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第6話

 その日を境にスーナは仕事から帰ってくるとミネットを抱く。それはミネットが仕事をはじめてからも続いた。  仕事をはじめたばかりのミネットは客の『便器』同然だった。痛みと恐怖に耐えながら、客が果てるのをただ待つ。  そんなミネットの話を客越しに聞いたスーナは叱責するようにミネットを抱いた。 「ほら、ちゃんと体で覚えて。お前は本当にバカだなあ。自分で気持ちいいところを探すんだよ。気持ちよかったら素直に喘いで……相手にあなたのセックスは気持ちいいですって、全身で伝えるんだ」 「ひ、ぃ……あ、あん!」  気持ちいいなんて少しも感じなかった。それでも何度か部屋で客を取ったスーナが気持ち良さそうな顔でこういう声をあげる様子を盗み見たことがあった声音を必死で真似した。 「なんだ、できるじゃない」  体が辛かったけれど、そうスーナに言われたミネットは一生懸命それを真似続ける。 「くうぅ……あん、あんっ!」 「そう。ちゃんと気持ちいいって思わないとダメだよ。ほら……ここは?」  繰り返しスーナに抉られるナカがある一点を擦り上げたとき、はじめてぞわりと震えた。 「あ……ぁひィ!」 「ふぅん、ここなんだ」  俺とはちょっと違うね。そう言いながらスーナは同じ場所を何度も自身で擦り上げてくる。 「や、スーナ、そこ、怖い!」 「怖くないよ。ほらミネット。ちゃんと覚えて……ここが、ミネットが一番気持ちよくなれる場所だから」  ぱちゅん、ぱちゅん、と肌のぶつかり合う音が響く。その度にはじめてミネットは腰が溶けそうな感覚に陥った。 「ひゃ、あ……ああっ! スーナ……あ、とける……あっ!」  どうかなってしまう。ミネットがそう思った途端、スーナに抱き寄せられていた体が放り出された。とたんに外気に晒され体が冷めていく。  なにかとても気持ちのいいことが起こりそうな瞬間に放り出されその体は得体の知れない熱で震えた。 「ふふ。かわいいよ、ミネット」  戸惑うミネットにスーナがそう言うと、スーナはベッドに仰向けになった。 「ミネット、自分で入れてごらん」  ミネットは震える体を起こしてスーナに跨がると、くすぶる体に蓋をした。 「う、ぐうぅ……」 「そこじゃなかったろう? もう少し、ほら奥の……」  スーナにそう言われてミネットは自身の怖い場所を探るように腰を動かした。 「う……あっ!」 「お利口だね」  スーナの胸に手をついて懸命に腰を振るけれど、爆ぜるようで爆ぜない風船のようにただ気持ちよさが溜まっていくだけだった。 「スーナ、助けて……んあっ、も、おかしくなる……あっ!」 「うん、助けてあげる」  泣きながらスーナに懇願すると、スーナは上体を起こしてミネットの脚を抱ながら今度はミネットを仰向けにする。そのままスーナは腰を動かし、ミネットの気持ちのいい所を刺激し続けた。 「スーナ、スーナ……あッ、あ……ひ、ァアッ!」  自分の腹とスーナの腹の間で揺れる自分の勃起したそこが情けなく見える。それでも快楽の波が押し寄せてミネットのすべてを攫っていった。 「ン、いいよ……ふ、うっ」  スーナもミネットの中で欲を吐き出すと、ミネットの中から抜け出して震えるミネットの体を抱きしめた。 「お客さんとシて痛い時は自分から動いて気持ちいいところに当たるようにして。あまりイキすぎるのも疲れるから……ほどほどにだよ」  そう言うとスーナは寝てしまった。  夜は嫌いだった。  客に抱かれる仕事も、練習と称してスーナに抱かれるのも全部夜だ。  眠ろう。朝になると夜から一変してスーナは優しくなる。

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