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第一章・2
メインストリートから外れた、小道の中にあるカフェ。
小さなそれは、祝いの花も飾らずにひっそりと営業していた。
「ね、入っちゃう?」
「早紀、今日は塾なんじゃないのか?」
「平気だよ、一日くらい。奢っちゃうよ? みんな、好きなものを注文してよ」
早紀がそうくれば、決まりだ。
男子高校三年生の集団、5名はドアベルを鳴らして店の中に入った。
店内はオレンジの明かりで、少し薄暗かった。
落ち着いたピアノ音楽が流れ、重厚な木でできたテーブルが5つ。
あとは、カウンター席だ。
あまり人は大勢入れない造りだった。
「わあ、狭い!」
「でも、カッコいいじゃん」
「大人の雰囲気」
口々に感想を言い合いながら、早紀たちはテーブルを2つ占拠した。
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