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level.15
一人になった時、峯はずっと泣きながらも考えていた──。
例え桐谷に彼女がいても、自分はどう足掻いたって嫌いにはなれないし、いけないことだとわかっていてもそれでもいいから自分といて欲しいと本当は心の底では願っていた──。
いつか飽きて捨てられるその時まで、その最後の時まで縋りたいと思ってしまった──。
だけど、出来なかった──。
自分が縋って、それに桐谷がもし答えたら、彼を更なる悪人へと自分がしてしまう──。
──苦しかった。
彼女より後に出会ってしまったこと──。後から好きになった自分が何より悔しかった──。
見たこともない、会ったこともない彼女を想像しては嫉妬して、勝手に憎んで羨んで──そして、自己嫌悪した。
大学でも極力桐谷を避けて過ごしたのは、目を合わせたらすぐに抱きついて、やっぱり好きだから傍にいて欲しいと縋ってしまいそうだったから──。
──それだけは絶対に人としていけないことだと峯は自身を戒め、必死に耐えた──。
だけれど、その間も彼の視線がずっとこちらを向いていて、気が狂いそうだった──。
──どうして目で追うの?
お願いだから俺を諦めさせてよ──忘れさせてよ──でないと、俺はきっと……また、過ちを犯すから──。
「中、あったかい……ここに虎羽がいる……夢じゃないんだ……」
峯は泣きながら桐谷の肩へ必死にしがみつき、その体温を噛み締めた。
──嘘みたいだ。
虎羽は、自分だけを好きだと言ってくれた──。
信じていいんだよね? もう諦めなくていいんだよね?
俺はこれからも、虎羽を好きなままでいていいんだよね──?
「こぅ……虎羽……虎羽──」
「泣かないで、凛人……もう二度と俺は逃げたりしないから……」
「うん、うん……大好き──虎羽……あっ!」
繰り返される優しいキスとは裏腹に、深く奥を貫かれ、峯は腰を反らせる。そのまま腰を揺らされ、峯は自然と喉から甘い声を漏らしては桐谷を煽る。
「凛……気持ち良い?」
「うんっうんっ、あっ、奥までっ、入……ってる、のっ、すごい……あっ、あっ、虎羽、すき、すき……っもっと、突いて、いっぱい突いてっ……」
言われた通りに桐谷は何度もその奥を穿ち続け、峯の屹立した雄を何度も大きな手で包み、擦り上げてやる。
「ダメっ、両方したらっだめ、だめっ……あっ、イッちゃうっ、出ちゃうぅ……っ」
「いいよ──何回でもしてあげるから、出して……」
「あっ、ああっ!」
峯はビクビクと腰を痙攣させて自身の腹の上に精を吐き出した。それと同時に、中から自分を締め付ける強い刺激に桐谷は思わず顔を歪めるが、すぐに達するのなんだか勿体無くて、桐谷は再び峯の中の一番敏感な場所を何度も擦り上げる。
「ああっ! そこっだめっ、変になるのっ、だめぇっ」
「変になってよ──俺ばっかり夢中にさせんなよ……」
「なにゆってっ……ああっ、ダメダメッ、そんなっ激しくしたらおかしくなっちゃうからぁっ……虎羽だめぇっ」
何度も抉るように峯の一番弱い部分を激しく責め立て、自分を抱き寄せる峯に従い、桐谷はその身体を包むように抱きしめ返し、だらしなく開く口の中にあるピンク色の舌を何度も捕まえた。
舌を絡めるだけで峯は繋がった場所をビクビクと震わせ、逆に桐谷を喜ばせては自分自身をどんどん窮地へと追いやる。
峯は下から繰り返される激しい快感にすでに声すら無くし、桐谷の揺れる背中に必死にしがみついて、全身を迫り上がってくる悦楽にすべての理性を手放した。
脱力して広がった桐谷の胸に峯は何度も頬を擦り付け、だらりと伸びた筋肉質な長い足に自身の白い足を絡ませた。
「……りん、無理……俺……もう……出来ない」
魂が半分抜けた桐谷は、殆ど目も開かず譫言のように途切れ途切れ口から漏らす。
「虎羽変な顔。可愛い」
峯は疲れ切った恋人の初めて見る隙だらけの顔中にキスを落としては幸せそうにその頭を抱きかかえ、胸の中へと沈めた。
「虎羽……大好き」
「ん……俺、も……。凛……あの、ね……」
そう話し始めながらも襲い来る強烈な睡魔に勝てず、寝息を立てて桐谷は夢の中へと落ちてゆく──。
「──もう俺も次は逃げない。ちゃんと虎羽と向き合って、ちゃんと話すよ……だって、俺は虎羽が好きだし、諦めたくないもん……もう二度と、離したくない──」
──例え桐谷が口にする真実が自分の心を切り刻んでも──もう絶対、あの時の苦い後悔を味わうのは嫌なんだと、峯は瞼をきつく瞑って桐谷の身体に再びしがみついた──。
「俺ね、虎羽がいなかった時の自分がもう思い出せないんだ──ほんの少し前のことなのに……それくらい俺の中は虎羽でいっぱいなんだよ……」
桐谷の繰り返される安らかな寝息に、いつしか峯も誘われるように眠りについた──。
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