしたない音を立てて体が喜ぶ。
「ん…きつくねえ?へいき?」
「はう…っ…あ、すき…」
「くるしいのが?」
「える、が…いっぱいなやつ、すき…」
照れくさそうに両手で顔を隠すようにポソポソと呟いた。
エルマーはそんな可愛らしいことを言う嫁に、スンとした真顔になると、ああ、俺の育て方は間違いじゃなかったんだなあと頓珍漢なことを思った。
太ももの軟肉を手で楽しむ。
ナナシの体はしっかりとした男性器までついているのに、なんというか雌なのだ。だってこんなに柔らかい。
エルマーは頭の下に手を差し入れ、そっと覆い被さるようにして優しく抱きしめると、嬉しそうにナナシの腕が背に回る。
香水もつけていないのに、甘い匂いはエルマーを煽り、優しく頭を撫でながらゆるゆると腰を揺らめかす。
「ふあ、あ、ぁ、あー‥は、はぅ、っ…」
「ん、中あちぃ…とけそ、」
「はぁ、ぁっ、な、ななしも…ぁ、あっ…ひぅ、うー‥」
「なに、おまえがなんだって…?」
あぐ、と耳を甘噛みしながら甘く囁く。エルマーの胸板に、ふにりとしたナナシの胸の突起が律動に合わせてあそばれる。ぴたぴたと皮膚同士の接触が気持ちが良くて、ナナシはふわふわの頭で、何を言おうとしたんだっけなあと思いだそうとした。
「ひゃ、んぅ、う、わ、わぁ、ンな、ぁっ」
「忘れた?ふは、きもちくてばかになっちまう?」
「きゃぅ、っ…あー‥あ、あっあン、んっしょ、れ…ぁ、あ、あ、」
「かぁい、わけわかんなくなってンの。かぁいいなぁ…」
内壁の摩擦が気持ちよくて、口を閉じる暇がない。だらしなく枕によだれを垂らしながら、ぴたぴたとエルマーの律動に合わせて性器を跳ねさせる。
大きな手で優しく頭を撫でられながらのセックスが、ナナシは大好きだった。
「ぇ、るっ…ぁ、んんっな、なで、なで…すき…ひぅ、うっやあ、あっあああっあ、あ!」
「こんだけ、か、わいーと、っ…心配に、なるなあ…!」
「ひ、んっ!あ、あァ、や、やぁあ、あっやだぁれちゃぅ、つ、よいの、ゃぁ、あーっだめ、ぇ、えっ!」
「強えのだめ?なあ、だめなら辞めるけど、…本当に、だめか?」
「んやぁ、あっもっ、もっ、と…して、ほし…ひぁ、あっ!」
「素直、いーぜぇ。」
くつくつと楽しそうに笑うエルマーが、とてもかっこいい。顔の両脇に肘をおいたエルマーが、至近距離でその美しい顔を微笑ませるものだから、ナナシは胸が甘く締め付けられて、ぷぴゅっと音を立てて射精してしまった。
ナナシは、エルマーの欲の孕んだ視線だけで達したのだ。小さく身を震わし、はぁはぁと息を荒らげる。
トロめいて、より乱れたナナシの変化に射精したことを知ると、エルマーはグルルルと獣のように喜んで、がぶりと噛み付くように細い首筋に歯を立てる。
「いぁ、んんっ!は、ぁー‥あ、あっあっぇ、える、まー‥!」
「なあ、出したのか…っ、くは、んとに…おまえは、っ…」
「ひぁ、あっな、なかぁ、あっき、きもひぃ…っ、え、えるっ、ぇるっ、い、いくっ、ま、また…きもちぃのきちゃ、ぅ、う、っ」
「きちゃえ、っ…いいんなら、っ…全部、感じて。」
背筋がなぞりあげられるような鋭敏な感覚に、ナナシの腹の奥がきゅううっと収縮した。ああ、欲しがっている。この奥に叩きつけてほしいと腹が欲しがっているのだ。
ナナシは汗で滑る中、必死でエルマーに縋り付くと、その収縮した中を押し広げるかのようにエルマーが性器をぐいぐいと押し込む。
その容赦のない動きに、ぴんっと膝が伸びるくらい馬鹿になる快感に体を支配される。
「ふあ、あ!ああっ!あ、ぁあ、は、ぁっンんんっ!」
「っく、んぁ、ここ、っ…すげ、え…あ、っ…」
「ひあ、あっん、んんっ、ぅ、う、っァ、イ、イく、え、ぇるっ…ィくっ…でぅ、っ、あ、あー‥」
エルマーの腕の中、身動きがとれないなかでの激しい腰の打ち付けに、ナナシの腹の奥は何度もごちごちと貪られ、だらしなくあんあんと喘ぎながら、もうどうにでもなれという具合に身を任せる。
この快感に抗えという方が無理なのだ。
ナナシは散々っぱら汚したエルマーの腹を、まるで洗い流すかのようにしょわりとお漏らしをする。
その熱い水流がエルマーの腹筋にあたるのに、お構いなしに揺さぶるものだから、じょ、じょっと強弱をつけながら背徳感をぶつける。
嬉しくて漏らすだなんて獣のようだ。
自分の意志で止められるはずなのに、こうするとエルマーが喜ぶことを知ってしまった。
「おもらし、かあいいなぁ…きもちい?なあ、いってくれナナシ」
「きもち、ぃ…んあ、あっ、おひ、っこ…ぁ、…き、もちぃ…ぇ、るぅ、…っ…」
腰のあたりが温かい。ぱちゃぱちゃと音を立てながらの失禁に、興奮してしまうようになったのはエルマーのせいだ。
イって、噴いて、漏らしても怒らない。良くできましたと褒めそやし、もっと見せろと追い込むせいでナナシはだめな子になってしまう。
ゆるゆると尾を振りながら、首に腕を絡ませて口付けをねだる。
雌になったナナシは、こうしてエルマーの愛に雁字搦めにされて喜ぶのだ。
「ん、ふふ…くは、っ…ああ、きもいいなぁ、ナナシィ…俺の雌、俺だけのもんだ、な」
「ぅ、ん…うん、えるもっ…ふぁ、っな、なしの…ぉす…ぁン、っ…あ、あ、ぁい、いぅ…っ…」
「ぅあ、っ…わり、キた…」
ナナシの雄といわれて興奮してしまった。ぶわりと膨らんだ性器は、大喜びをしながらナナシの狭いお部屋を掘削する。ぎゅうぎゅうに締め付けられ、ぱたぱたと揺れる尾に尻を叩かれながら、エルマーは理性という二文字を自らの手で投げ捨てた。
捨てる前、唯一残っていたなけなしの理性の使い道として、先程腹の奥を擦りながら子にお願いをした。
頼むから悪阻をひどくしないでくれと。
あと、たくさん魔力を取っていいので抱き潰すことは許してくれと。
「くは、っ…わり、でる…っ…」
「ほし、っ…ぁ、あ、え、えるま、っ…ああっ、あ、熱…ひぁ、あ…ん…」
「っあー‥」
ぞぞ、と背筋を震わしながら、酷く甘い射精にエルマーが感じ入った顔をする。
その顔を歪め、唇を震わしながら、擦りつけるようにゆるゆるとつきあげる。
ナナシは腹の奥が収縮しながら飲み込むのを感じると、ほう…と幸せそうに吐息を漏らしながら、その薄い腹をゆるりと撫でる。
腹の子がエルマーの魔力を吸っている、母であるナナシにはなんとなくだがそれがわかるのだ。
ふわふわとしたやらかい雲に包み込まれるような、心地よい酩酊感にも似た満たされた感覚は、エルマーにしか与えられないものだ。
ああ、これが幸せなのだろう。
余韻に震える指先で、そっとエルマーの唇に触れる。この上等な男の子を孕んで、自分のものにした。願いを叶えられたのはナナシの方だというのに、エルマーはとても幸せそうにして笑うのだ。
がじ、と悪戯に指先を噛まれる。なんだかそれが可愛くて、くすりと笑うとぺろりと指先を舐められる。
やがてその細い手にエルマーの節ばった指が絡められると、まるでお姫様にする口付けのように唇を触れさせた。
「腹の子が産まれるまでは、俺を甘やかせよ。」
「うん、」
「…言ってて恥ずかしくなったわあ。」
「いいよう、えるかぁいいね」
「余裕こいてっと、もっかい鳴かせるぞナナシィ…」
「きゅぅん!あ、あっ、や、ま、まって」
こつ、と収まってきた快感が、エルマーの手によって引きずり出される。ぶわりと体を包む鋭利な刺激にぴくんと身か跳ねる。
「ひぁっ!」
「もっかい、付き合って。」
はぷ、と胸の突起に吸い付かれ、思わず身を反らす。ちぅ、と唇で挟んだそこを甘く吸われると、なんだかエルマーが可愛く見えていけない。
腹を満たす性器は全然可愛げがないのに、長いまつ毛に縁取られた目が柔らかく緩むと、ナナシはたまらない。
「ふ、ん、ん…ぅ、っ…」
ぴんと立ってしまった突起を唇で挟まれながら、まるで性器を舐められるかのように舌で見せつけられるように突起を舐られて、ぴこんとナナシの性器も反応してしまった。
興奮してしまっているのが、視覚的にわかってしまうのが恥ずかしい。口元を押さえながら、とんとんと揺さぶられると、指の隙間から甘えたな声が漏れてしまう。
「ぁ、ぁ、あ、ひぅ、んっ…ふぁ、っ…」
「ん…すき?」
「す、きぃ…っ…」
喉奥でエルマーが笑う。はしたなく開いた足が、腰の打ち付けに合わせてゆさゆさと揺れる。
大きな手で胸の肉を持ち上げられ、吸いやすいようにと抓まれる。そんな、見せつけるように刺激されたらだめだ、おかしくなってしまう。
「ひぅあ、あ、ぁ、あー‥!」
「っぁ、く…」
強い刺激に涙をにじませながら、射精をせずにきゅうううっと内壁が痙攣した。エルマーの性器をぐにぐにと揉み込むせいで、強い刺激についかすれた声が漏れた。
がくん、とエルマーが強く腰を押し付ける。一度射精したはずなのに、追い上げるように搾り取られたら堪らない。
エルマーは胸の愛撫を辞めると、ナナシの両足を肩に乗せて腰を引き寄せた。
「っ、仕返し…」
「いぁ、あっ!ああっあ、ぁン、っは、げし…!ぇる、やぁ、あっい、っっ、ィくっ、れぅ、あ、あっあー‥!!」
は、と吐息を震わしたエルマーが、意地悪な顔でナナシを見る。時折胸の突起を指先でいじられながら、一気にピストンを早められた。
ぷしゃ、と薄くなった精液を撒き散らし、びくびくと体を震わせながら、その熱くとろけた内壁で何度もエルマーの摩擦を受け入れる。
泡立ったローションが精液とともに尻の下にどんどんと溜まっていくのに、エルマーは容赦なく腰を打ち付ける。
「ひぁ、あだぇ、だ、めぇ、え!イっ、だ…!!イっ、ぢゃ、ぁ、あんっいぁ、あっあー!!ひぐっ、やぁ、あっあ、あーー!!」
「ん、ぐぁ、…は…」
ぷしゃ、と性器から潮が吹き出た。背をそらし、飛んでしまうほどの激しい性感になすがままに揺さぶられ、再びの腹の奥に押し付けるようにして長い射精を叩き込まれると、薄く開いた唇にエルマーが舌を差し込んだ。
「んむ、ちゅ…ふ、は…」
「ン、…っ…」
ぬとりとした舌で互いの味蕾を擦り付けるように口付ける。唇の感覚が無くなるほどそれを繰り返すと、くありとナナシがあくびをした。
「んぅ…」
「まて、ねるな。シャワー浴びねえと」
「ふあ、あー‥あと、で…」
「後でじゃだめな、おい、おーい?」
ふにゅふにゅと喃語のようなことを言うナナシに、エルマーがぽりぽりと頭を掻く。漸くスッキリとした頭で現状を確認すると、あーあーと張り切りすぎた部屋の残骸に苦笑いした。
すやぁ、と寝息を立て始めたナナシにあとは任せたと言われてるような気がする。レイガン達が気がつく前に早く処理をしなくてはなあと思いながら自身を引き抜くと、毎回騒がしくてすまんなと謝るようにナナシの腹に口付けた。
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