11 / 145

第二章・3

「お客様は、高校生ですね?」 「早紀、でいいよ。梅ヶ谷 早紀。友達になってよ」  友達、と来た。  衛が目を円くしていると、早紀は自己紹介をどんどん始めた。 「諸澄学園の、三年生」 「制服で解りましたよ。優秀なんですね」 「第二性は、オメガなんだ」 「私の知人にも、数人おりますよ」   そこで早紀は、口をつぐんだ。 (アルファの衛さんが知ってる、オメガの人って……)  もしかして、恋人?  尋ねようとした時に、ちょうどコーヒーが出てきた。 「当店の、オリジナルブレンドです。どうぞ」 「いただきまーす」  早紀は、ブラックでそれを一口飲んだ。  父がコーヒー好きなので、早紀も早いうちから嗜むようになっていたのだ。  ブレンドは苦みが強い、それでいて後味は甘い上品な風味を持っていた。

ともだちにシェアしよう!